浜松市楽器博物館 第195回レクチャーコンサート「バリトン~王侯貴族の愛した幻の弦楽器~」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は早起きして、浜松へ🚃💨←新幹線には乗らない😁 のつもりが、昨日 仕事終わり寸前に 今日午前中に仕事が入ってしまった。なので、今日はお昼過ぎに、東海道本線の藤沢からスタート。遅くなっても 各駅停車で浜松へ🚃💨

まずは夕食。浜松といえば行くお店は ワンパターン化。パターン化脱出のために鰻に惹かれるも、やっぱり浜松餃子を選択。


冷たいつけ麺が良いアクセントで、お腹いっぱい。
駅前に出ると、かわいい家康くんの前が噴水に!


ここって水が出るんだ!知らずに噴水の出る階段のところに入ったりしたら(以前、入った覚えがある!) びしょ濡れになるじゃん。
濡れずにすんだような気分で、少し早いけど 楽器博物館へ👣💨


浜松市楽器博物館 第195回レクチャーコンサート 日本オーストリア友好150周年記念
「バリトン~王侯貴族の愛した幻の弦楽器~」

19時~
浜松市楽器博物館 天空ホール


🎻エステルハージ・アンサンブル
バリトン:ミヒャエル・ブリュッシング/Michael Brüssing
バロック・ヴィオラ:アンドラーシュ・ボリキ/András Bolyki
バロック・チェロ:マリア・ブリュッシング/Mária Brüssing 

紹介文は
~200年の時を越えて甦るハイドンとニコラウス侯の想い~
『2019年はオーストリア・日本友好150周年記念の年であり、またオーストリアの大作曲家ハイドンの没後210年にもあたる。この2つの記念の年にハイドンの知られざる楽曲「バリトン三重奏曲」を紹介する。
今では博物館などでしか見ることのできない幻の楽器バリトン。しかし200~300年前の南ドイツ・オーストリアでは、その美しい音色のため王侯貴族の間で愛好された。当時の弓奏弦楽器の主流であったヴィオラ・ダ・ガンバから派生したこの楽器は、チェロほどの大きさで、その一番の特徴はネックの裏側に10~20本の共鳴弦を持つことだ。表の弦をひくと、この裏側の弦が共鳴する。また裏側の弦をはじいて演奏することにより、幅広い倍音効果も生まれる。
この独特の響きに魅せられ自らも演奏したのが、ハイドンが楽長として仕えたハンガリーの大貴族エステルハージ・ニコラウス1世侯であった。ハイドンはバリトンをこよなく愛したニコラウス侯のために150曲以上ものバリトン曲を作曲した。バリトン音楽はエステルジハージ家の宮廷において美しく花開いたのであった。』

楽器博物館は、前回エステルハージ・アンサンブルが来日した際も公演を行っていました。ですので今回は2回目の公演。私も楽器博物館のライブラリーで 前回の公演(浜松は行かなかったので)のプログラムを閲覧したことが何度もありました。

今日は石で囲まれた天井の高い空間の天空ホールでの公演。水戸では一番前で聴いたので、今日は3列目に下がって聴きました。

浜松到着が遅れたので展示はダメでしたが、ホール奥の特別展示は観れました。




楽器を演奏する人形が素材別に展示されていました。めちゃ可愛かったです。

今日のレクチャーコンサートはプログラムが発表されていなかったので、水戸と違う曲が聴けるのかなぁというちょっとした期待もしてはいましたが、水戸とほぼ同じプログラム。特にこちらはレクチャーとなっている分、曲がほぼ半分になっていました。

最初の曲は
🎵A.ルイジ・トマジーニ:バリトン三重奏曲 第12番 イ長調
第1楽章は水戸と比較すると、バリトンより ヴィオラとチェロの伴奏が強め。力強い音楽に変身。ここではバリトンにヴィオラが寄り添う時の響きの変化にゾクッとさせられました。ソナタ形式の後半を反復したあと、再現部に入るところで、長めの休みをとり、そのあと バリトンの装飾をはっきりわかるくらいに入れたのは、効果的でした。
第2楽章はABAの3部形式。中間部は短調の曇りの音楽。バリトンにからむヴィオラとチェロの美しいこと!後半のAでの装飾が極めて美しく決まりました。
第3楽章はロンドとありますが、第2楽章と同じABAの3部形式。Aが3つの音の動機を積み重ねて構築された単純で緻密な音楽。ベートーヴェンの先取りみたい。でも耳に感じる雰囲気は、かわいい感じ。Bはミノーレとなって飽きさせない。そしてここも3つの音が基本となっている様。後半のフェルマータのあとのバリトンのアインガングは共鳴弦。反復後は長めに演奏されたので、天国的な音が堪能できました。後半のAの美しさがきわだちました。
2回聴くと、理解が深まります!

