～日本人の心～
温泉からのんびり出発。
今日は宇都宮へ。
日光 東照宮に行こうかとも思うも、あとの予定が優先だし、大阪国際女子マラソンもテレビでやるみたいだから、と 宇都宮駅でワンセグが入ることを確認して下車。宇都宮名物の餃子の定食を軽く食べて、ワンセグの入る高台、二荒山神社へ行って観戦。
そして
栃木県総合文化センター メインホールで
15時～
👗團 伊玖磨：歌劇『夕鶴』
を 観てきました。
1月～4月にかけて、本州と九州の10ヶ所でのツアーの２公演目。本当は来週の横須賀に行きたかったのですが、他公演とぶつかったため、東京公演の半額ということもあり、今日はA席7500円の栃木県まで行きました。
演出：市川 右近
美術：千住 博
照明：成瀬 一裕
衣装：森 英恵
つう：佐藤 しのぶ
与ひょう：倉石 真
運ず：原田 圭
惣ど：高橋 啓三
栃木県の２つの少女合唱団
東京フィル
指揮：現田 茂夫
ホールに入ってみると、東京文化会館などに比べて小さなホール、歌手には無理のない大きさ。今回の席は１階から２階につながる左右の傾斜の強いサイド席の 左側。舞台上はサイドに置かれたパネルが見えないだけで、オケや指揮者も良く見えました。
夕鶴はもちろん、日本のオペラの最高傑作。ストーリーは 鶴の恩返しをもとに、木下 順二の戯曲をオペラ化したもの。日本人なら誰でも知っている、そして心を打つストーリー。
私も夕鶴は２回 過去に観ているのですが、それは20年以上前。つうは鮫島さんだったような気もするけど 不確か。与ひょうは間違いなく 小林 一男さんでした。強烈な印象が残っています。
今回の演出は、小道具が一切ない簡素な舞台。舞台後方と左右から移動するパネルに、映像を投影する手法。千住さんの絵画がそれは美しく効果的でした。特に枝から落ちる雪～ハープのグリサンドに合った時の美しさたるや絶品。機織りの時の 羽根がゆらゆらと落ちる様のはかなさも際立っていました。
衣装はちょっぴり意味不明な、日本を意識させないようにしたのか、という風。特に10人の子供の衣装が、ただ 最後 つうが布を持って出てくる～鶴に戻る～衣装は、鶴を意識させる それは美しい軽い衣装で素敵でした。
演出はそれぞれの性格を的確にわかりやすく表していました。惣どのいやらしさや、与ひょう相手の気持ちがわからない単純さ。それはまるで 今 日本全体が抱えている問題、失ってやっとわかる喪失感が、強烈に抉り出されていたように感じました。
歌では 本当に久しぶりのオペラの出演の佐藤さん。まず 舞台に出てきてびっくり。ストレートの黒髪になっていて 物凄く若く見えました。
そして歌手の４人とも、日本語がきれいに語られていました。字幕もついたのですが、まったく不要。ホールの大きさも幸いしたのかもしれません。
唯一、もう少しと感じたのは、佐藤さんのビブラート。 特に最後、与ひょうとの別れの場面では 素直な発声にして欲しかった。
歌唱は高橋さんが一つ頭が出ている感じ。さすがでした。
現代的な簡素な美しい舞台でしたが、イメージを大きく膨らませることのできる抽象的ともいえる装置は、成功ではないでしょうか。今日は7500円で大満足。でも東京の15000円だったら どうかな ってところでした。
そんな中 残念だったのは、つうの機織りを覗いたあとの間奏曲の前で 幕を下ろし、20分の休憩に入ったこと。プログラムには休憩の記載はなく、私は拍手に驚きました。ロビーの時間割に書いてあったのを見てなかった私がおバカだったのですが…
ここは音楽的にも 機織りの描写が続くし、ストーリー的につうとの約束を破って、そしてつうが鶴と知らない与ひょうがこのあと… という緊張の糸を切らして欲しくはなかったです。休憩を入れる必要があるのだろうか？
夕鶴グッズやプログラムの販売のためならやめて欲しい。
そのプログラムですが、1500円には驚き。巻末に歌詞がすべて出ているからなのかはわかりませんが、歌詞以外の内容はいまいち。絶対に高過ぎます。
最後に今日の２階席、中央だけで左右のブロックがガラガラ。２階席だけなら５割以下の入り。２回の東京公演や大阪公演が完売なのに…。暮れの旅で島根県の益田駅にあるイベント紹介のチラシに、この夕鶴の益田公演があってびっくりしました。地方公演、盛況になって欲しいと願うばかり。
ホールから出ると すでに真っ暗。
宇都宮駅前で観光気分で締めようと、またまた餃子三昧。観光気分だからいいけど これで1500円はちょっぴり高いかな。
おみやげに栃木名物 レモン牛乳と期間限定らしいイチゴ牛乳を買いました。