静岡交響楽団 第80回定期演奏会:静岡市清水文化会館マリナートホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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3週連続静岡!
それに加えて、先月上旬には浜松にも行っているので、先月から4回目となる静岡県訪問。東海道本線の各駅停車の風景は、身近すぎる存在になりつつある🗻 今日は富士山が見えなかったけど、何とも思わなくなっている…

清水駅に着いて、まず今日の目的、音楽会の当日券を購入。


そしてここのお楽しみは食事。もちろんお隣の清水魚市場へ。すると今日は大混雑。先々週にチェックした、空いているだろうと思ったお店も待ちの状態。なので諦めて戻ろうとすると1階に 商売気のない、名前を書いて待つボードのないお店に空席があったので、躊躇せずに突入。日替わりの丼(950円)を注文。待たずにお昼が食べれて なにより。


お腹を満たして、道路向かいのマリナートへ。


静岡交響楽団 第80回定期演奏会

14時~
静岡市清水文化会館マリナートホール

指揮:野平一郎
静岡交響楽団
ソプラノ:五位野百合子
バリトン:河野克典
合唱:県民参加による合唱団、音楽青葉会・静岡児童合唱団 

今日、静岡まで出掛けたのは、もちろん ビゼー。
大好きすぎる作曲家のひとりですから!

当日券の座席は、舞台が高くて…とチェックはしていたものの、今回も安いランクの席狙いで 前回同様2列目中央が空いていたので そこにしちゃいました。

オケは10-8-6-4-4の ヴィオラが上手手前の通常配置。今日はティンパニに元 読響(水戸室内でもお馴染み)の菅原さんのお顔が見えました。

前半はビゼーの音楽。
🎵ビゼー:アルルの女~第2組曲
組曲第2番から聴きはじめることって無いので、めちゃ 変な気分(アルプス交響曲を山の頂上から聴くような…?)。
パストラルの冒頭、なんと重たく 遅いテンポなのだろう。ホルンよりトロンボーンの音がしっかりと届いている。座席のせいか、野平さんのバランスか? 続く弦の旋律もとっても重い。『アルルの女』は悲劇の戯曲だ!とでも叫びたい様。続くフルートに旋律が移るところで 比較的力が抜けたものの、やっぱり重い響きには変わらない。
中間部のタンブランのリズムによるところでは、少し軽快に動いたものの、その後は 悲劇的要素を前面に出すかのようなつくりでした。

すると予想通りの間奏曲。遅めのテンポでとっても重たい。前奏のところではヴァイオリンの最低音をガンガンと鳴らしてくる。
主部のところはテヌート気味の旋律に、なんと重い弦の伴奏なんでしょう!重い荷物を背負って 一段一段山道を登る歩荷さんの様。後半、ハープが入ってきて、光が見えてきたように 少し変わってはきましたが…

有名なメヌエット。この曲ではさほどの重さを感じなかったのは、アルルの女からの引用ではなかったから? フルートの旋律を前面に出した演奏。後半、サクソフォーンが原曲の歌の旋律を演奏するところでは、フルートのオブリガートをメインに聴かせるスタイルにみえました。

休みを置かずに ファランドールへ。序奏の遅さと重々しさはやはり 随一。16分音符と8分音符の違いがはっきりとわかる演奏(テンポ)。それはまるで 学生のオケの最初の合わせの時の様。なんかそれはそれでおかしく聴こえました。タンブランが入ってのアレグロのあとも遅めのテンポで、合奏練習をしているかの様。この曲って、速めのテンポで流れるように(音の長さをアバウトに)演奏することが多いように聴こえるのですが、今日はそれとは真逆。スコアのひとつひとつの音を漏れずに演奏したようなスタイル。後半、少しテンポアップして、3人の王の行進の旋律をくっきりと出して締めました。

