日本センチュリー交響楽団 いずみ定期演奏会 No.32ハイドンマラソン | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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「巨匠画家の子どもの頃」という目から鱗的展覧会の後、遅い昼食を京都タワーの地下とり、そのあとすぐに京橋まで移動。


OBPのお気に入りのカフェでクールダウンをしたあと…


日本センチュリー交響楽団 いずみ定期演奏会 No.32
ハイドンマラソン

19時~
いずみホール

指揮:飯森 範親(日本センチュリー交響楽団首席指揮者)
ピアノ:小山 実稚恵


HPに掲載された聴きどころ
『当団のアーティスト・イン・レジデンス小山実稚恵のいずみ定期初登場です。今回採り上げるのはモーツァルトの初期のピアノ協奏曲である第9番「ジェナミ」。友人の娘に献呈されたことからこのニックネームがついています。
モーツァルトの初期の傑作を小山実稚恵の豊かな音色と表現力でお楽しみください。
そしてハイドンの交響曲ではタイトルがついていない3曲を。交響曲第9番は三部作(朝・昼・晩)のすぐ後に作曲されましたが、三部作と比べると3楽章構成でシンプルな短めの作品になっています。そして、交響曲第27番は前回の第19番と同様にモルツィン伯爵の宮廷楽長を務めていた頃に作曲されており、前後していますが第9番の何年か前の作品です。交響曲第70番はエステルハージ公爵期の最も興味深い作品の一つですが、トランペットとティンパニは後から加えられたそうです。 』
と、ありました。モーツァルトが今日のメインでしょうか…
これでは「ハイドンを聴きに来よう!」とは思えないなぁ~  夏休みど真ん中だし、ちょっぴり集客を心配するも、なんと ほぼ満席!

今日の席は定期会員なので 5列目中央。両翼配置を聴くには絶好の場所。ピアノにはちょっぴり近すぎって感じも。

両翼配置のハイドン初期の交響曲2曲は6型、モーツァルトとハイドンの70番は8型。ハイドンは3曲ともチェンバロ入り。
4曲ともスコア持参で聴きました。

最初の曲は
🎵ハイドン:交響曲第9番 ハ長調 Hob.I:9
第2楽章でフルート2本を使用。でも 今日はフルートを2本使う曲は他には無い。当時はオーボエ奏者が第2楽章だけフルートに持ち替えていたから、効率的だったのですが、今では不経済ともいえます。
ところで、今流行りの、当時の演奏を再現、追求するなら楽器の『持ち替え』もさせなきゃ!と思うのは私だけ?
明るい3つの楽章からできているこの作品。和音を叩きつけて始まる第1楽章。とても爽やかなリズミックな好演。
フルート協奏曲用の楽章かと思わせるフルートのソロが美しい第2楽章。優しい温かな音楽に包まれました。
第3楽章はメヌエットで、トリオのオーボエとホルンとの狩りの音楽は 野性的で魅力いっぱい。ここでは反復のあと、オーボエが粋な装飾。お友だちは、反復後の音の変わりように「奏者を替えた?」と。私の席からは譜面台でわかりませんでした。また、メヌエットの後半、ここでも反復を行ったのですが、ヴァイオリンパートで装飾を加える場面があり、ビックリ!
今まで装飾を加えることがなかったので、やっと2段階目(1段階は両翼配置)に入りました。

続いて小山さんのソロで
🎵モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 K. 271「ジェナミ」
献呈された本当の女性の名前は…という研究成果に基づいて『ジュノム』ではなく「ジェナミ」なので、今日はその名前で演奏します、と配置替えの間に飯森さんのお話。
とても温かい、オケとの『協調』に配慮したアンサンブル重視の演奏が聴けました。
特に印象に残ったのは、第2楽章の音の透明さと 第3楽章のメヌエットの部分の温かさ。
活闥な第3楽章のロンドの躍動感も清々しい。
そして全曲を通してのピアノの繊細な音色が堪能できました。

大きな拍手に応えて、アンコール
♪モーツァルト:トルコ行進曲
pからスタート。余裕をもったピアノの能力の中で、多彩な音のパレットを聴くことができました。こんな素敵なトルコ行進曲、初めて。今 流行りの過激さのトルコ行進曲とは対極の、楽譜通りで、戦とは縁の無い軍楽隊が遠くを歩いているような 平和な音楽は絶品でした。

休憩のあとは
🎵ハイドン:交響曲第27番 ト長調 Hob.I:27
3つの楽章からできている作品。
これぞ古典派、ドミソで開始という典型は 聴いていてとても気持ちがいい。
ただ飯森さんの演奏、4/4拍子なのに まるで2/2拍子のような速いテンポの演奏。はじめはちょっぴりついていけませんでしたが、8分音符のスラーの扱いを耳にしているうちに「これも有りだな」と説得させられた感になりました。反復後にヴァイオリンが装飾を加えていくアグレッシヴな姿勢にビックリ。とてもワクワクしちゃいました。
第2楽章はシチリアーノと表記された弦楽だけの緩やかな楽章。反復前後のチェンバロのストップの扱いが絶妙。ヴァイオリンに装飾を…とも期待したものの、それはありませんでした。残念。

今日のメインは
🎵ハイドン:交響曲第70番 ニ長調 Hob.I:70
この曲は私が中学生の時に聴いて衝撃を受けた曲。即、スコアを購入した ハイドンの作品の中でも 親友レベル。
今までに実演で2度ほど聴いている(2度しかプロオケで演奏されていない?~新日本フィルの全曲の一環と一昨年のOLC)だけ。その珍しいこの曲が、今年度、なんと3回も演奏されるのです。今日は全曲演奏会の一環ですが、他の2公演は定期演奏会の中に単独で選ばれています。3回聴けるかは微妙ですが、この作品の素晴らしさが周知されはじめたからでしょうか。嬉しいことです。
当時はハ長調だけに加えられていたトランペットとティンパニ。この作品には後から、ハイドン作かはわかりませんが、加えられた楽譜が今では一般的に使われており、今日もその版。そして驚くべきはチェンバロが入ったこと。
第1楽章のスピードは速すぎ。「3/4ではなく3/8でしょ!」と言いたくなるくらい。とても力強い 堂々たる音楽が聴けました。この楽章では 反復後、再現部のあたまでティンパニに装飾を加え 轟かせたのには驚きました。
緻密な第2楽章はハイドンの緻密な音楽をしっかりと組み立てました。
明るいメヌエットもスピード違反的テンポ。そのためコーダの管楽器のファンファーレの効果が薄れたような感じが…
そしてハイドンの緻密な音楽の結晶の第4楽章。主題の後半の2分音符のところをテンポを倍に伸ばした ユニークな解釈は、なかなか。この解釈は最後の最後、ユニークな締めにとても生きました。

飯森さんのハイドン、少しずつステップアップしています。成長を楽しみながら聴いていこうと思えるようになりました。

終演後 なんと小山さんのサイン会。私は持参したスコアにサインをもらっちゃいました。