古楽フェスティバル山梨《第31回国際古楽コンクール〈山梨〉》本選 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

甲府のビジネスホテル泊のおかげで、朝がのんびりできました。10時前にゆっくりチェックアウト。

今日も《古楽フェスティバル山梨》へ。


午前中は楽器等展示会場で、楽器製作者による 楽器の解説とデモンストレーションがあるというので、そちらへ。

10時~
会場は『桜座』と『銀座街の駅』
まず、桜座でスピネットとヴァージナルとクラヴィコードの聴き比べ。
1人目の製作者の作品。

↑スピネット

↑クラヴィコード(右側は自作キットとして販売しているとのこと。高校生も作れましたよ!と)

もう1人の製作者の作品の

↑ヴァージナル(大きな音でビックリ!)

↑クラヴィコード(本選に出るのにデモを弾いてくれました)

続いてはす向かいの銀座街の駅へ移動して
チェンバロ。イタリアンとフレンチの楽器。フレンチの楽器製作者のお話と、それぞれの楽器の聴き比べ。

↑1枚にまとめちゃいました(イタリアン デモ中)

そのような音楽愛好家対象の企画もあり、楽しめました。

城跡の横を歩いて、甲府駅北口正面にある、山梨県立図書館へ。素敵なオブジェが迎えてくれました。




《第31回国際古楽コンクール〈山梨〉》本選

山梨県立図書館 多目的ホール

本選の出場者を確認すると、フォルテピアノ1名、アンサンブル1組、チェンバロ5名となっていました。昨日、私が聴いた中からは、4組(アンサンブル1組とチェンバロ3人)が選ばれていました。昨日、私が◎をした2名の方は進めず、◯をつけた2名と△の中から1名が選ばれていました。この大胆な外し方と、微妙な当たり方はなんだろう。やっぱりバロック以前の音楽は 難しい。私のフィーリングにぴったりだった音楽は バロック向きではなかったってことなのかな?


審査委員:有村祐輔/ 今井奈緒子/ 小川加恵/ 大竹尚之/大塚直哉/ ロバート・ヒル


午前(11:45~)はフォルテピアノとアンサンブルの部。


最初はフォルテピアノ。
最初に弾いたのは、本選の課題曲
🎵モーツァルト:ピアノ三重奏曲 K.548~第1楽章
デンハーグピアノ五重奏団の高橋さんのヴァイオリンと山本さんのチェロとともに。
強弱を大きくつけた表現。これはチェンバロを聴いてきたから感じるのかもしれない。ヴァイオリンとの対話が楽しそうでした。
続いて 自選の曲から
🎵モーツァルト:パイジェッロの主題による変奏曲
主題の最後のフレーズを強調して描き直すというスタイル。それは各変奏の最後も同様に処理しており、興味深く聴けました。
予選~本選の課題曲のひとつ
🎵フルメル:ロンド~ファンタジー 作品19。
緩急を大きく取った演奏。滑らかな右手の音と左手の激しい音との対比が良かったです。

次はアンサンブル部門
Ensemble LMC
🎵ダッラバーコ:協奏曲 ト短調 作品2-5
🎵ガルッピ:協奏曲 ト短調から
🎵アルビノーニ:協奏曲 ヘ長調から
どの曲も躍動感あふれる鮮やかな演奏。2人のヴァイオリンがキレキレでした。チェンバロが弦に隠れてしまい、存在感がほとんど無かったのがかわいそうになるくらい。
昨日に続き、良い音楽を聴かせてもらいました。

ここで昼休憩が1時間弱。昼食をコンビニで済ませて、早めに図書館に戻って、開架式の図書館でちょっぴり読書ができました。とってもモダンで開放的な図書館!


↑奥にいる人はコンクール待ち

午後(13:30~)はチェンバロの部。


5人のコンテスタントの演奏を聴きました。
チェンバロの本選の課題曲は
バッハ:ヴァイオリンソナタ ト長調 BWV1019~第3~5楽章
共演は5人ともデンハーグピアノ五重奏団の朝吹さんのヴァイオリンと角谷さんのヴィオローネ。お2人は 音づくりのまったく違う5人のコンテスタントにしっかりと寄り添う音楽をつけていました。

最初のコンテスタントは
🎵バッハ~スウェーリンク~クープラン~ベーム
の作品を演奏。
バッハとベームをジャーマンチェンバロ、スウェーリンクをイタリアン、クープランをフレンチで弾いたので、チェンバロによる音の違いを楽しむことができました。私はイタリアンのハキハキした音が好印象。

次のコンテスタントは
🎵W.F.バッハ~ラモー~バッハ~ポリエッティ
すべてジャーマンで弾きました。
前半の2人のバッハがちょっぴり不慣れな感じに聴こえましたが、最後のポリエッティは即興的な曲で楽しく聴けました。

ここでジャーマンの爪が折れるハプニング。修理のために小休止。前のポリエッティの演奏が始まった時には音が出なくなっていたらしい。

3人目は
🎵バッハ~スウェーリンク~W.F.バッハ~ムファット
スウェーリンクのみイタリアン、他はジャーマンを使用しました。
はっきりとした造形美を感じられる音づくり。バッハのアンサンブルも3人とのしっかりとした呼吸が感じられる、会話が密な音楽が良かったです。

4人目は
🎵スウェーリンク~W.F.バッハ~ブクステフーデ~バッハ
スウェーリンクのみイタリアンで弾きましたが、音の綺麗なこと。W.F.バッハは呼吸の揺れと端正な輪郭のスッキリとした音楽。バッハは安定した明瞭な音楽で、チェンバロが弦の2人を引っ張っていくスタイル。

最後のコンテスタントは
🎵バッハ~W.F.バッハ~ラモー
すべてジャーマンで演奏しました。
最初のバッハは、前の方とは対照的に、ヴァイオリンを主役に立てるようなチェンバロがちょっぴり控え目なバランス。ラモーは元気いっぱいのベルサイユよりも酒場のような音楽。愉しく聴けました。

およそ2時間半のチェンバロの本選。一気に行われました。この時代の音楽は、私の不勉強で、これ以上細かくはレポートできません!

