前回はうつ病の症状について書かせていただきました。

今回は、鍼治療は有効な方法なのか。また、別の方法があるのかなどについて書いてみます。

 

まずは、医師にうつ病ですと言われた場合。

うつ病と診断された方は、まずは休むことが一番です。

脳が明らかに疲労して機能低下状態であるために、脳を休めるためにも休む必要があります。

それとお薬での治療が優先されます。

 

 

では、鍼治療はどのような場合に有効なのか。

前回も少し載せましたが、うつ病の診断に、テストを使用する場合がございます。

テストでは、軽度-中等度-重度-最重度などのように結果が4段階や3段階などで分かるようなっております。

ここでの重度以上がうつ病に該当します。

重度・最重度の場合は、上記に書いているように休息と薬物治療が第一選択となります。

 

鍼治療が有効なのは、軽度・中等度のレベルの方(抑うつ状態)には有効であろうと考えます。

また、うつ病の方で休養とお薬の治療を少し行った後(2カ月~3か月)に、鍼治療を併用することで、脳内のセロトニンや前頭前野(頭の前側)の機能回復をサポートできると考えます。

 

 

鍼治療はどうして軽度や中等度の抑うつに効果があるのか。

鍼灸というと東洋医学・ツボ・気の流れなどをイメージされる方は多いと思いますが、全日本鍼灸学会など日本でも海外でも鍼治療のエビデンス(科学的根拠)の研究が盛んにおこなわれております。

 

今回はうつ病について書いておりますが「慢性疼痛」「自律神経の問題」「ストレス疾患」「自律神経の影響による卵巣・子宮」などなど、毎年様々な鍼治療のエビデンスの研究が国内外の学会や論文などで発表されております。

 

 

話を戻して、うつの状態では、脳内でのセロトニン量の減少や前頭前野の血流が低下(機能低下)していることがわかっております。

鍼を肘から先や膝から先に打つことで前頭前野の血流が改善することや脳内のセロトニン量が増えるもわかってきております。

また、顔や頭にも刺入することで改善する場所がございます。

千田も精神科とともに鍼治療で血流が改善するかという研究を約1年6カ月行っておりました。(下記の写真・掲載許可済み)

 

 

もう少し、どうして軽度や中等度に有効なのかということをお話をさせていただくと、このレベルでは、まだネガティブな思考がパターン化(長期記憶への保存/認知行動療法ではスキーマと呼ばれています)されていないために、脳の機能や血流が改善することで抑うつ気分も改善することができます。
 

-憂鬱な状態が少し続いたら早い段階で鍼治療を受けましょう

 

 

では、ネガティブな思考がパターン化・固定(スキーマ)してしまっているうつ病の方には鍼治療は有効ではないのか。

残念ではありますが鍼治療単独では有効な方法とは言えません。

また、鍼治療だけでなく薬もあまり有効な方法とは言えません。

有効な方法の一つとしては、認知療法・認知行動療法が今のところ有効な方法の一つと考えられております。

 

 

ネガティブな思考がパターン化してしまっている方には、お薬も有効な方法でないとはどういうことか。

お薬は気分を変えるお薬であって、スキーマや固定化している記憶を変えるお薬ではないからです。

 

お薬については、SSRIなどのうつ病のお薬に関しては、このお薬が有効ですという証明するための研究では、様々な細かい決まり事(ちょっとでも該当しない患者の場合は除外されるなど)のうえで、エビデンスがありますと証明されているため、普段、何の制約もない状況でうつ病になった方に対しての治療の効果とはずいぶん違っているようです。
 

例えば、うつ病でSSRIが有効でない方は80%という発表があったりしますが、日常でのお薬の治療効果としては、

うつ病の30%強の方には有効(完全によくなる方)

30%強の方はうつ気分は良くはなるが残遺症状が残ってしまう

後の30%強の人は無効・お薬が効かないという発表がなされたりしています。

 

※残遺症状・・人によってどの症状が残るかはわかりませんが、うつ気分がよくなってもこの症状が取れないと再発率が3倍から5倍と言われております。

●抑うつ気分(憂うつな気分) ●意欲低下(やる気がいまいち) ●興味関心がない ●食欲不振 ●不眠(眠りが浅いなど)ないし過眠 ●不安感 ●焦燥感 ●身体の痛み(人により場所が違う)

 

要するにうつ病期間が長いとネガティブな思考が固まってしまったり、自分自身や周りに対して、ネガティブな視点でしかとらえられなくなってしまいます。そして、それが益々強化されていってしまうところに問題があります。

 

 

結論としては、

1、鍼治療単独でも有効な場合は、うつ病まで発展していない抑うつ状態の方や軽症には有効であろうと考えます。また、その時の身体症状としての筋肉の痛みなどにも有効です。

 

2、うつ病になってしまっている方には、鍼治療よりも医師の治療が最優先されます。

また、認知行動療法も有効なために薬物療法との併用療法として用いられます。

なお、治療を開始して2カ月とか3カ月たった後に鍼治療を併用することは可能であり、薬単独治療よりも効果がある場合もございます。

 

3、うつ病の状態が長い場合は、スキーマの問題(ネガティブな長期記憶)が問題となるので、認知行動療法が選択肢の一つとなります。また、再発を繰り返している方も同様です。

 

うつ病になる手前、ストレスを感じているがうまく解消できないなと感じている時に鍼治療を受けられることをお勧めいたします。

また、ネガティブな考えが固定化する前に鍼治療と認知行動療法を併用することも有効な方法の一つです。

リスタでは、心療鍼灸と呼んで併用方法も行っております。

 

ご注意

うつ病期間の長い人(難治とか慢性とか言われている)でも、『当院の鍼灸治療でよくなります』とコマーシャルされている鍼灸院もございますが、鍼灸治療がどのようなメカニズムで効くのかという現在医学的な視点(エビデンス)で考える千田としては「本当によくなると思っているのか」と思ってしまいます。

 

 

千田から一言

頑張ることはいいことかもしれないが、頑張りすぎたり、2週間以上にわたって頑張り続けることは脳にとってあまりよろしくないことです。

それともう一つ、人と比べてこれぐらいは我慢しないととか、できないとと考えることもよろしくないことです。

 

個人個人弱いところは違っているので比べてもしょうがない。

あなたの脳が「疲れているよ」と言っていることがサインです。

その場合は、鍼灸治療を受けることを勧めます。

 

 

お申込み等は以下のサイトでご確認ください。

なお、スマホ対応サイトに移行中のため、現在のサイトはスマホ対応になっていませんのでご了承ください。

 

 

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千田 恵吾