東京シティフィルハーモニック管弦楽団 定期演奏会:東京オペラシティ コンサートホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

~帰っちゃった~

東京シティフィルハーモニック管弦楽団 定期演奏会
東京オペラシティ コンサートホール
19時~

指揮:鈴木 雅明
東京シティフィルハーモニック管弦楽団


プログラムは
≪没後250年≫🎵 G.F.Haendel:合奏協奏曲 ト短調 作品6-6
≪没後200年≫🎵F.J.Haydn:交響曲第90番ハ長調
≪生誕200年≫🎵F.Mendelssohn:交響曲第4番 イ長調『イタリア』

先月、古楽の大家の指揮で 現代オーケストラの素晴らしい演奏を聴いたばかり。今日はヴァイオリンの両翼配置で、ヴァイオリンとヴィオラはヴィブラートをほぼ抑えたスタイルでした。

🎵G.F.Haendel:合奏協奏曲 ト短調 作品6-6
弦楽器が渋い音を出していました。特に第3楽章の 2つのソロヴァイオリンの綾が見事。刈り込んだオーケストラは、音の構築が室内楽を聴いているように明瞭で鮮やか。現代楽器とは思えない 雅な弦の音色に癒されました。オケの変貌ぶりに驚きました。

🎵F.J.Haydn:交響曲第90番ハ長調
ヴァイオリン各12と大編成。フォルテの力強さが強烈。
ただ 力強さを押し出すため、楽器毎の綾の妙が見えにくくなったのは残念。しかし 開放的なハ長調は、速い楽章をガンガンやるのが良く似合いました。それに対して、アンダンテの変奏曲の第2楽章を 重々しくどっしりと描いた対比がユニークでした。ソロ指定の旋律線も、繰り返しでも 装飾を加えず、楽譜通りの演奏。真面目でお堅い系の演奏だったのは、想定外でした。
そして第4楽章、この楽章は Haydn先生、素人にもわかりやすい仕掛けを仕組んでくれたのです!
ソナタ形式の 再現部に入ってすぐのところで 驚くべき簡潔さで音楽を1回終止させているのです。その後『4小節の全休符』のあと、第1ヴァイオリンとオーボエが「まだあるよぉ~」って続けるのです。
18年前にこの曲を初めて見た(聴いた)時は、指揮者が手を広げて『まだ続くぞ!』と拍手防止に必死だった様子が忘れられません。ところが ラトルのCDが出てから状況が一変。『仕掛けを楽しむ』(観客を騙す)演出を優先させるスタイルが主流となったのです。
今夜は元気いっぱいで第4楽章に突入。偽の終止のところで、オーケストラ(弦楽器奏者)は 弓を完全に下ろして 終わったパフォーマンス。
そして 聴衆から拍手を受けると、指揮者が袖に引っ込みました。
するとその後、コンサートマスターが「まだあるのに指揮者はどーした!」と言わんばかりに立ち上がり、第1ヴァイオリンとオーボエを促し音楽を再開。指揮者無しで演奏をオドオドと始めると、指揮者が袖から走って戻ってくるというパフォーマンス。
Haydnの意図をしっかり汲み取った 解釈と演出が楽しめました。 まだまだユーモアに疎い日本では、指揮者が責任を負うような この種の演出は大丈夫? って言う印象も ちょっぴり。つまり聴衆に『これは演出だった』と伝わったのかを心配しちゃいました。

🎵F.Mendelssohn:交響曲第4番 イ長調『イタリア』
第1楽章と第4楽章はお祭気分。
それに対して第2楽章は、ヴィブラート無しのヴァイオリンの音色が地味に、野性的に響いて、土の匂いがいっぱいのイタリアの風景。
第3楽章は 管楽器の明るいアンサンブルが愉しかった。

古楽器の指揮者が 現代オーケストラを指揮するのは、先月のブリュッヘンさんに続いて─でしたが、なかなか面白かったです。これからはモダンオーケストラも 指揮者を選んで 積極的に行かないと、損しそう。