※2013年10月に公開した、この記事ですが思いの外「シェラックニス」・「フレンチポリッシュ」での検索が多く、みなさんこちらの記事を見てくださっている様なので追記更新です。
フレンチポリッシャーという仕事とその作業道具をご紹介します。
・フレンチポリッシャーって何?
参照リンク:フレンチポリッシュに使用するシェラックとは(THE RESTORY WEB)
「フレンチポリッシャー」
普段の生活ではまったく耳にしない職業ですよね。
私もロンドンのアンティーク工房に勤務するまでは、全く聞きなれない言葉でした。
簡単に言えば、家具構造の木工作業を行う職人がキャビネットメーカーと呼ばれ、
家具塗装(フレンチポリッシュ)を行う職人のことを フレンチポリッシャー と呼びます。
他には椅子の張替えを行うアッポストリー、金彩金箔を施すギルダーなどがいます。
私が勤めていたロンドンのアンティーク家具修復会社はThe Guild of Master Craftsmen認定店でしたので、ある程度勉強・修行を積んだ実績ある職人が集まるプロ集団でしたが、当時飛び込みで就職活動していた私を拾ってくれ、アンティーク家具修復のノウハウをこれでもかと叩き込んでくれました。
後にも先にもズブの素人であの会社の門を叩いたのは私だけ。おかげで今の生活があります。
フレンチポリッシャーと言うのはフレンチポリッシュをする者の意味です。
フレンチポリッシュは日本ではタンポと呼ばれる塗装技術で、コットンをキメの細かい布で包みシェラックニスを染み込ませキュッと絞ってパッと塗る。
「塗る」 という感覚よりも撫でながらのせる?のような非常に繊細で説明が難しい塗装技術です。
市販される化学塗料を使った塗装とは全く異なり、メタノールで溶解したシェラックニスが何ミクロン単位の層しかできないので、アルコールが揮発すれば数分で固まります。
ですので、塗っては磨き、塗っては磨きを一日に何度も何度も繰り返し層を増やしていきます。
幾度も塗り重ねる事によって光の屈折を作り出し、通常の塗装では得られない深みのあるアンティーク独特の輝きに近づきます。
熱やアルコール類には滅法弱いですが、完全な自然物で構成されている塗装は日本の漆のように家具の呼吸を妨げることなく、人体への影響もありません。
昨今のウレタン塗装などとは比べられる物ではありません。
・シェラック(セラック)ってなに?
参照リンク:フレンチポリッシュに使用するシェラックとは(THE RESTORY WEB)
元の原料はラックカイガラムシ。ネットでそのものを見たことがありますが、
この美しい仕上げからは想像もできない代物です。
このラック虫を精製したものが・・・
このシェラックフレーク(日本ではセラックとも呼ばれます)
ワックスを除去したシェラックフレークは美しくキラキラした宝石のようにも見えます。
イギリスでは通常シェラックフレークをメタノールで溶かしポリタンクに入った状態の商品が販売されていて、私の工房でも溶かした状態で仕入れ、使用していました。
ですが、日本で自らの工房を持つ準備をしていた所でアルコールを使った製品の輸入コストと入手方法が簡単ではなく、別の方法を考えた結果。
シェラックフレークを輸入し、自社工房で調合し溶解する事にしました。
そうすることで環境にあった適度な濃度のポリッシュが可能になるわけです。
シェラックにもたくさんの種類があります。
実際に私が使用しているシェラックフレークは4種類で、
1.ガーネットラック 2.レモンシェラック
3.ワックスを含むガーネットラック 4.ブロンズシェラック
これらを作品に応じて具合のよい割合で調合していきます。
一般で言われるのは「シェラック1カット(12g): メタノール100cc」で計算して2~3カットが家具塗装に適しています。
私の場合大体30%シェラックをワックス成分の有り無しで薄めて使います。
透明な液体が無水アルコールで左がワックス成分を少し加えたレモンシェラックで
右はスーパーブロンズ2カットです。
左がブロンズ真ん中がワックス成分入りガーネットで、乳白色になってます。
ワックス成分が濃いセラックだと、この様に濁っています。
右はワックス成分が入っていないガーネットラックです。
以上のようにアルコールでとかしたものを。。。
綿を布で包んだものに染み込ませて100回200回300回と重ね塗装していきます。
塗っては磨いて塗っては磨いてを繰り替えすわけです。
最終出来上がりは材質によって様々ですが、
アンティーク家具独特の深みある色艶に仕上がります。
シェラックを使ったフレンチポリッシュでなければこのような仕上がりにはなりません。
これは家具の世界に限らず、ヴァイオリンの登場と共にチェロ、ギターなどの木製楽器の塗装技術や食品の加工(主にチョコレートの塗膜)さらにはネイルペイントまで広く知られています。
特に食品や人体に直接触れるものには本来シェラック(セラック)のように天然素材のものを使用すべきと私は思います。
長くなってしいましたが、お付き合いいただきありがとうございました。
フレンチポリッシュやシェラックについて少しご理解いただけたかと思います。
・当店で販売・紹介しているアンティーク家具は全て天然塗料、フレンチポリッシュで出来ております。
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アンティーク家具の塗装剥がれ、木部破損等で修理をご検討中の方は是非ご相談下さい。
・融合する「和」と「洋」
参照リンク:桐箪笥をテレビボードへリメイク(THE RESTORY WEB)
近年、婚礼家具である桐箪笥をリメイクするご依頼を度々頂き、「和の桐材」+「洋のシェラック塗装」を融合した新しいインテリアのカタチを提案いたしております。
家具に対する塗装は用途・時代によって様々です。
桐箪笥に施す塗装仕上げは砥粉、焼桐、漆、柿渋などが古くからあり、さらに近年のオイルフィニッシュやウレタン塗装など多くの塗装方法で仕上げられています。
リストリーがお届けするリメイクの特徴は、日本で作られた時代家具やオーダーメイド家具にヨーロッパの伝統塗装技術フレンチポリッシュを加わえる事。
フレンチポリッシュは西洋の漆ともいわれるシェラックを使い、薄く薄く塗膜を重ね、アンティーク家具独特の美しい光の層を作り出します。
「和の木工」+「洋の塗装」異なる文化で培われた技術と技術の調和は他に類をみない、極めて珍しい貴重な作品を生み出します。
家具のリメイク、改造などお気軽にご相談ください。
リストリーアンティークではテーブルの再塗装修理や椅子の張替えぐらつき直しなどだけでなく、調度品(ランプ、アイアンフレーム、陶磁器、ドアなどの建具)の修理、修復を要するご依頼にお応えしております。出張修理にも対応しています
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こちらの記事は2013年、14年、18年と更新しています。詳細な使用方法や応用などご質問はコメント欄またはお電話・メールにてお願い致します。
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