新国立劇場『オテロ』:新国立劇場 大ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~柳の歌~

今日は仕事が休み。
のんびりしたいのに いつも通り6時に正しくお目覚め。

昨日の夕方、ちょっぴり仕事が落ち着いた瞬間に 電話。誰かとの確認する間もなく取ると、お友達から。
「明日の新国のマチネの『オテロ』切符あるけど…」
夜、音楽会が先に入っていたので調べると、ピッタリ間に合うパターン。

もちろん、即返事。

新国立劇場『オテロ』 

14時~
新国立劇場大ホール

👗ヴェルディ:歌劇『オテロ』

演出:マリオ・マルトーネ

オテロ:ヴァルデル・フラッカーロ
デズデモーナ:マリア・ルイジア・ボルシ
イアーゴ:ミカエル・ババジャニアン
ロドヴィーゴ:松位 浩
東京フィル
指揮:ジャン・レイサム=ケーニック 


家で予習しようとしても、チラシは既に破棄して無い。なので、またまた会場まで 何もわからず行くことになりました。
唯一、この公演にオーケストラのトラで入っている川田知子さんのブログから、水をいっぱい使う演出… と、そのくらいの知識で入りました。

いただいた座席は、なんと2階正面ほぼ中央の1列という、これ以上ない最高の席。

全4幕を途中休憩1回の、前半と後半に分けての演出。

冒頭、オーケストラの音がfで響いた瞬間、音の立ち上がりの良さが際立っているのがわかる。舞台も良くなる予感。

幕が開くと ヴェネツィアの水路が舞台中央に広がっている。水路の中央が デズデモーナ、オテロの妻の館。寝室だけのこの館は、舞台の内容にあわせて360度回転するしくみ。背景の建物の色は 淡い黄土色。これは市民(合唱)の衣装にピッタリ。細部まで考えた舞台。中央の館が回転した時のはしけの位置や、プロンプターの屋根を石風にしていたり… 違和感なく安心して観られる舞台つくりでした。

照明もシーンごとに繊細な色づくりを行って、舞台全体のつくりが変わらない単調さ、水を張っているのに変えろという方が無理難題、を しっかりと補っていました。
大詰め、オテロが死ぬ場面、デズデモーナの上にオテロが倒れた時、鮮やかな白色光が真上から射したのは 印象的でした。

第1幕は壮大な合唱から開始。壮麗な合唱と舞台が相俟って、興奮を掻き立てる中、準主役の悪役 イアーゴの悪巧みのスタートが、合唱の中から浮かび上がってきました。
力強い合唱が素晴らしかった。オケの直接音が届く今回の席でのバランスは 完璧でした。

第2幕はイアーゴがオテロに夫人のありもしない不倫を言いつけて、罠を張る場面。
ここは各役がそれぞれの個性が輝く場面。イアーゴが良い味を出していました。

休憩後の第3幕
オテロが夫人のデズデモーナを、無実のことで叱責し、オテロはイアーゴの策略で、さらに夫人の不倫を確信させられる場面。デズデモーナの気持ちを考えると 胸が痛んでしまいます。
音楽とストーリーの一体感が 、一瞬たりとも弛緩した場面を作らない。見事でした。

第4幕はオテロがデズデモーナを殺し、その後 真実がわかったオテロが自害し、幕となります。
ここでは冒頭、デズデモーナが自らの死を予感して歌う『柳の歌』『アヴェ マリア』が聴きものですが、今日は 限界ギリギリのppの美しさに 大感動。

無実の濡れ衣を、というストーリーは 私的には かなりの拒否反応なんです。
でも 今日は観れました。
良い演出と、演技と、歌。そして自分の気持ちを デズデモーナに没入すると、大丈夫でした。

今日は最終日、平日のマチネで 空席も目立ちましたが、本当に素晴らしかったです。

招待では罰が当たるような高水準の公演でした。

では これから、本来行く予定の公演を楽しんできます。