お盆休みに入り、久しぶりに家族や親戚、昔の友人と顔を合わせる。
そんな時間を過ごしている方もいるのではないでしょうか。
普段は仕事の話をすることもない相手と、近況を話しているうちに、ふとこんなことを聞かれる。
「あと何年くらい働くの?」
「定年後はどうするの?」
「これから何かやりたいことはあるの?」
聞いた相手に、それほど深い意味はないのかもしれません。
こちらも、
「まあ、まだ先の話だから」
「何も考えてないよ」
と笑って答える。
その場では、それで会話は終わります。
ところが、なぜか後になって、その言葉が心に残る。
「そういえば、自分はこれからどうするんだろう。」
もし、そんなことを感じたとしても、
今すぐ答えを出す必要はありません。
むしろ、その問いが自分の中に残ったこと自体に、
少し意味があるのかもしれません。
普段は考えなくても、毎日は回っていく
会社員として働いていると、
日々にはたくさんの「やるべきこと」があります。
仕事に行き、担当する業務をこなし、会議に出る。
役職があれば、部下や組織のことも考えなければなりません。
家庭でも、それぞれの役割があります。
そうして毎日を過ごしていると、
「自分はこれからどうしたいのか」という問いについて、
じっくり考える時間は意外とありません。
考えなくても、明日やることはあります。
来週の予定も決まっています。
だから、「これから」を考えていないことにさえ、
普段は気づかないことがあります。
ところが、お盆休みのように仕事から少し離れる時間ができると、
いつもの役割から一歩外に出ることになります。
そこで誰かから「これからどうするの?」と聞かれる。
すると、普段は意識していなかった問いが、
突然、自分自身の問いとして現れることがあります。
答えに困ることは、何も決めていない証拠ではない
「これからどうするの?」
そう聞かれて答えに詰まると、少し焦るかもしれません。
同年代の知人が新しい仕事を始めていたり、
定年後の計画を話していたりすれば、なおさらです。
「自分も何か考えなければいけないのではないか。」
「今まで何も準備してこなかった。」
そんな気持ちになることもあるでしょう。
でも、ここで無理に答えをつくる必要はありません。
転職する。
副業を始める。
資格を取る。
独立する。
そうした具体的な選択肢を急いで探す前に、
もう少し手前で考えてみてもいいのではないでしょうか。
なぜ、その質問が心に残ったのか。
今の仕事に何か不満があるのか。
それとも、仕事そのものではなく、
これまでとは違う何かを求め始めているのか。
まだ言葉になっていないだけで、
自分の中ではすでに何かが動き始めている可能性もあります。
「これからどうするの?」と聞かれて、少し答えに困った。
そんなときは、答えを探す前に、
今の自分がどこにいるのかを確認してみるのも一つです。
何かを決めるためではなく、
今の自分の気持ちを整理する小さなきっかけとして、
ご活用ください。
「次に何をするか」だけが、これからではない
セカンドキャリアという言葉を聞くと、
どうしても「次の仕事」を考えがちです。
しかし、本当に考えたいのは、それだけでしょうか。
会社の中で長く働いてきた人ほど、
仕事とともにさまざまな役割を担ってきています。
責任者として判断する。
部下を育てる。
後輩に経験を伝える。
顧客との関係を守る。
組織の中で必要とされる。
そうした役割は、長い時間をかけて自分の一部になっていきます。
だから、「これからどうするのか」を考えることは、
単に次の仕事を決めることではありません。
これまで担ってきた役割の中で、
何をこれからも大切にしたいのか。
逆に、そろそろ手放してもいいものは何なのか。
そして、これからどんな形で人や社会と関わっていきたいのか。
そうしたことを考える時間でもあります。
今の役割があるうちだからこそ、考えられる
「そのときになったら考えればいい。」
そう思うこともあるでしょう。
もちろん、今すぐ将来を決める必要はありません。
ただ、今の役割が終わってから初めて「これから」を考えるのと、
まだその役割を担っているうちから少しずつ考えるのとでは、
見える景色が違います。
今なら、現在の仕事を続けながら試すことができます。
人と会うこともできます。
興味のあることを学ぶこともできます。
自分がこれまで培ってきたものを、改めて振り返ることもできます。
そして何より、急いで答えを決めなくていい。
これは、とても大きな余白です。
「これからどうするの?」という問いに、
今日答えられなくても構いません。
ただ、その問いをなかったことにせず、少し持っておく。
そこから始めてもいいのだと思います。
何気ない一言が、次を考えるきっかけになる
人生が変わるきっかけは、必ずしも大きな出来事とは限りません。
誰かとの何気ない会話。
久しぶりに会った友人の近況。
昔の自分を知っている人から言われた一言。
そうした小さな出来事によって、
自分の中にあったものが見えてくることがあります。
大切なのは、その瞬間に正しい答えを出すことではありません。
「なぜ、自分はこの言葉が気になったのだろう。」
そう問い直してみることです。
そこに、これからの自分を考えるための小さな入口があるかもしれません。
あとがき
お盆休みは、普段とは少し違う人と会ったり、
いつもとは違う時間を過ごしたりする時期です。
だからこそ、仕事をしているときには気づかなかった自分の気持ちが、
ふと顔を出すことがあります。
もし今年のお盆、誰かとの会話の中で
「これからどうするの?」と聞かれたら。
うまく答えられなくても、それでいいのだと思います。
「そういえば、自分はこれからどうしたいんだろう。」
そんな問いを一つ持ち帰るだけでも、十分です。
休みが終われば、またいつもの毎日が始まります。
でも、その問いまで置いていく必要はありません。
今の役割を大切にしながら、
少し先にある自分の役割そについて考え始める。
今年のお盆が、そんな小さなきっかけになればと思います。
「まだ何も決まっていない」からこそ、できることがあります。
これからを決める前に、まず今の自分が何を感じているのか。
その現在地を確認するところから始めてみませんか。



