東京都交響楽団 定期演奏会:東京文化会館 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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~やっと…~

涼しいを通り越して 肌寒い首都圏。午後からは雨がパラつき 一気に秋到来。

今日は早めに仕事を上がり 都内へ。


東京都交響楽団 定期演奏会 

19時~
東京文化会館


今日は待ちに待った あの曲。
先日 N響で、原発関連でソリストがドタキャンして 曲目変更になった、P.I.Tchaikovskyのピアノ協奏曲第2番。なんと都響がプログラムに乗せました。
現代オケで演奏されるピアノ協奏曲では、私の一番のお気に入り。有名な第1番に隠れて 全く演奏されません。私も初めて実演に接します。スコアを持って 気合い十分。

もちろん他の演目と指揮者は良くわからないまま ホールへ。

指揮:マーティン・ブラビンス
ピアノ:上原 彩子 

最初に
🎵プロコフィエフ:『戦争と平和』序曲
もちろん初めて聴く曲。管楽器のファンファーレのあと、もっさりした中間部を挟み、ファンファーレが戻って終わる短い曲。印象薄い。

続いて 上原彩子さんをソリストに
🎵P.I.Tchaikovsky:ピアノ協奏曲第2番 ト長調
なんと1階1列真ん中やや左手という、ソリストまで2mという席。一番前なのでスコアは開けず、頭の中の残像で追いかけることに。
第1楽章は気合いだけで押したり、ゲテモノ妖怪いっぱいゲゲゲ状態のキワモノ的なCDが多い中、それなりの演奏を予想したら 外れ。ロマン的で叙情的で素晴らしい演奏でした。
第1主題もしっかり2回目、3回目に出てくる時には 表情を変えて飽きさせない。
決して力づくで演奏しない。
緩やかな第2主題はまるでショパンの様。ピアノの美しいこと。
再現部前のカデンツァは堂々と、そして悠然として本当に熱演。
再現部では ピアノの最高音域をキラキラと輝かせてはいたものの、打楽器的無機質な音ではなく、呼吸を感じさせる膨らみのある演奏が素晴らしかったです。

第2楽章はヴァイオリンとチェロのソロがオーケストラと絡み合って、時たまピアノが出現みたいな形式。しかし これが「ピアノ協奏曲」には不釣り合いっていう理由から、弦のソロ部分を大幅カットして、ピアノ協奏曲らしくした 改悪版もありますが、N響はこちらの予定だったらしい、今日は原典版。ヴァイオリンソロは矢部達哉さん。チェロソロは古川展生さん。
ヴァイオリンとチェロの二重協奏曲で 美しい。Tchaikovskyの歌を存分に聴かせてもらいました。その2人の語りが終わると、さらに話を促すように ピアノが1人語り始める。そんなやりとりが 生き生き。
ピアノもオケも仲間なんだよ、みたいな温かみのある会話が とっても素敵でした。

火を吹くような第3楽章は、普通『ff』で気合い十分でいくかと思えば、余裕をもってスタート。
第2主題などは1回目は『mp』で優しく出てきたのに 2回目は『f』のマルカート。曲のツボを押さえた納得の表現。

50分の猛烈な協奏曲をほとんどミス無く 十分に考え抜かれた演奏は、私が今まで聴いたCDをはるかに超える演奏でした。
ピアノの真下で聴いても ピアノの下から共鳴する 濁った音が響くこともなく、クリアーに聞こえるピアノの体力に対して8割方の力で弾いていました。
そしてそれを支えるオケも 曲想に煽られることなく、ピアノに合わせたしっかりとした伴奏をつけていました。

後半は
🎵プロコフィエフ:交響曲第5番 変ロ長調
中学時代にLPで良く聴いた曲。久しぶりに耳にしたような…

これも一本調子になりやすい曲ですが、呼吸をするように 柔らかい波が押し寄せるよう。
第1楽章と第4楽章が充実した演奏でした。
第2楽章のテンポが徐々に上がっていくところは、 もう少し腰を低く構えた 迫力ある感じが欲したのは私だけでしょうか。やっぱりここは蒸気機関車の加速。今日はRV車の加速でした。

やっとTchaikovskyのピアノ協奏曲第2番が聴けました。上原さんで 次こそはN響、もしくは井上道義さんの指揮あたりで聴きたくなりました。