【映画】生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言(1985):原発ジプシーを扱った超問題作 | Bokuと映画  Chackn'sBlog

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おきにいり映画、 地元鹿児島のこと、 70年代、80年代のおもしろかったこと、 
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森崎東監督の80年代日本の闇を憂いた映画

 

 

 私があなたにほれたのは 

  ちょうど十九の春でした

 

  今さら離縁と言うならば 

   もとの十九にしておくれ

 

 

「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」

 

 

 

 

1985年公開 / 105分 / 日本 

 

監督: 森崎東
脚本: 近藤昭二/森崎東/大原清秀
製作: 木下茂三郎
音楽: 宇崎竜童
撮影: 浜田毅
編集: 菅野善雄
製作会社: キノシタ映画
配給: 日本アート・シアター・ギルド

 

キャスト

倍賞美津子/原田芳雄/平田満/片石隆弘/竹本幸恵/久野真平/上原由恵/泉谷しげる/梅宮辰夫/河原さぶ/小林稔侍/殿山泰司/左とん平/乱孝寿/小林トシ江他

 

いわゆる一般社会のはみ出し者たちの生き様を描いた異色のドラマ。名古屋に帰ってきた旅回りのストリッパー、バーバラ。原発を転々と渡り歩く原発ジプシーの宮里とは沖縄のコザ暴動以来の間柄で、バーバラはそろそろ二人で堅気の商売について結婚したいと思っていた。バーバラは宮里の顔を見るや、アイコのことを糺した。アイコは福井の美浜で原発労働者相手の娼婦をさせられていたところを、宮里が救い出したのだった。それが、前日、美浜へ帰ってしまっていたのだった……。

(allcinemaより抜粋)

 

Wikipedia:生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言

 

東映ビデオ

 

 

 

 

*****

 

 

どーもです。

 

 

本作もずっと観たいと思っていた作品で

 

先日ツタヤさんでレンタルして鑑賞

 

 

まずは前半のストーリーを追っていきましょう

 

 

冒頭は不良3人組の修学旅行積立金の強奪シーンから始まり

 

ピンクの荒いタッチのタイトルが出てくる

 

 

 

 

 

強奪シーンもドタバタで

 

迫力もあり楽しい

 

 

映画自体はエンタメ色の強い喜劇として製作されているが

 

中盤からのメッセージが強すぎるので問題作になっている

 

 

 

不良の高校

 

 

 

先生の車に落書きあり

 

80年代中盤まではまだ「ビーバップハイスクール」が人気の頃で学校も荒れていたが

 

80年代の後半に入るとヤンキー=ダサいとなってくる

 

ただファッションが普通の姿になっただけで

 

不良はもちろん80年後半もいた

 

それが90年代チーマーと呼ばれだす

 

 

 

3人は金を取り、先生=平田満を拉致

 

3人のうちの1人、タマ枝の家では母が一人で沖縄料理の居酒屋「波の上」を営んでいる

 

 

その「波の上」に沖縄生まれのヌードダンサー、バーバラ=倍賞美津子が久しぶりに顔を出す

 

そこへタマ枝をチンピラから救ったバーバラの昔の男、宮里=原田芳雄が現れる。。

 

 

 

 

 

 

 

 

2人は1970年のコザ暴動のあと本州へ流れてきた琉球人

 

当時食えない二人はバーバラは食うためにダンサーになり

 

宮里はある仕事に就く

 

 

 

不良3人は宮里についていき

 

拉致された先生は、バーバラのカバン持ちを懇願し旅に出る

 

この先生=平田の目線が

 

観客の目線に一番近いのではないかと思われます

 

 

バーバラはドサ回りのヌードダンサー

 

フィリピンの人たちが来てから食いぶちが減ったというが

 

持ち前の明るさと姐御肌でフィリピンの娘らからも慕われている

 

 

バーバラと先生は福井原発当たりの飯場へ向かい

 

そこでアイコというフィリピン人と再会する

 

 

 

 

彼女は宮里が足を洗わせた娘だったが戻ってきていた

 

彼女には結婚したい相手がいた

 

 

 

 

泉谷しげる。

 

80年代のこの人は過激なロックな人だった

 

 

 

 

 

ここから先は

 

怒涛の展開が待っている

 

 

明確なメッセージを残し

 

画角的にもドラマ的にも

 

グッとひきつけながら物語は進んでいく

 

 

 

ビジュアルでは

 

原発の上をドラム缶を積んだヘリ

 

 

 

そして急な天気雨

 

 

 

 

美浜の町をとてもきれいに撮っているが

 

そこには原発が映る

 

 

 

 

 

 

 

宮里はやくざの元で働いている

 

宮里もやくざの仕事から足を洗いたいが出来ないでいる

 

 

 

 

彼自体、元は原発ジプシーだった

 

「原発ジプシー」という単語は1979年に発刊されたノンフィクションのタイトルで

 

著者の堀江邦夫は実際に原発で作業員として体験している

 

福井や福島の原発を作業員として転々としている人たちのことを

 

「原発ジプシー」と言っていた

 

苛酷な環境での労働を強いられた彼らと

 

フィリピンからの出稼ぎ労働者にスポットを当てた作品であり、

 

返還前の沖縄から流れてきたバーバラと宮里がそこへ絡む

 

 

 

 

他には悪徳刑事(見た目やくざ)に梅宮辰夫さん

 

 

 

 

やくざに小林稔侍さん

 

 

 

 

後半になるにつれニューシネマっぽい流れになる

 

 

宮里はどっちつかずにいたが

 

 

覚悟を決める

 

 

白いパーカーの姿が白装束に見える

 

 

 

 

 

 

 

 

バーバラは抱かれるときに「逢いたいよ、逢いたいよ」と呟く

 

 

それは昔の宮里や自分、

 

そして死んで逝った友へ捧げる言葉だった

 

 

 

 もとの十九にするならば 庭の枯れ木を見てごらん

 

  枯れ木に花が咲いたなら 十九にするのもやすけれど 

 

  (十九の春 :田端義夫)

 

 

 

 

 

 

この映画の翌年、

 

1986年にチェルノブイリ原発事故が起きる

 

 

バブル景気直前当たりの

 

注意喚起作品

 

当時は「日本はだいじょうぶか?」の流れが

 

国内外であった

 

 

バブル景気に浮かれる中で

 

それに乗れない人も大勢いたのも事実だ

 

 

海外でもエコノミックアニマルと言われジャパンバッシングは加速されていった時代だった

 

それからバブルがはじけ、

 

失われた10年(または20年)があり

 

急に「日本って世界に誇れるいい国」だっていう風潮がテレビで流れ出す

 

 

「よい国」と誇張する奥底に利権だらけのウニが残っている

 

2020年代はコロナがあり

 

それからすぐにガーシーが生まれた

 

もう隠し事の出来ない未来が見えたように見えるが

 

「悪い奴」はヤクザの如くもっと奥へと潜るのだ

 

 

 

2024年は

 

 

元旦から信じられないようなことが起きた

 

 

これが何かの予兆でないことを切に願います

 

 

 

 

では!