日本テレマン協会 第308回定期演奏会:高田泰治リサイタル | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

猛暑日の上野へ。今日のような日は 駅前のホールが 本当に嬉しい。列車の冷房で冷えた身体がちょっぴり暖まり解れる(冷凍みかんの皮が柔らかくなるのと同じ!?)くらいだからね☀️

日本テレマン協会第308回定期演奏会
高田泰治リサイタル
バッハ一族の鍵盤音楽

14時30分~
東京文化会館 小ホール

チェンバロ:高田 泰治
今日の楽器は、ミートケ(ジャーマン)モデルの2段チェンバロ。


HPの紹介文は
『古典鍵盤楽器奏者高田泰治によるチェンバロ・リサイタル。
J.S.バッハの没年にバロック時代が終焉を迎えたと言われていますが、
古典派の音楽が流行するまでの時期に活躍し、重要な役割を担ったのが、
バッハの息子たち。バッハ一族の鍵盤音楽で時代の足跡を辿るプログラムです。』

フロアーから1段高くなるK列(やや左手)で聴きました。

最初は末の息子
🎵J.Christian バッハ:ソナタ ニ長調 作品5-2
モーツァルトの協奏曲 K.107-1の原曲として良く弾かれる作品。私的にも普段から良く聴く曲。
この作品ではカプラーの選択が絶妙でした。特に下の鍵盤を手前に引いたまま、上下の鍵盤の音色の違いを使い分けた第1楽章が!
 微妙な音色の移ろいが最高✨
リュートストップを使った 第2楽章は、左右の手で上下を同時に弾くことで、旋律と伴奏の音色の対比が見事に描けました🎨
反復はソナタ形式の前半のみ。反復時の装飾は、最小限。反復を行わなかった後半は 最初から最小限 装飾を加えていました。
左手は 特に第3楽章で、どっしりとした同音反復(通奏低音部分)が気持ち良く響いていたのが好印象でした

次は長男の
🎵W.Friedemann バッハ:ファンタジア 7番 ホ短調 Falck 21
この長男の作品は、現代音楽に通じる斬新さを持っているのが 魅力。この曲もそれに違わず 急~緩~急~ と次々に変化する 熱い曲。緩の部分は、まるでオペラのレチタティーヴォのように表情豊かな言語を表したような音楽が鮮やかで 素敵すぎました。
初めて聴いた曲だと思いますが、ワクワク度 高かったです。

次は3人目の息子
🎵J.C.Friedrich バッハ:ソナタ 第6番 変ホ長調
私好みのソナタ形式の3楽章の古典派形式の作品。好きな作曲家ですが、なかなか音盤を見つけられず、この曲も初聴き。
ここでもクリスチャン・バッハと同じように高田さんは 2段鍵盤を自由自在に操って、音色と音量の変化を生かした演奏が楽しめました。

休憩のあとは、二男の
🎵C.P.Emanuel バッハ:ヴュルテンブルク・ソナタ 第6番 ロ短調 Wp.49-6
突飛で過激な印象のある エマニュエル バッハですが、この曲では そのような印象は薄く、バロックから古典派への変換期としての 双方への揺れを感じる作品で、楽しく聴けました。
急~緩~急の3つの楽章の作品ですが、私は美しい第2楽章、特に 最後のフレーズを上の鍵盤で弾き終えた高田さんのセンスにブラボーでした(この楽器の上の鍵盤の音色が とても涼しく足元を空気が流れるような青い色を感じさせる音。だから下の鍵盤の安定した土色の音で締めると思ったのですが 嬉しい肩透かしでした)。

最後にお父さん
🎵J.Sebastian バッハ:パルティータ 第5番 ト長調 BWV829
実はこの作品、何故かピアノの印象が強く、チェンバロで聴いた記憶が 薄すぎる。
ということで 最初はその違和感を埋めるのに ちょっぴり慌てました(予習しておくべきだった!)。
高田さんの演奏は、第3楽章の「クーラント」以降がチェンバロ音色が効果的。そして第5楽章のメヌエット以降の3つの楽章はチェンバロにぴったりの熱い音楽が楽しめました(単に第2楽章まではピアノに慣れた私の耳による違和感だったのかもしれません!)。

アンコールは
🎵J.Sebastian バッハ:ゴールトベルク変奏曲~アリア
なんとこの曲、昨夜 オリンピック(消音したテレビ)のBGMとして『G.グールド(1955年録音)』のCDを聴いたばかり!
ところが、今日の高田さんの演奏(このミートケモデルのチェンバロ)、違和感どころか 最初の音から心に沁みました。本気で 続いて 最後まで聴きたいと思いました。

久しぶりの高田さんでしたが、古典派が堂に入っていて驚きました(上下の鍵盤の移動をフレーズ単位の細かさで変えていく。私の好みにぴったり!)
そして、ノーネクタイの白ワイシャツを肘まで袖を折ってのリラックススタイルでの演奏🎹。形式にとらわれないテレマン協会ならでは(もう20年近く前、酒蔵でのコンサートで 季節外れの暑さになった時、オーケストラのメンバーが みんなTシャツで演奏していたっけ!)。
もう1点。演奏前と休憩時間に 舞台前に係員が『写真撮影禁止』のカードを持って睨みをきかせていましたが、チェンバロを初めて見る人も多い この音楽会。ちょっぴり厳しすぎと感じました(楽器の貸し出し元は、他のホールでは写真撮影どころか 写真を撮っている方に、楽器の説明もしてくださるのに…)。

夏のオリンピックは「陸上競技以外は興味無し」のはずなのに、テレビから離れられなくなっている私です。
がんばれ日本🎌