暗号通貨の最大手取引所のバイナンスがハッキング被害。
7000ビットコイン(BTC)を盗まれた模様。(2019/5/8記事)
https://edition.cnn.com/2019/05/08/tech/bitcoin-binance-hack/index.html
最近は、ハッカーも取引所を狙うようになってきましたね。
バイナンスは暗号通貨取引業者の中では硬いと言われていたそうですが、それでもやられてしまったようです。
攻撃者視点では、成熟した金融機関に比べると、やはりまだ相対的に弱く、大金を狙いやすいターゲットに映るのでしょう。
日本でも仮想通貨業者が相次いで被害に遭い、「なぜあのような大金を扱っているのにセキュリティが甘いのか?」といって首をかしげる人も多いようです。金融庁なども、後付で色々指導したり規制していますね。
ただ、業者も先見の明はあったものの、時代の変化の速さについていけなかっただけという面があるのではないか、と、完全に私見ですが思っているところです。
ビットコインは、サトシ・ナカモト氏の論文を元に作られたというのは有名な話です。
そして、ビットコインが公開されたのが2009年のことです。
このときのビットコインの価値はどれくらいだったか?
2010年5月22日に初めてビットコインで商取引が成立した、といわれていますが、このときの取引は、「ピザ2枚で1万BTC」だったそうです。
え?今回盗まれたビットコインより高くね?何十億円するピザなの?
・・・が、当時はその程度の価値だったということです。
ピザ1枚あたり5000BTCとして、普通のピザなら5000円もしない・・・ということは、当時のレートは「1BTC=0.5~1円」程度だったわけです。
これが徐々に価値を持ち始めましたが、2013年頃でも1BTC1~数万円台でした。
ところが、これが暴騰し、2017年末~2018年初頭には1BTCが200万円を超えました。
もし、2013年ごろに仮想通貨取引所を開設したとして、1BTC=1万円で初期投資で1億円分のビットコインを手にしていたとします。
1億円分のお金を守るシステムのセキュリティに、さて、いったいいくらかけるでしょうか?
年間1000万円なんて絶対無理な気がします。
しかし、もしこの原資がまるまる残っていたとすると、2018年になったら200億円になっていた、というわけです。
ビットコイン以外の通貨(アルトコイン)も同様に暴騰していたため、価値が低いときに多く保有していた人、組織は大きな含み益をもつようになってしまったのです。
しかし、システム関係の見直しはそんな数ヶ月単位ではやりませんね。セキュリティもそうです。
となると、まだ「価値が低かった頃の水準のセキュリティレベル」でもおかしくないわけです。
ハッカーたちにしてみれば、そのレベルのセキュリティを抜くのは容易かった、ということなのかなと思う次第です。
先見の明で暗号通貨に参入したが、その急激な価値の上昇と相対的なリスクの増加にはついていけなかった・・・、というのは皮肉な話ですね。