早朝のまだ覚めやらぬ 夢の中だったのかどうかわからないが 一階の玄関からチャイムの鳴る音がした。気のせいだろうと思っていると うつぶせに寝ている私の上着のすそを ちょつと つまんで 誰かがひっぱったのだ。チャイムを鳴らして階段を上ってくる音も無く あっという間のできごとだった。で これが ほんとうの 怪談だ~と言っている場合か? いたずら好きな奴もいるものだ。ちなみに私の家の階段は13階段だ。新築時に建築屋にそれを言うと階段を上がり切った時の階数も入れるから14階だと言いくさった。14の末尾 4は駄目だろう。ともあれ 今年 念願のマイハウスを建てて 早 19年目になる さして よいことも無く 過ぎ去ったのだが さて この家が終の棲家になるかどうかは まだわからない。私の転居暦はこれまで10回以上ある。占星術のセオリーから言えば 生まれ持った運に転居星のある人は生涯何度でも引越しをするということが成り立つらしい。家に居ても いつも もぞもぞ落ち着かないのは そのせいかも知れない。かといつて 家が嫌いでもない。かって安アパートを転々としたが それなりに 仕事帰りの安らぎの場所であった。誰が待つわけでもないのだが。おそらくは 動物としての穴蔵本能というか 帰巣本能なのだろう。母親の子宮回帰と言えるかも知れない。女性が望むマイホームの概念と男子が志向する穴蔵本能とには隔たりがあるように思う。