「おじさん」的思考 角川文庫 内田 樹
2017年 51冊(作品)目【独断】5.5
この人のを読むと
<勉強せな、いかんな。>と思わされる。
吐露するようで恥ずかしいんですが、読むのに気合と集中力がいるし,読んでてパッと理解が出来ずに、とても難しいと思ってしまう。
時事的なテーマについて樹さんの意見が書かれている内容だが
なんと16年も前の時事的テーマですが、古さがない。
切り口と思考がシンプルで正当なんだからであろうか。
陳腐になるような考え方をしていないからだろうか・・
なるほどなと頷かされる。
そして、なによりも当時の警鐘が、現在の課題にもなっている。
予言か!?
恐るべし、内田樹。
たまには読むぞ、内田樹。
ブログからの追記編集のようだが
4章にあたる夏目漱石の大人論みたいなのはよく分からん。
伊丹十三の話も気持ちは分かるが、口にするのは大人げない。
良いことではないような。
続 岳物語 集英社文庫 椎名 誠
2017年 50冊(作品)目【独断】3.0
あー、手に取ってしまった。
前回、ふんわかして悪くないとは思ったが読みだしてしまった。
今回もそれなりに、良かったが
でも、ふわーっと流れる感じであまり何も残らない。
こちらがチビがいるので意識しながら読んでいるが
そうでなければ、本当に何も残らないと思う。
父親と息子か。
ウチはどうだったのか。そんなことをほんの少し
本当に少しだけ考える。
岳物語 集英社文庫 椎名 誠
2017年 49冊(作品)目【独断】4.0
久し振りの椎名誠。
大人の男のふわっとした感じが漂う。
私の勝手な独特な感覚だが、
この大人の男のふわっとした感じというのは割に少ないような気がする。
有名人でも同類の人は見当たらない。真剣には考えてないけど・・
このふわっとした父親と息子・岳がどのように付き合い(育てでは無い)、
どのように関係が変わっていくか、非常に興味深い。
まぁでも、そこまで書かれているわけでは無く、
じわっとそしてゆるりとした変化がある感じ。
でもどう育つのか、気になる。
奥さんも、なんとなく適度な距離感で良い。
続・岳物語というのもあるようだが。。。。
落英 幻冬舎文庫 黒川 博行
2017年 48冊(作品)目【独断】4.0
前作と同様に、4ぐらいだと思う。短期間に何作も読みすぎなんだろう。
そりゃ食傷気味にもなると思う。
ただ今年は読み漁っているので、こういうことも仕方がない。
前作同様、刑事モノ。大阪本部、薬物対策課の部署で働く2人の刑事、そして
中程から、和歌山県警の満井刑事が1人が登場、この満井がなかなかな感じで魅力ある。
そんな三人で色々と展開がなされる話。
やはり面白く、読みやすい。さっと読める。
うーん、さっと読めるという事が良いことかは分かりませんが。。。
本作は、前作も。だが、小説的には、ずっと読んでいられるが
一冊の本としては、盛り上がりに欠ける気がする。
いわゆるクライマックスが弱い。弱いというよりも、
展開が、常に緊張状態にあるために山を感じにくい、そして
読了感に欠ける。急に、現実に放り出された感じ。
悪果 角川文庫 黒川 博行
2017年 47冊(作品)目【独断】4.0
小説自体は悪くない、面白いんだけど、
点数は低い。これは読み手の問題。
短期間に複数を読みすぎなんだろう。
また、疫病神シリーズと違い、キャラの個性や
そのキャラへの思い入れで印象がずいぶん違うん。
なんとなく読中にパターンや展開を見出してしまう。
それは悪いことではないが、気付いてしまい、自分で鼻白む。
本作に戻り、警察小説で極道担当の部署で働く2人の刑事。
ヤクザを取り締まるには、ヤクザに近づき、やくざな世界に染まらなければ
有益な情報を得ることが出来ない。
より深く入り込まなければ大きなヤマ(事件)には辿りつけない。
悲しいジレンマに陥る。清廉潔白ではいられない、清濁併せのむ度量が必要だ。
ただどうしても流されるし、はめられる。。。
そういう意味では、警察というのは悲しい人生なのかもしれない。
だから警察は、小説の舞台になりやすいのか
悪人 シナリオ版 朝日文庫 吉田 修一/李 相日
2017年 46冊(作品)目【独断】5.5
前回も書いたが、小説と脚本の違いを知りたくて読んだ。
結論:別物であるコトがよく分かった。
興味深さで5.5!!