ここで第1回目のレクチャー
・バリトンという楽器についての概論
・バリトンの作品が書かれた背景(ニコラウス候の依頼等)
最後に
・共鳴弦の効果を聴く(B♭を弾いたあとの残響~まったく無し~に対して、ニ長調の和音を弾いたあとのまろやかな残響)

続いて
🎵F.ヨーゼフ・ハイドン:バリトン三重奏曲イ長調 Hob.XI:35 
パストラーレの第1楽章は本当に美しい。天国的な音楽を今日も聴けました。チェロのドローン弦の東洋(中欧)的響きにヴィオラが加わった時の厚いドローンの響きは別格でした。その上をたゆとうバリトンの旋律は絶品。
アレグロの第2楽章もチェロとヴィオラにドローンの響き。ちょこまかとしたかわいい表情が素敵な音楽が聴けました。
第3楽章はやっぱりトリオのユニゾンの響きが強烈。しかし2回目だからか ホールのせいか、ユニゾンの強烈な面白さは かげをひそめた感じ。ホールにまろやかに響きました。私的には水戸の強烈さが好みかも。

ここで休憩。
舞台上に聴衆が集まって、ミヒャエルさんとバリトンについての質疑。今日は弾くことはなしでした。

↑今回ミヒャエル・ブリュッシングさん使用のバリトン

↑ミヒャエルさんのバリトンの裏側。共鳴弦が白く見えます

↑浜松楽器博物館所蔵のオリジナルのバリトン

次は水戸では弾かなかった作品。嶋館長のバリトンソロが聴きたいというリクエストに応えてとのこと。
🎵A.ルイジ・トマジーニ:バリトン三重奏曲 第11番
これはアダージョ楽章だけをバリトンソロに編曲して、ミヒャエルさんが演奏。
その編曲が、弓で旋律を演奏『しながら』共鳴弦のピチカートで伴奏をするという、楽器をどう保持するのか? という無理難題を自らに課すような演奏。途中でもうギリギリって場面もありましたが、どうにか切り抜け最後まで。
めちゃ アクロバティック!
きっと 今日聴いた私以外の聴衆は「ちゃんと練習してから弾けよ」と思ったに違いありません。超絶技巧の技が聴けたのですが、ちょっぴり誰かがフォローして欲しかったです。

ここで2回目のレクチャー
次のハイドンの曲についてのお話。面白かったのが
・第1楽章は狩の音楽で、そこではウズラの囀りが聴こえます。ところが日本とオーストリアのウズラは囀り方が違います。
まずウズラの囀りを聞いたことのない私には 眼から鱗状態。実際にミヒャエルさんがそのフレーズを弾いてくれました。それは『タッタター』という、ベートーヴェンの田園交響曲に出てくるあのウズラと同じリズム。だから私は違和感なかったのですが… 動物園に行ってウズラの囀りを聴くという課題ができました。それを受けて最後のハイドンの曲を聴きました。

 🎵F.ヨーゼフ・ハイドン:バリトン三重奏曲 ニ長調 Hob.XI:118
第1楽章、狩の音楽に ウズラがあちこちに(すべての楽器で)登場。ウズラ狩りの情景でしょうか?展開部で短調に傾いた時の 色の変化が鮮やかでした。
メヌエットの第2楽章。トリオでバリトンがロングトーンを鳴らす時に、背後から絶妙に聴こえてくる共鳴弦の響きは、幽玄そのものでした。
プレストの終楽章は、おどけたハイドンらしいお茶目な音楽。愉しい!って思っていたら、あっという間に終わってしまった😁

アンコールは水戸と同じ
🎵A.ボリキ:バラード
和風テイストのなんとも親しみやすい音楽。今日はバリトンを前に出すというよりは、3つの楽器の組み立てがしっかりわかる音楽作り。

水戸と続けて聴けて、めちゃ楽しめました。ホール(空間)の大きさが変わることでの響きの変化が明確に出ていたのですから!

やっぱりバリトンの音色は 最高です🌈

今夜は浜松から焼津へ移動🚃💨 いつもの焼津黒潮温泉の健康ランド。リラクゼーションルームがまたまたパワーアップしていて、めちゃビックリでした😲