ストレスチェックを義務付ける安全衛生法改正案が間もなく国会提出のようです | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

独立人事業務請負人(人事IC)の木村勝です。

昨日11日の日経朝刊に ”「心の病」検査年1回義務化”という小さな小さな記事が出ていました。

国会HPを見ると、昨日は(これも今回の国会での雇用分野に関する大きなテーマである)派遣法改正案が参議院へ提出されていましたが、労働安全衛生法改正案はまだのようです。
(近々提出されることと思います。)

この労働安全衛生法改正案の最大の目玉は、日経記事にもありますように「心の病検査」いわゆる「ストレスチェック」検査の実施義務付けです。

実は、この法案は2010年に提出されていたのですが、さきの政権交代の衆議院解散により、廃案になっていました。
昨年6月から安全衛生分科会で検討を再開、2013年12月24日労働政策審査会へ建議、2月4日に答申というプロセスを経て、昨日閣議決定となったようです。

ストレスチェック実施については、以前から日本産業衛生学会などからも「チェックリストの妥当性、有効性が確認されていない」と反対意見が出てもめにもめていた内容です。

EAP(Employee Assistance Program=従業員支援プログラム) 専門会社によるメンタルチェックでも、本人のストレス感受性と現在のストレス状態の両面から、それも数多くの質問を通じてそのストレス状況を判断する形になっているところが多いと思います。

”検査の項目については、国が標準的な項目を示すべき”と分科会報告書では記載されていますが、時間・手間の関係もあり、EAP会社ほどの精緻な内容にはならないことは確実です。

また、検査にかかる費用は事業主負担となりますので、使用者側の反対も大きかった内容です(試算によると1人あたり350円の追加費用負担になるというデータを見たことがあります)

2年連続で自殺者数は3万人を割る水準にはなっていますが、2013年でまだ2万7195人という自殺者データを見ると、この分野で何らかの対策を講じることは必要不可欠だと思います。

あまり知られていませんが、厚生労働省が運営する
「こころの耳」というメンタルヘルスに関する内容の充実した素晴らしいHPがあります。

せっかくの法改正、こうした ”こころの耳” の周知などを含めて実効性のある対策としていく必要があると思います。

法改正後の運用ベースになるとまた課題(例えば産業医が関与することになりますが、精神科の産業医の先生は極めて少ないなど)も出てくるかと思いますが、
各企業の人事・健康管理部署も本改正を前向きにとらえて取り組む必要があると思います。