皆さん、お久し振りです。GWは如何お過ごしでしたか?


ERのローテーションが終わりました。

感想を一言で言えば、とても勉強になり、楽しかったです。


当院のERには、1日150人から250人程度の患者さんが来院します。

婦人科や小児科、外科は別で、それらを除く1/3程度を我々内科のER当番が

担当しています。救急車は1日30台余りです。

当院は3次救急は別に救急センターを持っているので、1次、2次救急に

なります。殆どは急性胃腸炎、風邪、喘息、末梢性眩暈等ですが

中に心筋梗塞や腹膜炎、卵巣嚢腫の茎捻転などが混じっています。

入院が必要な患者さん、入院を希望する患者さんは1日20人くらいに

なる事もあり、もちろんとても全員は引き受けられないのが現状です。

その場合、やはり命の危険が迫っている人が優先になりますので

眩暈や胃腸炎の方は辛くても入院をお断りしたり転院して頂く事が多いです。


忙しい時のERはみんなイライラしていてやりにくい事もあります^^;

なるべく周りがイライラしていても穏やかにやる事を心掛けていますし、

スタッフや他科の先生にも相当気を使ってやっていますが

あまりにも理不尽な先生には負けずに言い返してやります。

嫌な先生はそんなにはいないですけどね。


5月からは新しいシニアレジデントが入局してきました。

1年前を思い出すとなつかしいです。少しは力がついたかな…。


私は今年は、


膠原病科2ヶ月→整形外科1ヶ月→内分泌内科3ヶ月→腎臓内科3ヶ月

→血液内科3ヶ月


の予定です。そして目標は内科認定医!いいかげんに取らないと^^;


ブログにも書きたくてまだ書いていない記事がいくつかあります。

今後は、病院のLANも復活したので、もう少し更新出来るのでは

ないかと思っています。今後は、


①CO中毒


②膵炎?イレウス?


③重症を見逃さない眼


④ゾメタ


等のタイトルを予定しています^^

お暇な時は『じゃがいも』を思い出して下さいね。


メイロン(炭酸水素ナトリウム)。基本的な薬でありながら、実はあまり良くわからないで

使っておられる先生が多いように思います。如何でしょうか?


まずはどんな場合に使うか、です。まずCPAの場合。

高K血症での使用は明らかに有効性が確立しており(ClassⅠ)、誰も文句はないと

思います。また、三環系抗うつ薬やアスピリン過量時も、ClassⅡaであり、まぁ

悩まずに使用出来るのではないかと思います。その他、例えばCPAでは循環不良で

乳酸アシドーシスになる事が多いのですが、これに対しては実際的な効果は殆ど

期待されておらず、何をやっても厳しい時のみ、やってみようかという感覚です。


理由は、

①動物実験でも生存率が改善されない

②酸素解離曲線をシフトさせ、末梢での酸素解離を抑制する

③ナトリウム、浸透圧負荷が有害

④paradoxical acidosis(血液のpHが上がっても、組織や脳ではむしろ低下)

⑤カテコラミンを不活化

などマイナス要素が多くが挙げられていることにあります。


まして呼吸性アシドーシスではもってのほか(ClassⅢ)です。

基本的なことだと思うのですが、pCO2の著増したpH7.00の患者さんに、私と同じくらいの

医師が大真面目にメイロンを注射(しかも250ml)しようとしている場面に出くわしました。


適当に理解されているのは、使用量です。

だいたいのテキストには、使用するメイロンの量がmEqで記載されています。

ところが、メイロンのアンプルには7.0%とか8.4%とか書いてあるので

正直よくわかってない(わかろうとしていない)先生が多いようです。

炭酸水素ナトリウムは、1gが12mEqです。

8.4%20mlには、1.86gの炭酸水素ナトリウムが含まれていますので

12×1.86≒20mEqが入っている計算になります。

つまり、

1ml≒1mEq

なのです。常識?でも結構周りの先生は知らないようでした。

使ったことないのかな?


投与スピードは、2mEq/分(100mEq/時)以下とされています。


ちなみに何故メイロンに7.0%と8.4%があるのでしょう?

