マルドゥクとは、古代メソポタミア神話における最高神であり、バビロンの主神である。 もともとは一介のローカル都市神に過ぎなかったが、担当都市であるバビロンの覇権拡大に伴って大出世を果たした、神界屈指の「成り上がり英雄神」だ!
【概要】
古代オリエントの中心都市・バビロンを守護護する都市神。 シュメール神話時代はそれほど目立つ存在ではなかったが、紀元前18世紀頃にバビロン第1王朝(ハンムラビ王の時代)がメソポタミアを統一すると、「俺たちの国の神様が一番強いんだぜ!」というノリで最高神の地位へと押し上げられた。 →要するに「人間の都合で設定をモリモリに盛られた神様」である。だが、その盛られた設定の神話がめっちゃ熱くてカッコいいのだ。
【神話:英雄神爆誕!『エヌマ・エリシュ』の激闘】
マルドゥクの活躍を描いたメソポタミアの創世叙事詩、それが『エヌマ・エリシュ』である。内容は超王道の英雄譚だ。
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プロローグ:ブチギレる原初の女神 昔々、若い神々がキャッキャウフフと騒がしくしていたせいで、原初の海の女神ティアマト(ばあちゃん世代)がブチギレた。「お前らうるさい! 皆殺しにしてやる!」と、11匹のヤバい怪物たちを生み出し、神々に宣戦布告する。
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ビビる神々、立ち上がる若者 ティアマトのガチギレっぷりに、当時の神々のトップ層(アヌとかエンキとか)はブルッてしまい手が出せない。そんな中、「俺がやってやんよ!」と立ち上がったのが若き神マルドゥクだった。
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「俺が勝ったら全権よこせ」 ただし彼はタダでは戦わない。「俺がティアマトを倒したら、俺を神々の王にしろよ」とちゃっかり交渉。背に腹は代えられない神々はこれを承諾し、マルドゥクに絶大な権力と力を与える。
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VS ティアマト(神話級のボス戦) マルドゥクは弓矢と網、そして「四方の風(暴風)」を武器に出撃。大口を開けて喰らいつこうとするティアマトの口に暴風をぶち込んで膨らませ、身動きが取れなくなったところに心臓めがけて矢を放ち、見事ワンパン(ワンショット)で討伐を果たす!
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エンディング:世界創世 彼は倒したティアマトの巨大な死体を半分に引き裂き、半分を「天」に、もう半分を「地」にして現在の世界を創り上げた。さらに、神々の労働を肩代わりさせるために「人間」も創造した。 →敵のボスを倒して、その死体で世界を作る。スケールがデカすぎる。
【メソポタミア最高神への就任(信仰と特徴)】
こうして世界を救い、創世の偉業を成し遂げたマルドゥクは、約束通り神々の王となる。 この時、彼はかつての最高神であったエンリル(シュメール神話のトップ)が持っていた「王権」や「嵐の神」としての属性をごっそり引き継いだ。 「エンリルの仕事は全部俺がやるわ」という、神話界の鮮やかな事業譲渡(という名の下克上)である。
バビロンの都市神としての結びつきは非常に強く、バビロンの街には彼を祀る巨大な神殿「エサギル」と、あのバベルの塔のモデルとも言われる巨大なジッグラト(聖塔)「エテメンアンキ」が建設された。 彼への信仰はバビロニア全域に広がり、後のアッシリア帝国など周辺諸国の神話にも影響を与え続けることとなる。
【相棒? ペット? 象徴獣「ムシュフシュ」】
マルドゥクを象徴する動物として、「ムシュフシュ(怒れる蛇)」という幻獣がいる。 頭には角が生え、前足はライオン、後ろ足はワシ、体はウロコに覆われた蛇……という、中二病全開のキメラドラゴンである。 元々は別の神の眷属や、ティアマトが生み出した怪物の一匹だったが、マルドゥクが勝利した後にちゃっかり自分のペット(乗騎)にしてしまったらしい。 →バビロンの遺跡「イシュタル門」の青いレンガの壁面に描かれているアレである。めっちゃカッコいいので画像検索推奨。
【まとめ(総評)】
マルドゥクとは、「人間の都市の発展と共に設定が盛られ、最終的には暴風と弓矢で原初の女神をぶっ倒して世界を創った、メソポタミアの最高神」である。
「最初はマイナーだったが、実力(と政治力)でトップに上り詰める」という成り上がりのカタルシスと、王道の怪獣退治ストーリーは、当時の古代人たちも大興奮で語り継いだに違いない。 メソポタミア神話を語る上で絶対に外せない、最高にロックで英雄的な神様。それがマルドゥクだ!