東京都交響楽団 第839回定期演奏会Cシリーズ | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日の午前中は、BSで女子カーリングのオリンピック代表選手権。
めちゃ応援している、LS北見があっさりと代表を決めました。午後のテレビ録画は必要なし。選手たちの笑顔のインタビューが素敵でした。
それから池袋へ急ぎ移動🚃 


東京都交響楽団 第839回定期演奏会Cシリーズ

14時~
東京芸術劇場コンサートホール


指揮:大野 和士
ソプラノ:林 正子
テノール:吉田 浩之
バリトン:ディートリヒ・ヘンシェル
合唱:スウェーデン放送合唱団

🎵ハイドン:オラトリオ《天地創造》 Hob.XXI:2 


HPの紹介文は
『2015年10月の定期演奏会でこの上なく美しいモーツァルト《レクイエム》を聴かせてくれたスウェーデン放送合唱団を再び迎え、ハイドンの傑作オラトリオ《天地創造》を演奏します。近現代レパートリーで注目を集めることが多い大野和士ですが、《天地創造》はかねてより念願の作品。オペラをはじめ劇的な声楽作品を得意とする大野が、名歌手ディートリヒ・ヘンシェルをはじめ優れた独唱者とともに、神と自然と人間の壮大なドラマを描きます。 』

なんと、一昨日に続いての 天地創造。もう少し日程の調整ができないものかと 一般の聴衆として、ひとこと言いたくなってしまう。

今日の公演も1回券を発売と同時に購入しましたが、取れた席は1階の13列目の左サイド(S券)。椅子が中央に向いているので 端寄りという感覚は全く無し。音も右の第2ヴァイオリンがしっかり聴こえました。
そんな席になったので 会員でかなり埋まっているという予想は当たり、1~2階(見える範囲)はほぼ満席。1回券も スウェーデン放送合唱団目当ての聴衆が入った様子(終演後の拍手が合唱に対して倍増した)。

大野さんは数年前に都響で1回聴いたものの、今世紀に聴いたのは それ1回。ハイドンはカザルスホールの新日本フィル ハイドン交響曲全曲シリーズの時に、1度聴いたのが 唯一。ダイナミックに鳴らしたシンフォニックな印象と、交響曲第98番で『その部分だけ』大野さんがチェンバロを弾いたことが 記憶に残っている。

会場に入ってプログラムを見てビックリ!
なんと今日の公演、休憩を第2部の真ん中、第19曲のあと、5日目と6日目の間に入れてました。そうすると後半は6日目のあとに、アダムとイヴの楽園での生活の場面にすぐに飛ぶってこと!
なぜここに休憩を入れたかの説明は 無し。ただ、プログラム内の詳細な解説(私のレベルで歓迎される内容は、この作品を初めて聴く方にはどうでもよい難しいことで、さらに今日はその版ではないとくれば、解説者の一人歩きとしか言えない。そこに書かれた(今日やらない)版の説明に、1部、2部、3部をさらに場面に分けるところがあり、なんかその区別を見せることで、ここでの休憩の理由付けにしているとも見えそう。でも『場』より、素直に『日目』とすればいいのに… 第2部までは その分け方なのですから。どうしてもというなら第3部だけ場面分けをすればいい。
聴衆は学者じゃないのですから!

そしてもうひとつ、こちらは歓迎すべきことに、プログラムに紙ベースの対訳が入っているのに加え、今日は舞台後方の反射板に歌詞をスライド投影。舞台サイドの人には 舞台最後方の合唱の後ろに左右に大型の画面を置いてそこに歌詞を映してもいるという丁寧さ。これで演奏中に対訳を見る必要がなく、舞台に視線が集中できました。一昨日、指摘をした 第2部の描写音楽のところもハッキリわかる。

オケの配置は ヴァイオリン各12の両翼配置。チェロは右側(上手)でその後方にコントラバス。
通奏低音は(ヴァルターモデルの)フォルテピアノを指揮者の前方、ヴィオラとチェロの間に蓋を取って置きました。

スウェーデン放送合唱団は総勢32人。
並びは前列左手ソプラノ、右手アルト、
後列左手バス、左手テノールの前後2列。
ただこれはオケの音の配置とずれている(男声が左右が逆)のが気になりました。 

