住み始めて6年目の我が家は、築35年になる中古住宅である。
入居に際しては、土地家屋調査士に耐震強度の診断を依頼し、
家の各所を診てもらったのだが、
2Fの天井裏に入る為の入口のフタがどうしても開かず、
屋根裏の目視を断念したという経緯がある。
まるで接着剤で固めたかのようにビクともせず、完全に「開かずの扉」となっているのだ。
一体なぜ…?
前の住人は、どこか陰のある老貴婦人で、一人で暮らしていた。
売買契約の際も、相続で所有権を共有していた長男は、最後まで一度も姿を現さなかった。
何かが引っかかる…。
あのどこか陰のある老貴婦人が、
この家に何かしらの秘密を残して去っていったのではなかろうか…、と。
さすがに床下に「貞子」が這い出してくるような古井戸は無かったが…
そんなある日の晩、
例のワタクシが落ち武者の亡霊に見間違われた1Fの洗面所で、嫁さんがこんな事を言い出した。
「なんか、天井から変な声がする」
…と!
いや、そーいうのやめようやホンマに。
しかし、
どうやら冗談ではないらしい。
嫁さんに背中を突かれながら恐る恐るその洗面所へ。
「…………… 」
「…………… 」
「…………… 」
「ヒヒヒヒヒ……… 」
な、なに今の?
確かに聞こえた!
「…………… 」
「…………… 」
「ひひひひひひひ… 」
まただ。
そして聞こえてきたのはココからだ。
この洗面所は家のほぼ中央に位置しており、
設計図を見ると換気扇の吸入口から出口まで、ある程度の空間が存在していることになっている。
まさかあの老貴婦人が残した秘密がここに…?
こうなると、のんきに「吉田類の酒場放浪記」など見ている場合ではない。
開けてみる。
換気口の出口に回ってみる。
ここで、必殺ファイバースコープの出番である。
これなら狭い入口から内部へと進入し、映像をスマホへ送ることが出来る。
いよいよ、あの不気味な声の正体を確かめる時が来た…
(つづく)