どうも、最初は7.0%のみだったのが、計算が面倒なので(1mlが0.833mEq)、

後から8.4%が出たのだそうです。8.4%は無理に溶かしているので不安定で、

多少白濁しやすいのが欠点で、開けたら急いで使うように気を付けましょう。


で、実際に投与する量は、不足する塩基量から計算します。

計算の方法はいくつかあるので成書に譲るとして、

救急の場で細かい計算をするのは実際的ではありません

そんな時はまず1mEq/kgを投与するという手があります。

(臨床医マニュアル 医歯薬出版株式会社)

普通の体格の成人ではメイロン60mlくらい(高齢者では少なく)から、ガスを見ながら追加が

正しいと思います。250mlのボトルをドボドボ入れる方は、目標のpHを

どの辺に置いておられるのかといつも思ってしまいます。


メイロンが配合注意が多いのはご存知かと思いますが、それでもたまにドパミンが

入っている側管からメイロンを入れようとしているのも見掛けます!!!オソロシイ

また、ヴィーンF等にメイロンを入れている先生も見掛けます。

炭酸水素ナトリウムを緩衝液の中に入れると?どうなるのかは知りませんが

ビン注したいなら普通5%glucoseに入れます。


末梢性めまいに対するメイロンは、その意義は不明ながらも、適応も通って

いるので使用するのは良いと思います。が、耳鼻科の先生などはよく

これくらい入れないと効かない!とか言って250mlのボトルを使っています。

確かにこれくらい使用しないと効果がないという意見は多いのですが

250mL中には12gの食塩を含んでいますのですごいナトリウム負荷になるのは…

知っておられるのでしょうね。当然低Kにも注意が必要ですね。


また、メイロンがそのままの濃さで点滴して血管外に漏れると、壊死を起こす

可能性があります。使用上の注意をみると必ず希釈して使うように、とあります。

(一方でめまいでは薄めると効果が低いという先生もいますが)

それを考えると私は末梢性めまいでの使用はどうなのかな、

って思ってしまいます。










4月いっぱいでERの当番が終わり、5月からはリウマチ・膠原病科にローテート

する予定です。


今日は、当院のレジデントに人気の高い、この本を紹介します!


kougennyou


読みやすく実際的で、目からウロコの連発です。

全部はまだ読んでいないのですが、良書です。

原因不明の発熱における、ESR(血沈)やANA(抗核抗体)の意味、

ステロイドの使い方などは膠原病とは関係なく知っておかなければ

いけない知識です。


本屋さんで見付けたら、是非一度手にとってみて下さい。


パソコンの不調も手伝って、すっかり更新が空いてしまいました^^;


