映画、国宝を見てきた。
話題の映画らしいのだが、あいにく私には無縁の歌舞伎の世界だ。
実際、このような伝統芸能の世界に、何の血統を持たない人間が、そんな世襲の世界に食い込むことなどできるはずはないのだろうが、この映画ではあえて、任侠の家に生まれた架空の主人公を仕立てあげ、彼が歌舞伎の世界の国宝にまで上り詰めるまでを、ドラマチックに描いている。
只、歌舞伎と言っても、その才能は男が女を演じる女形(おやま)の世界のもので、見る方にとっても独特な感性を必要とする。男が女を演じることがあれほどまでに、なまめかしく、あでやかなものだということを誰もが発見することだろう。
それとても、そこにまで到達するには並外れた修練を必要とするものであり、こういった伝統芸能の深さというのも実感できる。
奥深い日本の伝統芸能の世界の厳しさとは裏腹に、今の日本の政治家のいかにも貧弱で、政治のセンスのない烏合の衆、有象無象にはもう壁壁としてしまう。
別にヒーローは求めはしないが、利権、口利きだけの世襲政治家などもういらない。確固とした国家観を持つプロの政治家の登場を待つばかりだ。