冒頭の1音、とっても長いフェルマータ。ゆっくりと音が減衰していくのは、宇宙の始まりと広がりを感じさせてくれたのですが、このようなところはオケの実力がわかってしまいます。木管楽器が途中から目立ったり(音がまわりと揃ってディミヌェンドできていない、音が震える)と、そちらでハラハラしちゃいました。ただ、それ以降は オケの技術的なところは、ホルンの当たりが怪しかった箇所がちょっぴりあった程度で、気にはなりませんでした。
大野さんの演奏は、その後も フェルマータを長めに取ったり、曲の最後の部分で明瞭にテンポを落としたりと、ロマン的な解釈。特に第2部終曲の合唱、最後から5小節目を大胆にテンポを遅くして、その最後の音を大きく延ばして、最後の4小節に普通に繋ぐという見得を切りました。私的には(UKせんせーじゃあるまいし)ちょっぴりやり過ぎ感も…
ビブラートも現代風に適度に掛けながらの曲づくり。掛けないところとの対比をするようなこともありませんでした。

そんな中でフォルテピアノは才気煥発!それは積極的にその歌詞に合った装飾を多彩に掛けていきました。それはレチタティーヴォだけでなく、アリアの場面でも積極的に加わっていました。今日の一番の聴きどころは、フォルテピアノでした。男性の奏者でしたが、プログラムへの名前がありませんでした。対訳がしっかりしていたので なおさら都響のその姿勢が残念に感じました。オケの演奏会なので レチタティーヴォなどの部分は軽んじられるのでしょう。

歌手では まずソプラノの林さん。この方、ホール全体を満たす美しい声が魅力でしたが、歌詞が聞き取れない発声が気になりました。そしてこれは古楽からのアプローチで聴きたい私には ビブラートが過剰。ロマン派以降のオペラを聴いているみたいで、ハイドンのスタイルには合いませんでした。そしてもう1点、フェルマータをとても長く延ばすところ。これは大野さんのスタイルに合ったようでしたが、第1部のアリアでは 次のオケの音が入るまで延ばし続けるところもあり、そこまでいくとちょっと… で、それなら装飾は…といえば、それは無し。ハイドン向きの歌手ではなさそう。
でも、声量、楽譜上の表現では 悪くはありませんでした。

テノールの吉田さんは、明るい声質が 宗教的な要素のあるこの作品に 合っているかというと 私は??でしたが、安定した歌唱は見事でした。

バスのヘンシェルさんは ちょっぴり線が細い感じで オケやホールにちょっぴり負け気味。そして下のC(ド)より下がるとちょっぴり苦しそう。一昨日の悪魔のような安定した低音は 怖いほどでしたが、今日は牧師さんのような温かみのある ほっこりする声。そんなラファエルは、この作品にピッタリでしたが、一昨日と比較しちゃったので ちょっぴり残念って感じも持ちました。

そんなソリストとアリアや重唱、装飾を掛けない(アインガングは多少入れましたが)楽譜通りの演奏を聴くと、ロマン派の音楽から時代を遡ったアプローチと感じました。なので ちょっぴり単調って感じる場面も。そのためかはわかりませんが、幾度か アリアと指揮者のテンポが合わない場面も感じられました。

しかし、全体的にはしっかりとした、楽譜に忠実な演奏を聴くことができました。そして合唱がそれは素晴らしかった!

ただ、本当に休憩の位置がやっぱりおかしい!休憩のあとのレチタティーヴォはオケの伴奏ではないし、これはハイドンの意図を完全に無視していると思うし、歌の内容も(ここから始めると、全く雰囲気の違う第3部にすぐに続いて)断層みたいになってしまう。まるで、民放のテレビドラマが 次回を期待させるように中途半端なところで切るのと同じ。
大野さんのハイドンに不信感を持ってしまいました。

このように聴く前から不信感を持ちましたが、前向きに音楽と対峙しました。そこで 一昨日との比較にならざるを得ない状況で 厳しい感想になりましたが、1階サイドのS席で8500円を高いとは感じませんでした。
休憩の箇所以外は、大野さんのハイドンはそのレベルに十分達する音楽になりました。

ホールから出ると お隣のギャラリーで
『2017年 全日本山岳写真展』
に 立ち寄り。
閉会まで1時間無い中で、多くの作品を観ましたが、本当に 北アルプス の写真が多いのは 昔から変わらす…
私の好きな湿原のある 東北や北海道は数えられるほど。そんな中、久し振りの写真展で驚いたのは、リバーサルフィルムとデジタル写真が拮抗していること。デジタル写真でも ここまでのレベルのものが撮れるのかと 驚きました。