NHK交響楽団 第1882回定期公演 Aプログラム(2日目) | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日も午後から都内へ。
お友だちと昼食の待ち合わせ場所が、渋谷のタワーレコードなので、危険な香りがあったのですが、ハイドンで(15枚組が)なぜかめちゃ安く出ていたので、結果、やっぱり散財しちゃいました。


NHK交響楽団 第1882回定期公演 Aプログラム(2日目)

15時~
NHKホール

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
NHK交響楽団
コンサートマスター:ライナー・キュッヒル

↑4月のプログラムの表紙です

オケはチェロとコントラバスを下手側に置いた両翼配置。

今日の座席は、1階左ブロック7列目の内側寄り(A席)。指揮者を斜め後ろから見れる席。座席が中央方向を向いているのもいい。

前半の作品は
🎵ベルワルド:交響曲 第3番 ハ長調「風変わりな交響曲」(ブロムシュテット校訂版)
ロマン派の隠れた名曲のひとつ(作曲が1845年)。私はその渾名は知ってはいたものの、曲を耳にするのは初めてでした。
3つの楽章からなる作品。
第1楽章は、冒頭の主題が幾重にも鎖のように繋がっていくような、音楽づくり。「これが第2主題なんだ!」という、明確な音楽の対比が感じられないまま提示部が終わり、ブロムシュテットさんは冒頭から反復されました。展開部に入ると、より北欧的な響きの旋律的なところも聴けましたが、私にはそのレベル。古典派としては無理のある構成で、果たしてロマン派の交響曲として…も、果たしてどうだろう。これが一般的にならない理由かとも思いました。
中間楽章は前半はしっとりとしたアダージョ。ロマン派の音楽。そこにどっぷりとはまっていると、突如 スケルツォのようなリズミカルな音楽が登場。これがこの楽章の中間部。このまま終われば2~3楽章が連続した形での4楽章形式とも言えるのですが、ここではそのあとに最初のアダージョが戻ってくる3部形式。緩急の対比がとてもはっきりとして愉しく聴くことができました。
終楽章はちょこまか走り回るような慌ただしくもかわいらしい音楽。N響の楽々と弾いているような 余裕をもった音楽が爽快でした。

この作品は、テレビ放映でしっかり復習しなきゃ、と思いました。

休憩を挟んで
🎵ベルリオーズ:幻想交響曲 作品14
この曲はたくさんの指揮者で聴きたい作品。昨年は魑魅魍魎系で圧巻だった 上岡さんがまだ印象に強く残っています。因みに音盤では、魑魅魍魎系では『マルケヴィッチ:ラムルー管盤』、正統派では『マルティノン盤』がお気に入り。
今日は、スコア持参で半分くらいを見ながら聴きましたが、やっぱり完璧な正統派。私の席では、ちょっぴりビックリバランスになったところもありましたが、説得力抜群の幻想交響曲が聴けました。
ハープ2台が舞台上手後方、今日の配置のヴィオラの後方になりました。しかし私からは真正面の位置で 音はしっかり飛んできました。

第1楽章の冒頭、囁くようなヴァイオリンから魅了。こういうところばやっぱりN響。ブロムシュテットさんはちょっとしたところ、例えば音が一番高くまで上がり切って長く伸ばす旋律のところ、などで、心持ちルバートを掛けたりはしたものの、基本、颯爽とした 前進力が際立つ音楽づくり。主題の後半をスラーではなくスタカート気味に処理するなど 独特の解釈も。そして主部の反復を行いましたが、柔らか目な1回目に対して2回目の決然とした表情の対比は 主人公の幻想がだんだんと効いてきてより現実的に見えてくる様。
ブロムシュテットさんは腕を下ろすことなく、譜めくりが終わり次第開始した第2楽章。
第2楽章では冒頭の主題が繰り返されるたびに、それをくっきりと何度も聴かせてくれたのが印象に残りました。つまり、楽章後半、普段は管楽器の音をメインに聴いてしまう場面で、その主題が弦楽器のパートを目まぐるしく渡り歩いているところを明確に聴かせてくれました。ここでは特に両翼に配置されたヴァイオリンがなかなか効果的。ここをこうするなら やっぱり中央前よりで聴きたかったですね。2台のハープも存在感十分。上手に行ったので心配したのですが、離れてはいるものの真正面だったので 音がダイレクトにしっかりと聴こえてきました。

第3楽章の前で しっかりと間を置きました。

冒頭の舞台裏のオーボエと舞台上のコールアングレの対話なんですが、私の席からは 舞台裏にいるであろうオーボエの音が直接音ではっきりと聴こえてきました~舞台裏で吹いていたのですよね?~。舞台の反響板(後方の壁)の隙間がブロムシュテットさんと一直線上の席なので、つまりその隙間からブロムシュテットさんが見える位置で吹いていたらしく、音が私の席まで一直線だったかも。そのため、エコーのような効果が得られなかったのが残念でした。
そのあとの第3楽章の中心部は、輪郭がくっきりとした端正な佇まい。私はもっと山の中の湿原を流れる風のような動きの幅が理想なんですが、そこは対極。スコアを見ながらだと、ブロムシュテットさんのそんな音楽が めちゃ説得力のあるものとして見えてきました。
そして最後のティンパニのソロに乗っての冒頭のコールアングレのソロの箇所。数回のソロをくっきり、はっきり、スコアではpからppとなっているところをmfレベルで堂々と吹かせて、最後のソロを最弱のpppで消えていくように終えたところが、めちゃ素敵でした。

ここでも間を置いて、第4楽章。

冒頭のホルンはミュートをしっかりと朝顔に装填しての強力なゲシュトップ奏法。私の位置からだと、舞台下手の壁から(つまり舞台裏から吹いているかの如く)、ビリビリとした雑音混じりの、私の好きな(フォルテピアノのファゴットストップのような)音。それがpから(はっきり強めで)fの最後まで吹いたのが とても新鮮。ffのあとはミュートを外しての通常の演奏でしたが、今日のブロムシュテットさんは なんと反復あり!もう一度この響きを堪能できるという幸せ。反復前にホルンの方々が手首にミュートをぶら下げて吹いていたのがなんか微笑ましかったです。
第4楽章から第5楽章は(譜めくりだけで)腕を下ろさずに連続して演奏。
ハチャメチャ好きな私ですが、ブロムシュテットさんの演奏は、それはきっちり。音の積み上げ方が富士山のような安定感。そのあとの鐘は舞台裏から。
ロンドに入ると、死後の世界の音楽だけど なんと『熱い生き生きとした音楽』が聴こえてきました。そんな中 コールレーニョの不気味な足音のあと、ポンティチェロの背中をかきむしられるような音(実はこの音が私は大好きなのです!)が 大胆に決まって、私はにんまり!

爽快、そして圧巻のブロムシュテットさんの幻想交響曲が聴けました。
ブロムシュテットさんは本当に知っている曲だと常に感動をくれます。10月にはハイドンが聴けそう。秋の来日も予定に入れなくては…