東京シティフィル ティアラこうとう定期演奏会:ティアラこうとう | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~秋の里山~

今朝 ゆっくり起きると、外がうすぼんやりとしている。今朝は曇り空。おかげでそんなに冷えてない。ということで薄着で出発。

今日はお友達と音楽会。
お茶を神保町でと約束をして、神保町で降りると 行きつけの喫茶店に長蛇の列。

有り得ないんだけど~

お友達の到着前だったので、急遽お茶を音楽会のホールのレストランに変更。お友達は行ったり来たりで大顰蹙。
楽しいお話がまだまだ途中だったのですが、時間がいっぱい。

東京シティフィル ティアラこうとう定期演奏会

15時~
ティアラこうとう


指揮:矢崎 彦太郎
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
ピアノ:阪田 知樹

矢崎さんは昭和50年代に、神奈川フィルの第九に来てくれた時(私は合唱でした)以来のファン。今回もある程度、演奏の予想をしてのお出かけです。

1曲目は
🎵C.Debussy:『牧神の午後への前奏曲』
思ったように、もやっとした印象派の絵画の様。このような絵画は苦手だけど、このような音楽はボーっと聴くには最適。
牧神っていうと どうしても『パリオペラ座』のバレエの印象が強くて…
でも 今日の演奏は、映像が思い出されることがなく、純粋に音楽だけを楽しむことができました。

次に
🎵M.Ravel:ピアノ協奏曲 ト長調
阪田さんはなんと19歳。藝大の1年生とか。昨年のピティナで賞を総なめしたとのこと。
今日はスコアを段ボールから発掘し、持参。購入して初めて開くのが音楽会という無謀さ。さすがにM.Ravelともなると、大きなスコアになり、初見だと結構大変。今日は、音楽全体を掴むより、音楽の素材の組み立ての面白さに気をとられてしまった感がありました。
私の好きなこの曲、立派に華麗に弾きこなしました。第2楽章がちょっぴり一本調子だったのは、これからの課題でしょうか。
オケの色はカメレオン的変化が鮮やかでした。ただ楽器間での旋律の受け渡しで、ブチって流れが切れる場面があったのが残念でした。
終演後の挨拶のぎこちなさは あまりにかわいくて… 矢崎さんが袖に下がらず舞台上で拍手を続けて、何度も呼び戻していたのが印象的でした。


休憩のあとは
🎵L.van Beethoven:交響曲第6番 ヘ長調『田園』
第1楽章の冒頭、テンポが定まらずフラフラして冷やっとしたものの、オーボエのソロで安定。矢崎さんのテンポは、今ではめったに聴けないような遅さだったんです。それこそ私が聴きたかったテンポ。
テンポの遅い分、1つ1つの主題の繋がりや対比が明瞭に描けるハズ。Beethovenの構成の巧みさが如実に、と いう予想のもと、こちらもスコア持参。昨年 購入して初めて開くベーレンライター版。見慣れていないけど、なかなか見やすい。
第1楽章で新鮮だったのは1小節を超えてのバスのロングトーン。ヴァイオリンの音にビブラートをつけていなかったこと。特に呈示部後半、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが交互に4小節ずつ、ドローン弦の音を模すかのような部分の音は印象的でした。が、この部分 できたら音の繋がりを完璧にして欲しかった。あからさまに音の受け渡しが雑に聞こえてしまって… 音をもらう方が早めに入るようにとか、パートを分けて最後まで弾ききる人と、次の音の頭をしっかり弾く人にするとか…
こんなことを書いていると明日になってしまうから、あとは全体的にサラッと…

特徴的だったのは、急なfやpへの変化が 第4楽章を除いて 少なかったこと。クレシェンドやデクレシェンドの 柔らかく上下するよう波だったこと。だから とても美しく上品な演奏、って言いたいのですが、縦が揃わないと気になる私には ちょっぴりそこが甘かった。でもそれは些細なこと。
第5楽章も本当にじっくりと聴かせてくれました。
現代の主流の、颯爽たる演奏とは外見的には正反対の表現の様でしたが、ビブラートを抑えたりと、音作りなどでは 今風の取り組みもしっかり吸収した好演でした。

私的には9月1日の新日本フィルより、今日のシティフィルの方が断然良かったです。

ただ、今日は最後に指揮者がまだ構えているのに お構いなしに「拍手」。これでは 日本最悪聴衆都市、京都にすら負けちゃうぞ。
ティアラ 大丈夫か…

音楽会が終わって外に出ると、突き抜けるような日暮れの青い空。今日は紅葉の始まった里山を ゆっくり歩いているような 気持ち良い音楽会でした。