自給自足もいいけど | return-of-cd125tのブログ

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毎年テレビで山奥に住んだりして自給自足生活する人たちのドキュメンタリのようなことをやっている。若い時は良いけど、年を取って、いつまでもそんな生活が出来るわけがない。

 

私の父があんな山奥に暮らし始めたのはやむを得ずのことだった。戦死したと思っていた次男がシベリヤ抑留から帰って、本家を継いでいた三男の父親は家を出ていかざるを得なくなり、家業の写真屋の継続もままならず、政府の奨励する柑橘類の開墾農に移行した。

 

遠くの造船所に臨時工で勤めながら、石ころだらけの山を切り開き、およそ一丁の柑橘畑に果実が実り収穫、出荷に至るまで10年以上はかかっている。それでも税だけは脱がれることはなく、国のために治め続けて来た。

 

国のために戦い、国のために税金を納め、挙句の果てが、暖房が止められた冬の寒い病院で母のベットのかたわらの床に付き添い、父親は脳梗塞のために倒れてしまった。その翌日、母親は無くなった。寝た切りになった父も半年後の8月に死んだ。

 

彼ら、テレビ出演者の自給自足というのは、日本国というものがあって、日本という国に守られていることを根本的に考えていない、ただの土人生活をしたいだけだろうと言うと、彼らは怒るだろう。

 

どう考えても、国から恩恵を受けているのは、土人を目指す彼らだろうと思う。良い時代に生まれたものだ。

例えその移住が失敗したとしても、今の日本では、その後の選択肢はいくらでもある。

 

でも本気で農業を目指す人たちを揶揄するつもりはない。私も若ければもう一度農業をやってみたい。今なら水も豊富な立地条件の良い、放置された土地がいくらでも選べるからだ。