言ってしまえば、この世のことは、すべてが夢、幻。常々、はやくこの肉体を脱ぎ去り atmosphereの中に消えてしまいたいと思っている。 そして、故郷の海の見渡せる空を トンビのように高く高く やがては 空の深みの中に消えていくのだ あとには 白波をたてる海と微風と柔らかい日差しが いつまでも在りつづければいい。しかし、それさえも、この暗黒宇宙の演出でしかないのだ。なんと云うところに僕は存在しているのだろうか。夜明け前の窓の外に、少し低音でへたくそな鳴き方の鶯が春が来たと告げている。興ざめながら遠くでカラスも鳴いている。ついでに雉まで鳴いている