独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。
厚生労働省から2つの縦断調査が公表されています。
縦断調査とは、同じ集団を対象に毎年調査を実施するもので、結婚、就業に対する意識やその実態などについて同じ人たちの経年変化が読み取れる調査です。
一つは、2月19日公表の「第8回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)」です。
もう一つは、3月6日公表の「第1回21世紀成年者縦断調査(平成24年成年者)」及び「第11回21世紀成年者縦断調査(平成14年成年者)」調査です。
まずは、中高年者縦断調査から見てみたいと思います。
今回の調査は平成17年10月末に50~59歳であった全国の中高年世代が、7年経ってその当時に考えていた60歳以降の就業希望と60歳以降の年齢に実際に到達し、その実際の就業状況がどのようになっているかなどについて分析をしています。
結果を簡単にご紹介させて頂くと
①7年前に「60~64歳は仕事をしたい」と希望していた人のうち、実際に「仕事をしている」男は81.2%、女性は66.3%
②「65歳以降仕事をしたい」→実際は、男67.5%、女57.5%
③7年前に「60~64歳は仕事をしたい」と希望していた現在60~64歳の人のうち、今回実際に「仕事をしている」割合は、免許・資格を「取得したことがある」で男は82.2%、女性は69.9%
③など当然と言えば当然ですが、積極的に資格・免許にチャレンジした人は60歳以降の就業割合が高くなっています。
やはり就業に向けた意識・アクションが大切であることをデータが示しています。
一方、21世紀成年者調査は、従来の平成14年調査に加えて今回平成24年から始まった”平成14年世代の10年後世代”の調査の結果も出ていることがポイントです。
長くなりましたので詳細は実際の厚生労働省HPで確認頂ければと思いますが、気になるのは
「20歳独身女性の結婚後の就業継続意欲」の項目です。
10年前に比べ正規社員では「結婚を機にやめるが減少」、逆に非正規では「結婚した後も続ける」が減少しています。
この10年間に育児休業関連の制度は格段に充実してきていますが、正規・非正規でその適用状況に差があることは事実で、そうした状況がこの数字に反映しているのかもしれません。
(このデータだけでは判断できませんが)
よく人事部では、新入社員を「○○世代!」とステレオタイプ化して見たりしますが、今回の成年者調査は、10年間の世代間の意識差をデータで見ることができる貴重な調査結果だと思います。
今回第1回目が公表された平成24年縦断調査と従来から続く平成14年縦断調査の比較もこれから人事担当者としても貴重な情報源になりそうな気がします。
一度厚生労働省HPのぞかれてみてはいかがでしょうか!