後書き的な座談会のような場で
小説との違いが述べられている。とても分かり易い。
そして脚本(映画)になると大半が削ぎ落とされており、
(私が(も)考える)重要な部分をどう残すかで
喧々諤々とやっている。
でも小説を読んでなければ、脚本は難しいような気がするが
映画の成功と、小説の成功は違うので
ゴールが違うので、小説の良し悪しは関係ないかもしれない。
悪人 朝日文庫 吉田 修一
2017年 45冊(作品)目【初読み】【独断】6.5
過去に映画は見た。
細かいことは忘れたが、
画面に流れる暗い印象と人が陥るやるせなさ、みたいなものが記憶にある。
深津絵里が良かった。
今回、なぜ手に取ったかというと、同作者<怒り>という本の販売宣伝で思い出したのと
以前、脚本と小説の違いを調べた時に、この<悪人>は、同作者により
脚本版も出ているということで、どちらも読もうと前向きな意思で読みだした。
比較したくて読みだしたが、とても面白かった。
人間の弱さや辛さ、切なさが出ている。誰でもそんな面はある。
それが”人間”みたいな感じ。
色んな人間がいる。
人としての強さも描かれている。悪くない。
映画しか知らなかったが小説はとてもよかった。
町長選挙 文春文庫 奥田 英朗
2017年 44冊(作品)目【独断】3.5
奥田さんは7冊目。
これは、失敗した。悪くないんだけど・・・
伊良部先生は前2作で辞めておけばよかった。。。。
マンネリ感や新鮮味が欠けるは分かってて読みだしたが
やっぱり、目新しさは無い。
だから3作目で終わっているのか??
前2作、インザプールと空中ブランコが秀逸だったので、
引っ張られた。。。。
3作目でも
もう少し伊良部と看護士のマユミをクローズアップして
別の局面にも展開していたら
もっと内容に層が出来て良かったのかもしれない。
あーでも読んでたら後付け感を感じるだろうな・・
最悪 講談社文庫 奥田 英朗
2017年 43冊(作品)目【独断】6.0
奥田さんは6冊目。
これは、面白かった。
展開がどうなるか分からなかったが、
主の3人それぞれが丁寧に深堀りされており、
思い入れとはいかないが、人生の歯車の流れや狂い、
喜怒哀楽の気持ちが”とても”理解できる。
銀行強盗のくだりから後が、やや強引にも感じれるが
本当のトラブルや緊張を前にすると、
理解や常識を超えた考えや行動はあり得るかもしれない。
この奥田さんという人は、軽いのだけでなく
こういう骨太的なモノも書けるんだと見直した。
※決して骨太とは思わない、
どちらかというと軽くは無いものという感じ
プレイバック ハヤカワ・ミステリ文庫 レイモンド・チャンドラー(清水訳)
2017年 42冊(作品)目【独断】4.5
チャンドラーはこれで5作品目ぐらいだろうか。
フィリップ・マーロウが好きなのかと聞かれるとそうではない。
ただ、あの名言に文章中で出会いたく、読み進めた。
あの名言がどの本にあるかは、なぜか調べようとしなかったため
この作品「プレイバック」までかかってしまった。
そう、その名言は、やや記憶で増幅や研磨されている部分もあるが
「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ、生きる資格もない。」
というものだった。
割と衝撃を受けた。たぶん中学生くらいのころ。
単純な私は、そうか、男はタフで優しくないとと思い込んだ。
でも、情けないことに、タフにも、優しくもなれていない。
この翻訳で読んでみると、記憶のセリフではなく、もっとソフトだ。
そして原文も
If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive.
If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive
うーん、上記では、名文とまではいかない気がする。
翻訳でセリフを超訳的に強烈にすると、
その前後のセリフも変えないと小説としてのテンションが狂うかもしれない。
出会った感想は、「うん、これ?」
「これを求めていたの?」「違う、違う」となった。
まぁでも自身の記憶のセリフ
「男はタフでなければ生きていけない。やさしくなければ、生きる資格もない。」は忘れないと思う。
ついでに、同作者の『長いお別れ』での
「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」ってのも、非常にかっこいいセリフだ。
To say Good bye is to die a little