独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
昨日(2014年3月19日)の日経朝刊に「70歳まで雇用 来月導入~東急リバブル 高齢者活用広がる~」という記事が出ていました。
東急リバブルさんでは、現在65歳まで継続雇用しているとのこと(ごく一般的な高年齢者雇用安定法対応です)
記事情報によると、現在は定年退職者の8割弱が雇用継続を希望し、60~65歳の社員の方が50人働いていらっしゃるようです。
今回の4月からの新制度では、優れた営業力を持つなど一定の基準を満たした社員の方を対象に継続雇用の上限を70歳に引き上げるという内容です。
背景には、不動産業界特有の事情もあるようです。
記事によると、
”ベテラン社員ほど地域の不動産の動向に精通しており営業への貢献度も高い。これまでは退職後に独立し競合関係になるなど会社にとって損失となっていた。これまで培った経験や人脈を中堅・若手社員に引き継いでもらうことで、会社全体の営業力を底上げする”
という狙いです。
人材紹介会社のキャリアコンサルタントなども同様な職種だと思います(実際年齢関係なく働いている方が多いです)
先日当方ブログ(成長戦略の中核「女性の活躍推進」について思うこと)でも触れましたが、内閣府発表の2060年に向けた労働力人口見通しでは、女性や高齢者の労働参加が全く進まない最も悲観的なシナリオでは、今より43%減になるというデータが出ています。
今後は、こうした”条件付き”で上限を見直す企業は増えてくると思います。
勤める側から見ると、60歳定年というゴールが、いつの間にか65歳になり、更に場合によっては、70歳までの継続雇用の可能性があるという状況になります。
今までは60歳、あるいは65歳という区切りで一度足を止めて新たな選択肢を選ぶという節目がありましたが、制度として70歳までの継続雇用の可能性があるということになると、そうした新たな選択を行う時期がますます後ろ倒しになる傾向が出てくることは、間違いないと思います。
制度として雇用上限期間が引き上げられることは、ウエルカムなことですが、個々人としてはそうした会社制度とは別に自らの人生の方向性(キャリアプラン)をキチンと見極めるタイミングを自ら設定することが重要だと考えます。
当方先月末52歳でサラリーマンというレールから降りるというキャリアチェンジをしましたが、その遠因には、35歳のときに急性心筋梗塞の経験があるような気がします。
”人生いつゲームオーバーになるかわからない”
我ら中高年世代にとって、柳川範之東大教授の言う”40歳定年制”の時期は、とうに過ぎてしまっています。
こうした世代にとって60歳定年という時期は、自分の人生を考える大きな分岐点として従来以上に意識的に捉える必要があると思います。
”70歳でリタイア! 長年の夢だった百名山にこれから登るぞ!
その時点では、体力的にも気力的もチャレンジは、難しいかもしれません。