こんにちは、凛です。


弁護士名義で送った、不倫女への内容証明郵便。


それが発送されてから、3日後の土曜日のことです。


その日は夫も私もパートが休みで、リビングでなんとなく各自スマホをいじりながら、重苦しいような、でも表向きは静かな時間が流れていました。


その静寂を破ったのは、夫のスマホの、狂ったような連続の着信音でした。


画面を見た夫の目が、一瞬で大きく見開かれるのを私は見逃しませんでした。






いつもなら「あ、会社からだわ」と嘘をついてベランダに出るはずの夫が、その場から一歩も動けず、画面を凝視したまま固まっています。


メッセージの通知も止まりません。


チラリと見えた画面には、焦り狂ったような文字が並んでいました。


『どういうこと!? 弁護士から手紙が届いたんだけど!』


『200万円請求されてる! 奥さんにバレてんじゃん! どうにかしてよ!』


……届いたんだ。


あの女の元に、きっちりと地獄からの招待状が。

夫はスマホを握りしめたまま、ガタガタと目に見えて震え始めました。


額からは、タラリと冷や汗が流れています。


さっきまでポテトチップスを食べながらテレビを見ていた男の顔から、一瞬で血の気が引き、完全に土気色になっていました。


「……あ、あのさ、凛……」


蚊の鳴くような、掠れた声で夫が私を呼びました。


「何? どうしたの?」


私は、わざとらしく小首を傾げて、これ以上ないくらい無邪気な笑顔で夫を見つめました。


夫は私のその「いつも通りの笑顔」を見て、さらに恐怖を感じたのかもしれません。完全にパニックになった頭で、スマホを私に突き出してきました。


「これ……これ、何かの間違いだよな? お前の名前で、俺の友達のところに、弁護士から変な手紙が届いたって……。お前、何かしたのか?」


往生際が悪すぎる夫。


まだ「友達」と言い張るその図々しさに、私の中で冷たい怒りが頂点に達しました。


私は笑顔をスッと消し、能面のような無表情で夫の目を真っ直ぐに見据えました。


「間違いじゃないよ。私が弁護士さんにお願いして送ってもらったの。だって、あなたたちが楽しそうにラブホテルに入っていく綺麗な写真、私の手元にたくさんあるんだもん」






「え……?」


夫の口が、金魚のようにパクパクと開いたまま固まりました。


自分が完璧に泳がされ、逃げ場のない檻の中に閉じ込められていたことに、この男はついに気づいたのです。


次回、「言い逃れ不可能の修羅場」。ついに始まった夫との直接対決と、夫が放った信じられない一言をお話しします。