『ラファエロ』展記念コンサート と 『東博でバッハ vol.12』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
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~Bの融合~

今日はお休み。朝一番で、上野へ


『ラファエロ』展記念コンサート 

11時~
西洋美術館講堂


ヴァージナルとチェンバロ:中野振一郎


1時間の小さな音楽会ですが、ラファエロ展の入場料込みで 2500円ならお得。

🎵不詳:「バッソ エ メーゾ」
🎵不詳:「サルッツォの侯爵」
🎵カヴァッツォーニ:リチェルカーレ『もう後悔しない』
🎵不詳:「ヘラクレスの力」
🎵不詳:「パヴァーナ」
🎵クープラン:『ラファエル』、『芸術家』、『サテュロス』
🎵フォルクレ:「ジュピター」
🎵クープラン:「目覚まし時計」

最初に、西洋美術館主任研究員、渡辺晋輔さんの解説がついていました。
ラファエロ展は 世界初開催の極めて稀な企画であることから始まり、その生い立ちで並べた、今回の企画展の見どころを、スライドを使って解説してくれました。
午前のコンサートで、その後に展覧会の見学にして正解でした。

その後、演奏会。
使用楽器は2台。
フレンチのチェンバロとヴァージナルの弾き分け。
中野さんのお話も絶好調。
カヴァッツォーニの作品は、イタリア人が最初に作曲したチェンバロの曲。
「ヘラクレスの力」はイタリアの作曲した舞曲としては最初の曲、とのこと。
ラファエロ時代の曲はヴァージナルで楽しめました。
後半の18世紀の曲はチェンバロ。
朝から躍動感溢れる中野さんの魅力炸裂。
楽しめました。

そしてそのまま、ラファエロ展へ。
展示数は61点と少なめでしたが、ラファエロとその関係の作品を一気に楽しむことができました。
ルネサンス絵画や宗教画が好きな方なら、テンションアップしそうな作品ばかり。楽しめました。

今日は桜が、見た目 満開の上野公園。とても華やかでした。


夕方、御徒町から不忍池を歩くと、残っていた鴨っこは、キンクロハジロばかり。他の鳥たちは北に帰っていったあとでした。
桜並木を歩いて国立博物館へ。桜並木は沢山の人でいっぱいでした。

そして午前に続いて、上野公園のミュージアムコンサートの夜の公演。

『東博でバッハ vol.12』 

19時~
国立博物館 法隆寺宝物館 エントランスホールで

ヴァイオリン:郷古 廉

こちらは休憩を置いた充実のプログラム。

前半は
🎵J.Sebastian Bach:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番 イ短調
4楽章構成ですが、第2楽章のフーガが規模、内容ともに圧巻。重音が多用され、重心の低い安定した響き。ガラスと石のエントランスホールの長い残響との相乗効果が効きました。
力強い演奏に降参。

続いて
🎵J.Sebastian Bach:無伴奏ヴァイオリンパルティータ1番 ロ短調
短い8つの楽章からなる、舞曲中心の作品。それぞれの性格の対比を際立たせた、それは鮮やかな力強い演奏。
速いパッセージを一気呵成に弾く姿は圧巻。
速い部分でも1つ1つの音の粒が揃って、リズムの通りにしっかりした音を聴かせてくれました。
リズムの弛緩は少なかったですが、音色の変化が多彩で楽しめました。

休憩後は
🎵J.Sebastian Bach:無伴奏ヴァイオリンソナタ1番 ト短調
じっくり、一歩一歩悪路を進むような、落ち着きをもった演奏の第1楽章。
熱い第2楽章。
そして 点描画のようなシチリアーナの第3楽章。シチリアーナのリズムはどこかへ吹っ飛び、現代音楽みたいな音の並び方。面白い。次のバルトークを意識した解釈かとワクワク。こういう演奏 大好きだ。
念入りな調弦を行って 次の終楽章へ。めまぐるしく速いパッセージを演奏していたら、突如 バッハの音楽が急変。
次の
🎵バルトーク:無伴奏ヴァイオリンソナタ
にそのまま突入しちゃいました。

唖然。
そういえば この第1楽章は、シャコンヌのテンポでと題されたバッハ風の曲だから しっくり行くんだ。さすが郷古くん
強烈な第2楽章。これこそバルトークの民族、土俗的な色が 見事に出ていました。
美しく かつ 細い蜘蛛の糸のような妖しさを持った第3楽章は、フラジォレットの響きが素晴らしかったです。
第4楽章は中間部の弱音器をつけた、か細い響きの音色を加えて、ヴァイオリンの様々な演奏法の展覧会みたいで、もう 聴いてるだけで気分は最高潮。

2曲分の拍手に沸き、アンコールは、弱音器をつけて
≪バルトークの第4楽章≫
違う手法でやるのかなと思いきや、ピチカート場面でなんと
≪ゴールドベルク変奏曲の主題≫
に接続。
それが見事に 合う。

ゴールドベルクの演奏は、あの グールドを思い起こさせる、点描的な極めて遅いテンポの演奏。

後半は、J.Sebastian Bachとバルトークの融合に 驚き、かつ 感動させられてしまいました。

演奏会が終わり外に出ると、博物館の黒門わきの桜の見事なピンクの花がライトアップされ、池に映る風景が綺麗でした。