ここでおよそ1時間のインターバル。私は図書館で読書ができたので、大変充実しました。



《第30回国際古楽コンクール〈山梨〉優勝者コンサート》
ホ・ヨンジン(リコーダー)
山本 徹 (バロック・チェロ) 
田中三奈穂 (チェンバロ) 
アンサンブル「梨」(高橋未希/ 丸山 韶/ 朝吹園子/ 池田梨枝子/吉田爽子/ 山本 徹/ 角谷朋紀)

17時~
山梨県立図書館多目的ホール

審査の時間は、昨年の優勝者によるコンサート。
このアンサンブルの方に、アンサンブル部門のコンテスタントの2名がいたので「何故?」と思ったら、その丸山さんと吉田さんは昨年の個人で出場した入賞者とか…
ということで、デンハーグのメンバーとともにアンサンブルでの参加となったみたい。

韓国出身のヨンジンさん、もちろん初めて聴きます。

最初は
🎵A.ヴィヴァルディ(1678-1741):ソプラニーノ・リコーダーのためのコンチェルト ハ長調
全員の伴奏がつきました。
アグレッシブなオケにソプラニーノリコーダーが大健闘。それにしても、オケの熱さが半端なかったのはEnsemble LMCの延長みたい。楽しめました。

続いて
🎵N.マテイス(1650頃-1714):古いサラバンド、チャッコーナ上の様々な奇抜さ
ソプラノリコーダーに持ち替え、チェロとチェンバロの伴奏で。
後ろが落ち着いたので、リコーダーの表現力が倍増。弱音も綺麗に響きました。

続いて同じ編成で
🎵A.コレッリ(1653-1713):ソナタ op.10-5
5楽章からなる作品。緩急それぞれの曲をあっという間と感じるくらい面白く聴けました。第3楽章はチェロがピチカートで伴奏。第5楽章の最後では 鳥の囀ずりが聞こえたり…

次の2曲はリコーダーソロと電気処理した音を組み合わせた作品。
🎵G.テッデ(1958-    ):南風 (1991)
アルトリコーダーを使用。マイクから取り込んだ音を、伸ばしたり増幅したりの処理を加えた上に、生のリコーダーの音が重なる作品。
尺八的な音を出したりと、意欲的な音が聴こえましたが、想像力には足りませんでした。つまり、ワケわからない曲でした。

次はバスリコーダーを同様に処理した作品。
🎵F.ロミテッリ(1963-2004):海の風景 (1994)
こちらは波の音が電子的に作られてくるかと思いきや、それはなく、後半、海食洞の中にいるような響きになってきたところで「海なんだ」と感じた次第。最後は洞の中で、鳥が囀ずった響きが反響するように聴こたのが、印象に残りました。

次はソプラノリコーダーで
🎵A.ヴィヴェルディ(1678-1741):ラ・フォリア op.1-12
デンハーグのメンバーに田中さんのチェンバロがバックに入りました。
これって反復記号ありましたっけ? 今日は反復無しで、推進力あふれる元気で熱い音楽になりました。ソプラノリコーダーということもあり、熱いバックに対等でした。特にアグレッシブに絡んできたチェロとの戦いが楽しめました。

最後にアルトリコーダーで
🎵A.ヴィヴァルディ(1678-1741):コンチェルト『海の嵐』ヘ長調 op.10-1
バックは全員総出演。もちろんアグレッシブな海の嵐になりました。私はそんな熱い音楽の真ん中にあるラルゴ、穏やかな中にも弾力あるリズムが見事でした。

大きな拍手の中で 終演。
チェンバロを搬出して 会場を整えて。

18時30分~
第31回国際古楽コンクール〈山梨〉表彰式
今回は
🏆奨励賞:Ensemble LMC
🏆第3位:辛川太一(本選演奏4番目。午前中 桜座でデモ演奏をしてくれた方)
🏆第3位:河本祥太朗(本選演奏5番目)
そして1位、2位はなし。

ちなみに河本さんは、奨励賞のEnsemble LMCのチェンバロ奏者でもありました。

私の順位をつけない入賞予想は、フォルテピアノは私の耳がチェンバロで騙されているかもしれないので入賞するかは微妙と判断しましたが、アンサンブルは確実に入賞と判断、チェンバロ部門は本選演奏の3番目と4番目の方だと思ったのですが… やっぱりちょっぴり外しました。

久し振りの古楽コンクール。順位予想などもしながらの楽しい2日間になりました。


表彰式のあと 目の前の甲府駅に行くと、ちょうど電車が出たあと。なんと八王子まで行く電車が(特急、各駅停車とも)40分待ち。各駅停車で帰ると、帰宅が23時を過ぎそうなので、奮発して特急の自由席に。1時間間隔の松本発の特急は指定席、3両しかない自由席ともに満席。八王子まで立って帰りました(が 1時間かからないのでそうでもなかったのが幸い)。そのデッキにコントラバスがあったり、網棚に様々な楽器があったのにちょっぴりビックリ。帰宅して調べたら、松本で人気指揮者率いる大オーケストラのコンサートがあった模様。そのメンバーが指定席満席のあおりで自由席に乗り込んできたみたい。オケで1両分は埋まりますものね。『スーパーあずさ』座りたかった~