社長交代の日程は決まっている。
後継者への引き継ぎも、少しずつ進んでいる。
ところが、重要な案件になると、
役員や社員は今でも自分のところに相談に来る。
後継者が判断したことについても、
最後に自分の意見を求められる。
そんな状況はないでしょうか。
「まだ引き継ぎの途中だから、仕方がない」
そう考えることもできます。
しかし、もし社長交代後も同じことが続くとしたら、
どうでしょう。
社長の肩書は後継者に移っても、
会社を動かす中心は変わっていない。
そんな状態になる可能性があります。
社長交代の準備が進んでいても、
実際に経営を引き渡せる状態になっているかは別の問題です。
まずは、ご自身が事業承継のどの段階にいるのか、
一つの問いから考えてみませんか。
社長が代われば、会社も変わるとは限らない
事業承継というと、
後継者の育成や株式の移転、
代表者変更などに目が向きがちです。
もちろん、どれも重要な準備です。
しかし、それだけで会社の意思決定の仕組みまで変わるとは限りません。
例えば、後継者が新しい方針を打ち出したとします。
ところが、役員や幹部社員がその方針について、
先代経営者の意向を確認しようとする。
あるいは、後継者自身が
「最後は先代に相談してから」
と判断を保留する。
こうしたことが続けば、
形式上の責任者と実際に判断を動かす人が分かれてしまいます。
その結果、後継者は責任を負いながらも、
自分の判断で会社を動かしにくくなる。
これは、後継者個人の能力だけの問題ではありません。
会社全体が、まだ先代経営者を中心に動く仕組みになっている
という問題でもあるのです。
先代が口を出さなくても、周囲が先代を見ていることがある
ここで難しいのは、先代経営者自身が、
必ずしも経営に介入しようとしているわけではないことです。
「もう後継者に任せている」
本人はそう考えていても、
長年一緒に働いてきた役員や社員にとっては、
先代の判断が会社の基準になっていることがあります。
何か問題が起きたとき、まず誰に相談するのか。
意見が分かれたとき、誰の一言で話がまとまるのか。
新しい方針が示されたとき、誰の反応を見て動き始めるのか。
そうした日常の行動に、会社の実際の意思決定構造が表れます。
つまり、事業承継を進めるうえでは、後継者だけでなく、
周囲の人たちが誰を経営の中心として認識しているか
にも目を向ける必要があります。
あなたの会社では、重要な判断が必要になったとき、
最終的に誰の意向が決め手になっているでしょうか。
社長交代の時期だけでなく、
ご自身がどこまで経営を引き渡すつもりなのか。
その現在地を考える入口として、無料の1問診断を用意しています。
必要なのは、先代が何もしなくなることではない
では、社長交代後、
先代経営者は会社に関わらない方がよいのでしょうか。
必ずしも、そうではありません。
先代が持つ経験や人脈、会社の歴史に対する理解は、
承継後も大切な資産です。
問題は、その力をどのような形で活かすかです。
後継者の判断を代わりに下すのか。
それとも、後継者が自分で判断できるように支えるのか。
この違いは大きいと思います。
例えば、先代が助言する場合でも、最終的な判断者が誰なのかを明確にする。
役員や社員から直接相談を受けたときも、必要に応じて後継者につなぐ。
先代が培ってきた関係性を、後継者が新しい関係を築くために活かす。
こうした関わり方に変えていくことで、
先代の経験を活かしながら、
経営の中心を少しずつ移していくことができます。
社長交代の前に、確かめておきたいこと
事業承継は、
社長の名前を書き換えれば完了するものではありません。
後継者が自分の判断で経営し、
役員や社員がその判断を受け止め、
会社全体が新しい経営体制で動き始める。
そこまで進んで、
初めて実質的な承継に近づいていくのだと思います。
だからこそ、社長交代の準備が進んでいる経営者ほど、
一度考えてみてほしいのです。
「自分が社長を辞めたあと、この会社は本当に後継者を中心に動いていくだろうか?」
もし、その問いに少しでも引っかかるものがあるなら、
まだ確認しておくべきことがあるのかもしれません。
後継者に何を任せるのか。
自分はどこまで関わるのか。
そして、会社の中で誰が最終的な判断を担うのか。
社長交代の日程を決めることと同じくらい、
そうした関係性を整えていくことが大切ではないでしょうか。
社長交代の準備と、経営を引き渡す準備。
あなたの会社では、どちらがどこまで進んでいるでしょうか。
その違いが気になった方は、
まずご自身の事業承継と引き際について、
一つの問いから考えてみてください。
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