独立人事総務業務請負人(人事総務IC)の木村勝です。
前回の記事で今年のベア分は年功賃金カーブの是正に充当されるのではという内容を書きました。
2013年4月に高年齢者雇用安定法が改正(労使協定による継続雇用対象者限定の廃止等)されましたが、まだまだ各企業は抜本的な処遇制度の確立までは至っていないような印象を受けます。
今回は、当方が感じる両当事者の本音(主観的な印象です)を記してみたいと思います。
【65歳定年時代の人事担当者の本音】
◆「なんで国の年金政策の失敗を企業に押し付けるんだろう。本来関係ないでしょう、年金と定年は!」
◆「65歳まで全員雇用といわれても、新たな仕事は設定できないので、そのままやってもらうか。賃金を下げる理由はなかなか付けづらいが、働けるだけましなんだから、賃金下げても誰も文句言わないだろう」
◆「60歳といっても玉石混交。本当は峻別して条件差をつけたいんだけれど、やはり納得行く説明しづらいから労働条件は全員一律でいくしかないか?」
◆「明日は我が身、間もなく自分の身に降りかかってくるような条件改悪はやめておこうかな~」
◆「60歳以降の急激な条件ダウンは影響大きいな。働きの旬の時期過ぎたら徐々に下げていく賃金体系にしておかないと会社がもたない。若年層からも”何で仕事しない年寄りにあんな給料を払うんだ”という声も出ているし。」
【中高年サラリーマンの本音】
■「60歳定年をゴールとして38年間毎日満員電車に揺られてサラリーマン生活を続けてきた。60歳になったら家内とのんびり旅行でも行こうと思っていたのに----」
■「マラソン35km地点まで走ってきて、いきなりゴールが5km伸ばされた感じ、これからどうなるのやら」
■「(とはいうものの)年金もまだ出ないし、まわりの仲間も取りあえず再雇用されて仕事を続けるようだから、自分も取りあえずそうしよう。経済的にも年金出るまで頑張らないと。実際60歳になってもこれといってすることないし」
■「給料はかなり減額になるが、今さら他の仕事もできないし、ましてや転職など無理無理!! 老後のことは、65歳になっららまた考えよう」
当事者間では微妙なギャップが存在しますが、現在の制度はこのギャップを解消するような制度にはなっているとは思えません。
次回は、当方が考える60歳以降の雇用制度についてご紹介したいと思います。