今まで聴いたこの曲とは 明らかに異なる、個性的なアルルの女でした。これなら第1組曲もあわせて聴きたかったです。

続いて
🎵ビゼー:交響曲 ハ長調
この曲が重かったら どうなるか…と 不安と期待で待っていたら、こちらは爽やかとは言えないものの 速めのテンポの若々しい演奏でした。
第1楽章では速めのテンポでちょっぴりヴァイオリンがバラつき気味だったのと、木管が危ういところで直せずにハラハラしたのは、まだこれからの地方オケってところでしょう。
提示部の反復を実行、明るく愉しい主題がたくさん聴けましたが、主題の出てくるパターンの繰り返しに 何かの変化を期待したいのに、 そこまでは届かなかった感じも。
アダージョの第2楽章。オーボエのソロが歌いました。そんな中、しっかりと聴かせてきたのが ヴィオラとチェロ。中音域の響きとそのリズムを明確にしてきたので、耽美的に流れることがありませんでした。
第3楽章はリズムはきっちり刻んではいるものの、速いテンポで小気味良い。スケルツォの反復、トリオの反復は ともに後半も実行。もちろんそれが適度なスタイルとして届きました。それより、ダ・カーポ後のスケルツォの前半の反復をスルーしたので、主題の動機を1回しか演奏しないで経過句に繋いだので、私的には 残念。形式的にはダ・カーポ後の反復は不要かもしれませんが、音楽構造的には ここではどうなのでしょうか?
第4楽章のアレグロは、それまでに比べると 若干テンポは遅め。ただヴァイオリンをこれ以上速く演奏させると ちょっぴり不安な感じを受けたのも事実。そのため、端正な きっちりとしたスタイルとして描かれました。もしかすると、ビゼーの頭の中には こちらのスタイルがあったのかも…と 考えさせられるような説得力も感じられました。ただ このテンポでの演奏ならば、ヴァイオリンを両翼に分ければ フレーズの掛け合いが より鮮明に聴けたのに… とも思いました。

いろいろ言いましたが、スコアをあぶり出すような演奏スタイルが とてもユニークに思えました。

休憩を挟んで
🎵フォーレ:レクイエム op.48
5-5-6-4-4という編成に縮小。ヴィオラとチェロが2部に分かれるためでしょう。合唱はアマチュアの宿命で、女声優勢のアンバランス合唱団。特にテノールの人員が消費税の割合より低いとは…

こちらは、もちろんビゼーほど聴き込んではいないので、オーソドックスな表情の音楽として届きました。
入祭唱から合唱の美しさが際立ちました。特にソプラノの真っ直ぐな声質の綺麗さが!これは女声合唱の半数近くになった 中学生~高校生の合唱団によるもの。
ここでの野平さんの演奏は、やはり遅めのテンポで、弱音を丁寧に綺麗に響かせる様。テノールの河野さんも そのような合唱に寄り添うような 余裕のある発声が、自然で温かみを感じられるもの。
ピエ・イエズスでのソプラノソロの五位野さん、プロフィールを見ると、私が追いかけた熊本でのオーケストラ・シンポシオンとの『フィガロ』で伯爵夫人を歌ったらしい。私は完全に忘れていますが…。ちょっぴりビブラートが気になりましたが(それでも控え目)清楚な声はこの作品には合いました。
アカペラのところでも 安定した合唱。テノールも旋律を受け持つところでもバラバラにならずに頑張りました。最後の楽園にて でもオルガンにフワッと乗るように響いた合唱は見事でした(オルガンはローランドの電子オルガンを使用)。

前半のビゼーは私にはめちゃハードル高めですので辛口になりましたが、とても面白く聴けたのは確か。後半は本当に綺麗で良かったです。

2ヶ月連続の静岡交響楽団。技術面でもう少しのところが感じられますが、終演後のお見送りなど好感がもてます。応援したくなりました。唯一、事務スタッフの周りへの気配りと、そしてチケット販売に対する力の弱さ。
それとは別に私的には、当日チケット引き換えのスタイルは悪くはないものの、当日、その公演のチラシの準備が無いのは とても残念。当日券売場やホールに入って正面のところに チラシを置いてほしいですね。

次回は10月のハイドンプログラムに行きたいのですが、チラシは手に入るのだろうか…


帰りに清水駅のキオスクで飲み物を買おうとしたら、なぜか北海道日高乳業の ヨーグルッペを発見。思わずガラナを探してしまいましたが、それは残念。



今日は焼津や興津の健康ランドには泊まらずに、横浜へ戻ります🚞