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50代からの人生リスタート戦略ノート

“複業成功と承継支援――二つの視点から50代の再スタートを応援”

会議が多い会社ほど、安心感があります。


議題が整理され、資料が整い、議事録も残る。
誰が何を担当し、いつまでに何をやるかも明確。
 

外から見れば「組織として成熟している会社」に見えるでしょう。

 

ところが、そういう会社ほど——
後継者が育たない、という矛盾が起きることがあります。

 

会議は正しい。運用も正しい。
それなのに、次の世代が育たない。
 

現場の感覚としては、ここがいちばん理解しにくいポイントかもしれません。

 

 

 


「正しい会議」は、何を守っているのか

会議が“正しく”回っている会社には、共通する空気があります。


それは、議論が荒れないこと。
大きな衝突が起きないこと。
そして、決めたことが粛々と進むこと。

 

もちろん、それ自体は悪いことではありません。
 

ただ、その「整い」の裏側で、会議がいつの間にか

  “決める場”ではなく、“守る場”になっていることがあります。

 

守っているのは、プロセス。前例。暗黙のルール。
 

そして、もっと言えば——
経営者が不安にならない状態です。

 

この状態が続くと、後継者は会議の中で「発言」よりも先に、

 “空気の読み方”を覚えていきます。

 

 

後継者が黙る理由は「能力」ではない

後継者が育たないとき、よく聞く言葉があります。


「本人の覚悟が足りない」
「視座が低い」
「当事者意識が弱い」

 

ただ、現場をよく見ると、必ずしもそうではありません。
むしろ、後継者は十分に考えている。
 

言いたいこともある。提案もある。

それでも黙ってしまう。
 

その理由は単純で、会議が“安全な場”ではないからです。

ここで言う安全とは、心理的安全性のような言葉だけではなく、
 

もう少し具体的な話です。

  • 言っても結局、結論は変わらない
  • 提案すると「否定」ではなく「修正」が入る
  • 決めた後に「やっぱり違う」と上書きされる

こういう体験が積み重なると、後継者は学びます。


「考えない方が得だ」ではなく、
「考えても出し方を間違えると損をする」と。

 

そうなると会議は、成長の場ではなく、消耗の場になります。


 

 

会議が“正しいほど”育たない構造

会議が整っている会社ほど、役割が固定されます。


発言する人、決める人、まとめる人、実行する人。
誰がどんな立場で話すかが、ほぼ決まっている。

 

このとき後継者が置かれがちな位置は、
「学ぶ人」「報告する人」「手を動かす人」です。

 

ここで問題になるのは、役割そのものではありません。
 

問題は、その役割が長く固定されたまま、

  “決める経験”が渡されないことです。

 

会議が正しいほど、意思決定の質を落とさないために、 

判断が最後は経営者に戻っていきます。
 

「最終的には私が責任を取るから」
 

その言葉が、やさしさとして機能することもあります。

ただ同時に、それは後継者にとってはこう聞こえることがあります。
 

「あなたはまだ、その席にいない」

 

会議が整い、正しく回るほど、席の移動が起きにくい。
これが、後継者が育ちにくい会社に起きる“構造”です。

 

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最初の一歩は「会議を変える」ではない

ここまで読むと、「会議のやり方を変えるべきだ」と思うかもしれません。
 

もちろん、運用の改善は有効です。

ただ、最初の一歩は、手法ではなく問いの置き方です。

 

たとえば、次の問いを会議の冒頭に一つ置くだけでも空気が変わります。

  • 今日は何を“決める”ための会議ですか?
  • この場で決められる範囲はどこまでですか?
  • 決める人は誰で、何を材料に判断しますか?

これらはシンプルですが、効きます。
 

なぜなら、会議を「守る場」から「決める場」へ戻す問いだからです。

 

そして、後継者に渡すべきものは、仕事量ではなく、
“判断の経験”だと、自然に見えてきます。
 

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後継者育成は、制度より“席の移動”

後継者が育つ会社は、会議が派手なわけではありません。
むしろ、静かです。


ただ、意思決定の席が少しずつ動いていきます。

 

議題の一部を任せる。判断の前提を共有する。
決めた結果を見守り、必要なら修正の理由を言語化する。
 

この積み重ねが、次の世代を育てます。

 

会議が正しく回っているのに、後継者が育たない。
 

もしそんな違和感があるなら、会議の“整い”を疑うのではなく、
その会議が何を守り、何を渡しているのか

を見直すことから始めてもいいかもしれません。

 

会議は、組織の鏡です。
そして承継は、席の移動です。