高年齢者雇用安定法と労働契約法「無期転換ルール」のねじれ解消へ | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

2014年3月7日、第186回常会(通常国会)に、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」が提出されました。

今回このブログで取り上げるのは、上記の”等”とされている「定年後に有期契約で継続雇用される高年齢者」の部分です。

①労働契約法と②高年齢者雇用安定法はともに2013年4月施行で改正されています。

①は、例の繰り返し有期雇用を更新し通算5年を超えた場合は、労働者の申込により、無期労働契約に転換できる(労働契約法第18条)という内容です。

②は、これも皆様ご承知の「継続雇用制度の対象者となる高年齢者につき、従来は労使協定で定める基準で限定できたものが出来なくなった=65歳までの雇用の実質義務化」という内容です。

①、②の合わせ技で以下のような問題が発生していました。

■60歳で定年退職を迎えた高年齢者を高年齢者雇用安定法の義務化の定めに対応して、再雇用制度(ほとんどの企業が再雇用制度で対応していると思います)で有期契約(ex.1年毎)で採用
■義務化の65歳まで毎年契約更新
■その結果、65歳に到達し、それ以降5年を超えると無期契約へ転換する必要が出てくる

定年退職で無期→有期に変更し高年齢雇用安定法の義務を果たそうとすると、今度は再び無期で契約しなければならなくなるというおかしな?現象が発生する可能性があったわけです。

こうした状態の元では、企業側も今度は5年を超えないように高年齢者の有期契約の雇い止めを行う可能性があります。

定年後の安定雇用をかえって損なう恐れがあるということで、今回「定年後引き続き雇用されている期間」は、5年の特例扱い(適用しない)にするというのが改正案の内容です。

施行は2027年4月1日予定、具体的には予算審議後に検討開始となると思いますが、当方は当然の改正だと思います。

また、具体的な運用は、法案成立後に整備されてくると思いますが、おそらく定年退職後の再雇用契約締結・更新時には、労働契約の中で「特例対象であること」を明示する必要があるなどの要件が出てくると思います。

人事部の皆様も、来年再雇用制度での労働契約書締結・更新の際は注意が必要です。

法案の今後の動向については、本ブログでも引き続きウォッチしていきたいと思います。