錦織健プロデュースオペラ『セビリアの理髪師』:神奈川県民ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~フィガロの活躍 1~

数日前まで仕事が入っていたのが、突然 空いた。
半年前に優先予約で買ったオペラの切符を、泣く泣くお友達にあげたのに…

で、あきらめ切れないので…

当日券で行くことに。

『優先予約』で取った席より『良い』席がある。
これでかなり気分を良くして入ることができました。
それにしても『優先予約』って、何。


錦織健プロデュースオペラ『セビリアの理髪師』

15時~
神奈川県民ホール

この公演は 2月12日から4月7日まで、首都圏から益田や岩国まで、12回の公演を行っています。今日はその3回目。

配役は
ロジーナ:森 麻季
フィガロ:堀内 康雄
伯爵:錦織 健
バルトロ:志村 文彦
バリリオ:池田 直樹
ベルタ:武部 薫

演出:十川 稔
指揮:現田 茂夫
チェンバロ:服部 容子
ロイヤルメトロポリタン管弦楽団


今日の席は 1階22列(オケピで前5列くらいがカット)のやや左という、観るには最高の席。


ゆっくりと、そしてとても落ち着いた感じの序曲は、ロッシーニクレシェンドとは対極って感じで、ちょっぴり驚きました。

幕が開くと、簡易さが気になるけど、大きな舞台装置がしっかり。
日本を代表する歌手ばかりのこの公演。期待とちょっぴり不安があったのですが…

まず フィガロのたたみかけるような『何でも屋』のアリア。迫力いっぱいの歌唱に喝采。
そしてロジーナの『今の歌声は』は森さんの魅力炸裂。前半のレチタティーヴォは めくるめく装飾を纏った声の技巧(コロラトゥーラとアジリタ)の妙技に絶句のホールでしたが、私はそれより 丁寧な歌詞に沿った深い表情づけに魅了されてしまいました。もちろん後半のアリアも、かなりの装飾を駆使した素晴らしい歌唱になっていました。
続くバジリオの『陰口は』は池田さんの円熟の演技に圧倒。歌唱力もまだまだ一線級。それにも増して コミカルな動きや、低音の豊かな響きに、ブラボー。
フィナーレの最終曲。鍛冶場のアンサンブルは6人のバランスが見事でした。

上記の曲以外も、ハラハラさせられてしまうアンサンブルの部分までも、きっちりとハマっていたのは、当たり前と言えばそれまでですが、見事でした。現田さんの指揮は、派手さや細かい指示は見られないものの、きっちりと音楽を整えた、端正な仕上がり。歌手も安心して 指揮に乗っていたのがわかりました。

それともう1つ、錦織さんがセレナーデを歌う部分。ギターの伴奏は普通、オケピ内の演奏者が弾きますが、なんと今日は 錦織さんの弾き歌い。PAを使っていましたが、ギターが正面に来ると優しい音色が 直接響いてきました。錦織さんの甘い声は健在。ギターまで弾いてくれて ファンにはたまらなかったでしょう。

休憩後の第2幕も見事。
最初の『ご機嫌よろしゅう』の二重唱の伯爵の声の爆笑から始まりました。錦織さんの喉を締めた声は、聴いているこちらが喉を痛めないか心配しちゃうくらい。
その後の駆け引きの面白さは、演出の力でしょう。
半ばで 病気のハズのバルトロが来ちゃう場面では、字幕に『インフルエンザ』と出て、会場大爆笑。なかなかお茶目な字幕は、第1幕にもあり
字幕からも会場を盛り上げてくれました。

嵐の音楽のあと、急展開の舞台でも落ち着いた演奏は安定感いっぱいでした。
舞台の上と下での三重唱の場面でも、バランスがしっかり決まっていました

本当に楽しいオペラを存分に楽しめました。

今日は聴衆の年齢層は高めでしたが、反応が早く 良い感じだったのですが、ブラボーは少なく、こちらは私の活躍。ちょっぴり目立ってしまいました。

今回の目的はもちろん、池田直樹さん。
期待以上の演奏に大ブラボ~
1年前の椿姫から、オペラでの実演が続いている森 麻季さんも素直な発声が 私好み。
そして脇で1人 輝いていたのは武部薫さん。しっかりした歌唱とコミカルな演技は。一番の端役でしたが やはりブラボ~でした。

今日はあきらめていたオペラに行けて、ラッキー。
その素晴らしさに、大満足でした。

オペラのあとは、お友達と中華街で食べ放題を楽しみました。
ココナッツミルク、絶品。