厚生労働省「業務適正化推進チームとりまとめ」が公表されています | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

先の国会での法案資料や省令でのミス発生を受け、その再発防止のために設けられていた「業務適正化推進チーム」のとりまとめが厚生労働省HPに公表されています。

公表資料は、A4一枚の概要資料とA4六枚の全体とりまとめ資料の2種類ですが、全体とりまとめ資料を見ると今回のミス発生の背景のようなものがにじみ出ています。

再発防止に必要な視点として次の4点があげられています。
①意識改革の徹底
②組織としてのチェックの徹底
③業務の改善
④取組の継続

この4つの視点の中で①の部分に職員の皆さんの本音がにじみ出ているような気がします。

○「職員が本音を言い合える風通しの良い職場となるように組織として取り組む」
○「他者の誤りを自らのこととして共有する意識が弱い部分があったと考えられる」 等々

真の原因は明らかで、やはり業務量と職員数のアンマッチだと思います。
(もちろん業務効率化の余地はありますが、現在の業務のやり方の前提のもとでは)

「こんなに忙しいのに人の手当てはまったくない」
「自分の業務で手一杯、他者の誤りまで目が回せない」
こうした部分が先ほどの①の視点に書かれている職員の皆さんの本音だと思います。

朝日新聞に数字が出ていましたが、通常国会の審議時間で見ると総務省が12法案を提出した総務委員会は76時間だったのに対し、厚生省が11法案を提出した厚生労働委員会は倍近い143時間だったとのこと。

再発防止策でも
「業務量に応じた必要な組織定員要求を行う」 あるいは
「部局長・課室長等は、部局内・部課内で業務量に応じた適正な人員配置となっているか目配りを行い、業務量の変動があった場合には機動的な対応を行う」
等の対策が打ち出されていますが、ここが本当にできるかどうかが今回の再発防止策の肝ですね。

要員確保・再配置が難しいのであれば、
「今は非常事態なので、まずは各担当者がたたき台をガンガン作ってくれ、最終チェックは専門部隊を組織してそこが責任を持ってやるから」
といった対策であれば、効果はあるような気がしますが、今回の対策を見ると
「文書作成者は文書を紙に打ち出し、行ずつ(又は一節ずつ)赤字でチェックマークを入れながら~~目視で確認する」
といった対策があがっています。

人員見直しなど抜本的な対策は手つかずで、こうした対策だけが実際に行われることになると、ますます「本音を言い合える風通しの良い職場」づくりは難しいと思いますが、いかがでしょうか。

良い悪いは別にして、(ホワイトカラーエグゼンプションではないですが)今までは自分の担当領域についてはプロ官僚としてプライドを持ってハンドリングしてきたわけですので、あまり”赤ペンチェックの実施”(コピペ防止策だと思いますが)のような部分ばかり徹底されると、再発防止の重要な視点である「意識の改革」には逆効果になるように思えます。

「人員の適正化」

再発防止策として実行できるかどうかが今回の「業務適正化推進チーム」のポイントだと思います。