東京の春 音楽祭~レクチャーコンサート~『ピアノの歴史』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~花とダンゴの差~

東京の春音楽祭~レクチャーコンサート~『ピアノの歴史』

東京文化会館小ホール
14時~ 

フォルテピアノとお話:小倉 貴久子

曲は
🎵L.Giustini:ソナタ第3番 ヘ長調
≪クリストフォリ≫

🎵W.A.Mozart:ロンド ニ長調
🎵Beethoven:ピアノソナタ第14番『月光』
≪ヴァルター≫

🎵F.Chopin:幻想即興曲
🎵F.Liszt:『愛の夢』と『ラ・カンパネラ』
≪エラール≫


🎵C.Debussy:『喜びの島』
≪スタインウェイ≫

アンコールは
🎵M.Ravel:クープランの墓
≪エラール≫

舞台には 4台のピアノが ところ狭しと並びました。


それだけで贅沢な気分になってしまいます。
お話はとてもわかりやすく、子供でも十分楽しめるもの。ピアノの発達史を 音で体験できる(確かめられる)素敵な企画でした。
私は単純に「楽しかった!」のひとことにつきました。

私の耳にはモダンピアノより『ヴァルター』のフォルテピアノが最も身近な響きです。スタインウェイは 昔馴染みでこの頃ご無沙汰の「ふるさと」的な存在になっています。
そんな中 18世紀前半のクリストフォリや、19世紀半ばのエラールは、まだまだ未知に近い音。そこで 今日のレクチャーを聴くと、楽器と作品の関係が 如実に納得させられることになりました。

音量が小さいクリストフォリは、言葉のように 微妙なニュアンスがよくわかる楽器。千変万化な後期バロック音楽にピッタリ!
エラールは 現代ピアノにかなり近い音の強さがありますが、まだ音域による音色の違いが明瞭。
などなど、作曲者が使ったピアノで演奏してこそ『その作品の意図が伝わるのでは?』と。

私は、作曲家の意図より 演奏者の個性を重視して聴きますが、意図を云々言う演奏者でさえ、W.A.Mozartのピアノ協奏曲を 現代ピアノと大オーケストラで平気で演奏している。それって「作曲者の思っている音を再現している」って 言えないですよね!

それぞれの作品、どれも素敵な演奏でした。『月光』は第1楽章で Beethovenの指定通り ペダルを終始使用。幻想的な音色に浸れました。現代ピアノでやったら霧の中の風景になってしまいますね。

ホールでは 小倉さんの新刊本(CDつき)『ピアノの歴史』を購入。サインまでもらってしまいました。
この本 写真がいっぱいとっても華やかで目で楽しめます。そして わかりやすく 中学生程度から読めるつくりです。ピアノに興味のある方は一度、手に取ってみる価値ありです。私としては「こういう本が欲しかった!」です。

帰りに上野公園を通れば、桜の花はほぼ散って、『葉』見の人が たくさんいました。みなさん 花よりダンゴなのでしょう。