独立人事総務業務請負人(人事総務IC)の木村勝です。
先日(10/2)にビューティフrエイジング協会(BAA)の分科会で訪問したダイヤ高齢社会研究財団と明治安田生活福祉研究所による介護離職に関する調査結果が2014年11月23日日経朝刊に掲載されていました。
調査は8~9月、親の介護を経験し離職し、介護開始時に正社員だった全国の40歳以上の男女(男性1545人、女性723人 計2268人)を対象に調査を行なったものです。
主な結果を記すと
①介護を始めてから以前の会社を辞めるまでの期間
・1年以内の人が男性52%、女性56%
⇒長年の介護の結果やむなく離職というイメージを持っていましたが、意外に早くから介護対応のため退職を余儀なくされているケースが多いようです
②転職先でも正社員として働いている人は、男性で3人に1人、女性で5人に1人
⇒転勤前提のフルタイムでの勤務では介護できずということで離職された方が多いと想像できますので、やはりアルバイト・パートで勤務されている方が多いようです
③転職前後の年収 男性556万→341万円(約4割減)、女性で350万→175万円(半減)
⇒やはり40歳以降での予定外のキャリアチェンジは厳しいようです。
また、興味深いのは
④仕事を辞めて介護に専念している人のうち、介護を始めたときに親と同居していた割合は男性55%、女性51%、同じ仕事を継続しながら介護をしている人より10ポイント以上高い
⇒親との同居が既に生活にビルトインされているためか介護発生→完全離職につながりやすいようです。
⑤介護に専念している人に、以前の職場で介護休暇などの制度の利用の有無を確認した結果は、男性65%と女性の63%が「特に利用していない」と回答
⇒制度の周知が足りない or 実際に使いにくい制度になっている&周知されていない可能性があります。
研究所では、「介護離職を防ぐため、企業は介護と仕事を両立できる制度を整えるとともに、利用につながるように従業員への周知を徹底する必要がある」と指摘しています。
各社とも介護休業法施行に伴い制度は導入していますが、取得の条件としては公的介護保険の「要介護状態にあること」を取得の条件にしているところが多いかと思います。
要介護になる前の段階から休みが取れ、関連施設など事前の打ち合わせなども初期段階から関与できればいいのですが、いよいよ要介護という状態になってにっちもさっちもいかずに介護離職・転職ということになっている事例も多いと思います。
親世帯との同居・非同居、兄弟サポートの有無、要介護の状態など育児以上に家庭毎の事情が異なることもあり、なかなか勤め人の介護対応の問題は根が深いです。
難しい問題ですが、親の介護も自分のキャリアプランに組み込み、介護と仕事の両立方策を考えておく必要あるかと思います。
サラリーマンに比較すると当方は自営業ということで若干の自由度はありますが、いざ発生というときには当方も策なしの状態です。
在留資格「技能実習」拡大による100万人不足といわれる介護要員の確保の検討も進められていますが、元気なうちに家族内で話あっておくことがまず第一歩でしょうか。
悩ましい限りです。