さて、15日、16日はACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)の講習を

受けに行ってまいりました。ACLSは 気管挿管、薬剤投与といった

高度な心肺蘇生法を指します。もちろん2日でたくさんの技術や知識が

身に付くわけではないのですが、基本的な考え方を学ぶという意味では

得るものが多かったように思います。


医療者以外の方は以下を読んでもあまり面白くないかもしれませんが、

その前にみなさんに是非これだけは伝えておきたい事があります。

脳梗塞、心筋梗塞は死因の上位を占める頻度の高い致死的疾患ですが

初期に病院に来られれば、かなりの確立で後遺症も少なく

元気に退院することが出来ます。

しかし、そのためには、出来れば30分~1時間くらいで病院に来る

必要があります。脳梗塞の、血栓溶解が可能なのは3時間以内。

しかし3時間後に来たのではアウトです。

CTや採血結果がわかって初めて可能なので、発症後どんなに遅くても

2時間で来る必要があります。心筋梗塞も、最も効果があるのは

同じくらいでの治療開始です。

そのため、症状が出たら、そのうち良くなるかもしれないから、とか

まさか脳梗塞ではないだろう、などと考えず、

と様子を見ないで、すぐに救急車を呼んで下さい。

特に血糖や血圧、コレステロールが高い方。喫煙者は

いつこのような病気になってもおかしくない、という気持ちでいる

ことが早期の受診につながるのではないか、と思います。

繰り返しますが、そのような場合、近所の医者に相談に行くのではなく

救急車を呼んで下さい。血栓溶解やカテーテルが出来る施設は

限られています。近医を訪れているうちに、最適な治療が

受けられなくなる方が非常に多いのです。



さて、ここからは一応医療者向けの内容です。


慣れない医療者が、心肺蘇生(以下CPR)の場面に出くわすと、

真っ白になって何をして良いのかわからなくなると思います。

特に医師は、CPRの指揮官ですからまごまごしている訳にはいきません。

ACLSの考え方はとてもシンプルで、まず考えるよりも体が動く訓練でも

あります。動けばその先は自然に出てくるのです。

臨床は必ずしもシンプルではありませんが、基本的な考え方に

立ち返ることで解決が見えてくることも多いと思うのです。


色々なるほどと思う事がありましたが、中でも自分としては画期的だったのは、

wide QRSのtachycardiaは、違うとわかるまではVTとして扱う、というもの

でした。これはwide QRSのtachycardiaは90%がVTということもありますが、

VT以外のwide QRS tachycardiaがあると言われるようになってから

診断の迷いからVTの治療のタイミングが遅れ命が失われるようになった

という歴史への反省から出た考え方なのだそうです。

我々の使命は、患者さんの状態を悪くせずに循環器内科医につなぐ事です。

そのためにはwide QRS tachycardia=VTで行動し、責められる事はない

わけです。

ちょっと焦ったのが、練習の時と違って、実技の試験の時に

「自分以外は看護師さんひとりだけ」という慣れない設定であったことでした。

少しとまどいましたが、心マと人工呼吸をひとりでやってもらえば良いということに気付き、

自分が除細動と静注を担当することで何とかクリア出来ました^^

(例によって試験で落ちる人はいないんですけどね…。)

実際小さな病院は、こういうところがあります。

こうして考えると、2人という人数でも、なんとか有効なACLSが出来るという

事なのだなぁ、と感心してしまいました。


さて、ACLSは参加費なんと38000円。二日間8時30分くらいから午後5時くらいの

時間です。雰囲気はとても良かったです。

威圧的な先生はおらず、こんな事も知らないのか、などと

言われませんので、緊張せずに受けることが出来ました。

BLSと違い、参加者はほとんど医師でしたが、看護師さんも何人か

いました。ライセンスの有効期間は2年間なので、また2年後受け直さないと

いけないのです…年間19000円はちょっと…ですが。

申し込みはAHAのサイトから直接は出来ません。

個々の開催地のサイトから、ネットで申し込み出来ます。

昨日の続きです。卵巣腫瘍茎捻転について、内科医である私は弱いのですが、

一応まとめておきます。付け足しがあったらお願いします。


【卵巣腫瘍茎捻転】

産婦人科において、急性腹症として子宮外妊娠と並ぶ代表的疾患のひとつ


腫瘍壁が捻転⇒静脈の閉塞⇒うっ血、出血⇒腫瘍が増大。

更に解除されないと動脈の閉塞、出血性梗塞⇒組織壊死、破裂。


茎捻転しやすいのは…中等度(5~7cm)の卵巣嚢腫

特に皮様嚢腫(デルモイド)。皮様嚢腫は卵巣腫瘍の10%だが、殆どが有茎性のため

捻転を起こしやすい。全捻転の30%を占める。


症状:下腹部の激痛、同側の腰痛が典型的(尿管結石と紛らわしい!)

本格的な茎捻転では鎮痛剤は1~2時間しか効かない!


検査所見:

デルモイドは単純Xpで確認出来ることが多い。また腫瘍内で出血などが起こると

X線で判断がつく事あり!


CT所見:

①腫瘍の増大、腫瘍壁の肥厚

②卵管の肥厚(通常卵管はCTでは分からない)

③腫瘍に集中する血管の怒張

④造影剤効果の欠如(壊死、梗塞)


鑑別診断:子宮筋腫の茎捻転、卵巣出血、子宮外妊娠