創立70周年記念関西歌劇団 第100回定期公演「オリンピーアデ」:アルカイックホール・オクト | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

昨日のコンサートのレポートは(↓)こちらから✍️
 


台風の影響が…と朝のテレビで ニュース速報が流れる関西ですが、大阪市内は 雲は多いものの、日がさして 湿っぽい暑さ。昨日は半袖で来てしまい、大丈夫か…と思ったのですが、今日はTシャツのままでいい気候。
10時まで旅館でのんびり。まずは新世界でスマートボール。今日は200円でドロップを取ることができました(時間つぶしがそれほどできなかった!)。
そのあとは、電気街を抜けて難波で商店探索しながら時間調整。
難波から阪神で尼崎へ。


関西歌劇団創立70周年記念
関西歌劇団 第100回定期公演
「オリンピーアデ」

14時~
あましんアルカイックホール・オクト

​👗ペルゴレージ:歌劇『オリンピーアデ』


指揮:本山秀毅
演出:井原広樹

クリステーネ:谷 浩一郎
アリステーア:松浦 綾子
アルジェーネ:末廣 早苗
リーチダ:堀口 莉絵
メガークレ:清野 千草
アミンタ:孫 勇太
アルカンドロ:西村 規子
合唱:関西歌劇団合唱部
管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団


このペルゴレージのオペラは、一昨年の11月に、紀尾井ホールで観た作品。
その時の日記は↓
https://ameblo.jp/repun-berg/entry-12325921256.html

ストーリーは、
『古代オリンピック競技を利用し、それで勝利した者に、シュオンの王の娘と結婚できる。娘に惚れたクレタの王 リーチダが、替え玉を使い勝利すると…』
という恋愛物語。

舞台を8角形のホールの中央に置き、周囲を座席が取り囲む配置。
ルーブル美術館にある、勝利の女神ニケの等身大のレプリカを中央に置いての舞台。歌手が演じ歌う範囲は、そのニケの像をコの字型に取り囲む。そして舞台の無い側の平戸間にオケが置かれました。


私の席は、4ランク中、3ランク目の席。オケの位置を正面下手とすると、下手後方角の位置。能舞台でいうと中正面のように舞台を見る位置でした。チラシの裏に載っていた座席表を見る限り、私の座ったB席よりその向かいにあったC席の方が歌手を見る、聴くには良い席になる演出でした(つまり 歌を聴くには一番悪い席に座ったってこと)。テオルボの音はしっかり聴こえましたが…

客席周りの壁には、180°の範囲で スライド投影(映像は動くものの プロジェクションマッピングまでとはいえない)され、雰囲気作りができていました。そこに一緒に字幕が3箇所に投影されました。装置、美術はそれだけ。照明の変化もほとんどつけませんでした。
あとは衣装。これは役柄により、明瞭な衣装を着用していました。この作品は、元がカストラートの役を女声が歌うため、女声ばかりの舞台となり、 もし衣装がなければ絶対にわからなくなってしまうでしょう。

舞台上での演技は簡単なものでしたが、コの字型で段差もつけた 広い舞台だったので、動きにストレスを生むようなことはありませんでした。そして、キャスト全員、しっかりとした演技で 集中して観ることができました。

 ただ歌唱となると、首都圏で活躍している方を基準とすると、ちょっぴり頑張って欲しい面が見えてきたのも事実。それは アリアがすべてダ・カーポアリア。つまりABAの三部形式。後半のAは 楽譜上、最初のAをそのまま繰り返すだけ。だから2回目こそ、歌手がどれだけの技巧をもって、音楽的センスをも誇示できる(する)ところなのです。つまり 歌手の力量が一発ではかれる曲が並んでいるから。
ただ、8000円~2000円という価格での 2チームの各1回公演ということを考えれば、十分に贅沢な内容。地方のオペラ公演の運営を軌道に乗せるためには、このような企画を成功に導いていくことが大切なはず。このような公演が 将来、高等学校などの芸術鑑賞教室に採り入れられるようになって欲しいですね。

そのことをわかった上で、それぞれの配役で気になった点などをちょっぴり書きます(私の主観です)。

クリステーネは、高音になった時の声のスイッチが難しそう。第2幕の歌唱は落ち着いたものの、やはりハイポジションになるときのファルセットの切り替えに苦労している感じ。はっきりとダメだったのは 第3幕のアリアで高音に飛ぶ時に、高い音があまりに雑に歌われたこと。これは勘弁でした。

アリステーアは、堂々としたレチタティーヴォと安定した歌唱が良かったです。ダ・カーポ後の装飾も時にしっかり入れたりと、工夫された疑わ聴けました。

アルジェーネも小粒ながらしっかりとしたレチタティーヴォと歌唱が光りました。アリアが少なかったのが残念なくらい。装飾もきっちりと整えた歌唱が好ましかったです。

リーチダは、今日のチームの中での声量はピカイチ!ただここまでの歌唱が聴けるのであれば、ダ・カーポ後に しっかりとしたアジリタを…と期待してしまいます。しかしそのようなテクニックを伴う歌唱については、無理せずの安全運転。第2幕の締めのアリアのダイナミックな歌唱が今日の白眉。

メガークレは、胸からの浅い発声のように思いました。そして ちょっぴりビブラートが大きめは、私の好みとは離れた位置。そのため、トリルとの区別が微妙に感じてしまうような歌唱。また、レチタティーヴォでの発音がちょっぴり不明瞭だったのも残念。fの高音では輝きのある声が出ていただけに勿体ない感じでした。

アミンタは、しっかりとしたレチタティーヴォなど、出番は少なかったものの、舞台を引き締める役を果たしていました。

アルカンドロは、唯一の女声の低音域。役柄が リーチダの追放を伝えたりと強い性格でしたが、声の質は温かみのあるアルト。乳母の性格の方が近いかも。ただ、そこで語られ、歌われる言葉が不明瞭だったのが残念。しっかりとわかりやすい発声ができるように研鑽を積んでもらいたいと思いました。

厳しいことを書きましたが、歌手、オケの熱演には 手放しでブラボーでした。

ただ、唯一 文句を言いたいのは、アリアのあとの舞台から引き上げるタイミング。これは演出の方だと思いますが、歌い終わって、オケの伴奏がまだ残っているのに、舞台から客席の脇の通路を通って引き上げちゃうのです。するとアリアの後奏がされているのに『拍手』になっちゃうのです。ひどい時は、歌手が引き上げて 拍手が止むとオケの後奏が続けて終わるという、何とも間の悪いことが、しばしば起こりました。オケの演奏が終わるまで 舞台に残っているような動きにして欲しかったです。

公演終了後、ホールから出ると、青空に秋の雲がたなびく夕暮れ。西の空の雲は金色に輝いていました。

尼崎から阪神、梅田から阪急で河原町へ。
三条界隈で夕食のあと、今夜は明日の移動を考え、先月泊まった 丸太町通りにある 和風旅館。


先月に引き続きの再訪です。ゆっくり休めそうです。