【映画】君が若者なら(1970):深作監督の当時の若者たちに贈る青春群像 | Bokuと映画  Chackn'sBlog

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深作欣二が監督した青春映画だがヘヴィーで異質な群像劇になっている

 

当時ヒットしていた「若者たち」に続く作品。

 

主演は石立鉄男と前田吟

 

 

「君が若者なら」

 

 

 

 

 

1970年公開 / 89分 / 日本 (米題:If you were young : Rage)

 

監督/脚本: 深作欣二
脚本: 中島丈博/松本孝二
製作: 松丸青史/其田則夫/武藤三郎
撮影: 江連高元
音楽: いずみたく
美術: 平川透徹
編集: 沼崎梅子
照明: 平田光治
制作会社: 新星映画社/文学座
配給: 松竹

キャスト
石立鉄男/前田吟/河原崎長一郎/林秀樹/峰岸徹/寺田路恵/太地喜和子/小川真由美/矢吹寿子/荒木道子/金井大/藤田弓子他

 

現代日本の若者が直面する問題とその中でいかに生きようとしているかを描いたドラマ。脚本は「座頭市牢破り」の中島丈博と松本孝二、「血染の代紋」の深作欣二が共同執筆。監督は深作欣二、撮影は江連高元が担当。

(moviewalkerより抜粋)

 

Wikipedia(海外版):If you were young : Rage

 

 

*****

 

 

どうも。

 

寒い日が続いております

 

私事で恐縮ですが年が明けてからどうもめまいや耳鳴りがしたりしてまして、

 

背中に湿布を貼るとピタっとおさまるので整体の先生に聞いてみたら背中がパンパンに張っているようでして、

 

それに伴う猫背が原因のようです

 

歳をとると色々出てくるわけで(^^;

 

大変でございますわ。。

 

皆さまもお体、ご自愛ください。

 

 

そんなわけで今日は体の心配なんていらない若者たちのお話でございますw

 

ツタヤさんに前回の「悪魔の追跡」を受け取りに行ったところ、久しぶりに深作監督の作品を観たいなと思って監督作品のコーナーを見てましたら見つけましたよ。

 

以前から観たいなと思っていた本作

 

 

この作品は70年の封切り後、フィルムが紛失したと思われておりお目にかかることのなかった作品で

 

松竹の倉庫から90年代の終盤に偶然見つかり、2000年にアメリカで監督の特集の一環として30年ぶりに上映され日本では2004年ごろDVDでリリースされました

 

60年代の終盤の若者と言えば闘争、主に全共闘などは切り外せないもので

 

作品にも色濃く出ています

 

 

というわけで本題。

 

 

 

 

主人公になるのは2人。

 

 

石立鉄男扮する喜久男と、

 

前田吟扮する麻男。

 

 

 

 

2人は九州の炭鉱で育った幼馴染で

 

一緒に集団就職で都会の町工場に出てくる

 

そこで3人の仲間に出会うが会社がつぶれ

 

 

 

 

 

5人は喧嘩で留置場に入れられる

 

 

 

そこで5人は誓いを立てる

 

1年間で金を貯めてダンプを買い、5人で会社を立ち上げようとする

 

 

喜久男と麻男の他には

 

佐渡の漁師の子の清=河原崎長一郎

 

北海道の開拓部落から来た竜次=峰岸隆之介(峰岸徹)

 

川崎の労働者の息子一郎=林秀樹

 

 

 

 

ダンプの名は「独立1号」

 

 

しかし1年の間に皆状況が変わりダンプは喜久男と麻男で転がすことに

 

清は警察に捕まり

 

竜次はストで警察に殴られ死亡

 

一郎は子供が出来積み立てが出来なくなる

 

 

ダンプを乗る二人にも困難が訪れる

 

 

そんな中、清が刑務所を脱獄したと知らせが入り

 

その清が2人の家へやってくる・・・

 

 

 

この作品には当時の若者のやるせなさや虚無感が全編通して漂っている

 

69年の東大安田講堂事件での学生紛争の一区切りがあり

 

団塊の世代からシラケ世代に世の中が変わるころだ。

 

 

まっすぐ生きようとしがみつく者もいれば

 

 

 

 

屈折した生き方をするものもいる

 

 

 

 

前田吟は女を嫌悪するが

 

女から「不器用な人だ」と言われる

 

若く不器用な自分をもどかしく感じている

 

石立鉄男はしっかり前を見据えて生きている

 

その2人の違いが脱獄してきた清により現れてくる

 

 

暗いいびつな鬱映画にも感じられるが

 

70年代らしい若者の心情をとらえた重厚な人間ドラマであり、

 

最後はしっかり前向きなラストになっている

 

 

深作監督から当時の若者たちへのエールのようにもとれる作品で在ります

 

手持ちカメラの演出や斜めアングル、モノクロのフラッシュバックなど

 

深作演出もちょっとだけ荒々しく感じるも

 

文学座の俳優たちの活舌の良さと演劇ぽい芝居の中に

 

吃音の峰岸徹を置くところはなかなかの配役といえる

 

 

この制作会社の新星映画社(「若者たち」の制作会社)と深作監督は

 

72年にも「軍旗はためく下に」を撮ることになり、

 

同年にはやくざ映画の傑作「現代やくざ 人斬り与太」を東京東映で公開させ、

 

1年後に京都東映へ

 

「仁義なき戦い」へと向かうのでした。

 

 

この流れから見ても

 

今作「君が若者なら」からの若者のやるせなさが

 

関連付けられているようにも感じます

 

 

 

ちょっと東映のやくざ映画とは違い、

 

ケレン味は薄味のように思えますが

 

メッセージ性はかなり高めになっています。

 

 

思っていた以上に良い作品でございました。

 

 

 

そんなところで終わりたいと思います

 

明日はお引っ越し。

 

 

まあ、ボチボチ体を気遣いながらやっていこかな(^^;

 

 

では。