こんにちは、リストリーの梅本です
突然ですが、家具の製作や修理のイメージってどんな様子を想像しますか?
工房や工場と聞くとやっぱり、
トンカントンカン
ウイーーン
ガガガガ
なんてうるさいイメージじゃないですか?
みなさん、正解です。大正解。
やっぱり作業中はどこの工房だってうるさいはずです。
ところが、タイトル通り。
リストリーのアンティーク工房は、しーん。いつだって静かです。
決してヒマーしてるわけではございませんよ
当店が、特別静かな理由・・・
それは、「電動工具を一切使わない」からです。
これ、実はかなり珍しいです。
アンティーク家具が作られた当時は、電動工具なんて極一部でしか使われていないので、使わなくったって、なーんの支障もないです。
ただ、あれば、便利。 でも、あると、思わぬ問題が発生する事があるんです。
今日はそんな、アンティーク家具をダメにしてしまうかもしれない、
電動工具の危ない使い方。知っておいて損はないですよ
では、普通の工房にはどんな工具があるか、いくつかご紹介しましょう。
DIYを趣味でやっている方は持っているかもしれませんね
ギュイィイィィン!っと一撃で木材をぶった切ってくれる「電動丸ノコ」
木工作業で最も、技術が必要で正確性を要するのが、
ノコギリで木材を切る時。ではないでしょうか?
わたしはフレンチポリッシャーとして長年塗装職人として働いていますが、電動のこぎりを手にした時「こんなもんアンティークには絶対必要ない。」ひと目で不要と判断しました。
これを頻繁に使う工房の方は恐らく、手でノコギリなんか引いてられない程、大変に忙しいか、熟練の電動工具使いでしょう。
アンティーク家具や皆様がお使いになられている家具は、当然ですが、「製品」です。
木材から加工され、組み上げられ、整面され、美しく塗装されています。
そんな、「製品」として整えられた家具を、切るような場面があれば、
100パーセント、手で、ノコギリで、切りましょう。
なぜか? 切断面が綺麗でなかったり、チップして塗装を剥がしてしまう事があります。
高価なアンティークにもしもの事が起きたらと思うと、怖いですね。
という事で、リストリー家具の修復に使われる木材は全て、「手ノコ」で切る為、ギュイィイィィン!なんて音は聞こえません。
アナログですが、手ノコで十分、精度を出せるから必要ないんです。
ヴィィィィン!っと手っ取り早く表面を整える「電動サンダー(紙やすり)」
私が世界で一番嫌いな電動工具です。
便利な電動工具ですが、中でもこの子は特別に便利です。
むちゃくちゃ助かります。作業効率は使う、使わないで100倍違うと言っても過言ではありません。それ程に素晴らしく安全で「楽できるアイテム」です。
しかし、私の中では、電動サンダーを使った時点でアウトだと思っています。
なぜか? 回転式のベルトサンダー以外の電動サンダーはいくつか種類がありますが、どれも数ミリ単位の振動で表面を研磨する仕組みです。
当然、一方向への削りではないため、「うろこ」と呼ばれる小さな半円形の跡が表面に残ってしまう場合があります。
この「うろこ」が大変厄介で、
殆どのアンティーク家具修理で家具の質を落とす原因となっています。
アンティーク家具にかぎらず木製家具全体に言える事です。
最終塗装の段階まで、「うろこ」に気づかず、塗装してしまうと、「うろこ」部分が色濃く浮き上がって見えてしまいます。
素人さんにすれば、木材の模様かしら?と勘違いしたまま購入してしまうかもしれません。
店員さんに詰めよれば安くなるかも?(笑)気を付けましょう。
もし木製家具の再塗装、修理、修復、製作の場面で
「うろこ」を除去する作業を怠ったならば、職人失格ですよ。
ですので、初めから電動サンダーに頼らず、人間の手で、地道に、きちっと木目に沿って、サンディングペーパーの番手を調整しながら、時間をかけて整面するのがアンティーク家具を扱う職人にすれば当たり前の事です。
塗装を塗り替える→ 既存の塗膜を剥がさねば!→「ヴィィィィン!」

皆さんご存知、「電動ドリル&ドライバー」です。
もうDIYをする方の常識アイテムですね。
どこの家庭にも一台おいてあるのではないでしょうか?
しかし、これも使い方を誤ると大惨事につながります。
パワーが強くコントロールを間違うと、
ネジ頭がつぶれて空回り・・・気づけばドライバーが噛み合わない。
そうなっては遅いですよね。特にアンティーク家具のような古い西洋家具にはプラスではなくマイナスのスクリューが使われていますので、どんなに固くとも「手」でいきます。
握力大切です。
固く、錆びついていても「手」でいきます。そんな古い状態だからこそ「手」が重要なんです。
ほんのちょっと本気を出せば折れてしまうかもしれない、劣化したネジですよ。
電動でウィィィィン!とやってしまえるはずがないです(笑)
さて、最後に紹介したいのはコチラ!
「電動カンナ」です。
リストリーでは日本の引き鉋と西洋の押し鉋が両方あり、部位によって使い分けるので、大小10種類程おいてあります。他工房と比べると数は少ないかもしれませんが、両方使える職人さんはなかなかいません。
カンナに関しては、電動である必要を感じないのですが、以前とんでもない大事件を耳にしましたので、最後に、電動工具の怖さ、危険性を訴えたいと思います。
上にあげましたいくつかの電動工具はどれも使い方を間違うと大ケガにつながります!
気を抜かず、技術を過信せず、確実に作業に取り組んでください。
【ここよりグロ話、観覧注意】
思い出しただけでも、気持ちが悪く、痛々しい話です。お控え下さい。
この電動カンナ。
木部表面を削り取る機械なのですが、その接地面は刃の巻き込み式になっているんです。
どういう事かと言うと、ぶっとい刃その物が高速で回転して、接地した表面を薄く掘るのです。
丸ノコのように大袈裟に目で見えていると、薄っぺらい円盤の刃物ですら「指が飛ぶ!」と怖くなり、気を付けて作業するものです。
ところが、電動カンナは刃が見えない。見えてもわずかな部分だけ。
ホントはめちゃめちゃ太い刃物が物凄いスピードで回転して、表面をえぐり取っているのに・・・
そんな電動カンナを使って、わたしの知人(家具業界者)はあろうことか、木材の破片を数ミリ削り取ろうと試みたのでした。
・・・まずはカンナを裏返し、接地面となる部位を上へ。
自らの方へ刃を向けるのです。
そしてスイッチオン!
ヴァイィィィィン!っという音と共に、勢いよく刃が回転、そこへゆっくりと、木片を持って、近づけたのです。
流石に怖かったのでしょう、ゆっくりと、近づけ、一瞬、手に持った木片が刃物に触れた?
と同時に、木片ごと指を巻き込み、 ギャーーーーーーー!・・・

痛くて息もできなかった事でしょう。
彼の親指は、切れて、落ちるのではなく、シュレッターに巻き込まれた如し、骨ごと一気に電動カンナにもっていかれたのでした。
もう、書いているだけで寒気がしてきます。
切断ならくっつくのでしょけどね。指肉のミンチですから。無理ですね

そんな危ない電動工具。みなさんは十分に注意して、確実に使いましょう!
以上「静かなる工房|アンティーク家具修復に電動工具は使わない。」
でした。
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