新国立劇場:モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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芸術の秋🍁
昨日 床屋に行って頭が涼しくなったからではないとは思いますが、風邪の初期症状。ちょっぴり咳と微熱っぽいカゼ 無理してはいけないけれど、今日は這ってでも行きたい、オペラがある!

14時~
新国立劇場
🎵モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』
指揮:ラルフ・ヴァイケルト
演出:グリシャ・アサガロフ
美術・衣裳:ルイジ・ペーレゴ
照明:マーティン・ゲプハルト

配役
ドン・ジョヴァンニ:アドリアン・エレート
騎士長:妻屋 秀和
レポレッロ:マルコ・ヴィンコ
ドンナ・アンナ:カルメラ・レミージョ
ドン・オッターヴィオ:パオロ・ファナーレ
ドンナ・エルヴィーラ:アガ・ミコライ
マゼット:町 英和
ツェルリーナ:鷲尾 麻衣
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


今日の席は1階17列12番
ちょっぴり後ろかな~ですが、舞台全体を観るには 絶好の位置。

モーツァルトのこの作品、今まで10回には足らない程度 観てはいるものの、印象に残っているのは 91年のモーツァルト没後200年フィーバーの時、日生劇場で『天皇陛下が来た』ことくらい⬅まったくオペラの内容とは無関係! 私にはストーリーに魅力が感じられないのがその原因。
そんなことで、今日は歌を満喫することと、ストーリーの裏読みができないかを注意しながら席に着きました。

序曲が始まると すぐに幕が開き、ドン・ジョバンニがレポレロを残して屋敷に入っていく件が演じられているため、最初の歌の展開にさらりとつながり、とてもわかりやすい舞台になっていました。

オケはピットとは思えない鳴りっぷり!歌の伴奏になると最後まで 雄弁に歌を盛り上げていました。好演。また、舞踏会の場面での舞台上3箇所にバンダを配置しての演奏は あの2つの違う旋律が響く場面で納得させられました。

舞台装置は 奥行きと高さを存分に使った大きなもの。近頃ありがちな、節約によるイメージ重視の舞台より一歩踏み込んだもので、視覚的に充実感のある舞台作りに満足。特に左右のバルコニー(3m)がとても有効に使われていました。

歌手陣はタイトルロールのエレートさんが歌唱で頭1つ抜け出た感じでしたが、あとは皆、甲乙つけられない高水準で並んだ歌唱と演技が素晴らしかったです。
特に印象に残った歌は 第2幕の女声の3つのアリア。ミコライさんとレミージョさんの技巧的なアリアにはブラボーが飛ぶ喝采でしたが、私は 決して難しい曲ではありませんが 鷲尾さんが本当に丁寧に心を込めて歌った薬のアリアにジーンと来て、ブラボーでした。
そんな中、同じ第2幕のドン・オッターヴィオの私の大好きなアリアでは、今日はちょっぴりビブラートが気になり、そう、先月 秋川で聴いた錦織さんの方に軍配が上がりました😅
とはいうものの これだけのレベルの歌手を揃えてくるのは さすが新国立劇場と言わざるを得ません!

そんな中、やっぱりストーリーにはなかなか共感できない作品には変わりませんでした。

そんな斜めの見方をしながら気になった箇所は、まずは演出の部分で、
第2幕冒頭、ドン・ジョバンニとレポレロが衣装を替えて ドンナ・エルヴィーラを誘う場面でレポレロを舞台中央に置き、2名を舞台下手の上(バルコニーと)下への配置はイマイチ。ドン・ジョバンニを上手側に配置すれば、背景が木々の生い茂る庭園ですから、木の陰から歌う様子になり、声の方向性がレポレロと同じになり、舞台全体を使うことで歌もホール全体に広がるのですから。

ストーリー的には、
ドン・ジョバンニが地獄に落ちる場面。あまりに空想的で 現実離れが この色恋沙汰の現実的なそれまでのストーリーからの飛躍にどうしてもついていけません!続く場面に死体があれば いいのですが、そうなると次に『特命係』が必要になりそうだし…

ならば私が今日 観ながら思ったのは 実はドン・ジョバンニは別の世界(場所)に行ってしまった、って。最後の大団円の場面で 別の国で新しい従者を連れて歩くドン・ジョバンニを背景に出すとか…
そこで併せてどうにか上手い演出が出来ないかを考えていたのは ドン・ジョバンニのセレナードのマンドリン伴奏。マンドリンを舞台上で弾かせることはできないのか?ということ。そう、そこで弾かせる黒子のマンドリン奏者こそ ドン・ジョバンニを新しい世界に連れていく『者』にしちゃえばいい。なんて…

などと勝手なことを考えたくなる作品。
やっぱり苦手だなぁ~ は まだまだ続きそうです。
でも曲はフィガロに続く 魅力あふれる歌ばかり。
最後に 風邪気味が喉にもちょっぴり。ブラボーの声がかすれてしまったのが 自分的には一番の不満になりました。体調管理をしっかりして音楽会に行くようにと、大反省ですしょぼん