平成29年度 新国立劇場 地域招聘オペラ公演 びわ湖ホール:オペラ「ミカド」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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午前中のモーツァルトマチネのあと、神保町で古本漁りで時間調整。今日の収穫は探している戦前の地理の本ではなく、ミヒャエル・ハイドンとミスリヴェチェクとヴァーゲンザイルの楽譜が入手できたこと!
それでも時間は足りない💦
神保町から新宿線で初台へ。


平成29年度 新国立劇場 地域招聘オペラ公演 びわ湖ホール
オペラ「ミカド」

🎵アーサー・サリヴァン:『ミカド』

全2幕〈日本語上演/日本語・英語字幕付〉

16時~
新国立劇場 中劇場


HPの案内は
『新国立劇場では、平成17年度から現代舞台芸術に関する地域交流事業として、全国各地のすぐれた作品を新国立劇場との共催で上演する「地域招聘公演」を行ってきました。平成29年度は、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール制作の『ミカド』を招聘します。
びわ湖ホールは1998年に開館、来年2018年が開館20周年となります。開館以来、国内外の優れた舞台芸術を提供するとともに、劇場独自の創造活動の核となる劇場専属声楽家集団「びわ湖ホール声楽アンサンブル」を設立して、オペラをはじめとする舞台芸術作品を自主制作しています。
イギリスのコミック・オペラの名コンビ、ウィリアム・ギルバート(台本)とアーサー・サリヴァン(作曲)の代表作『ミカド』は、当時ヨーロッパで流行したジャポニスム(日本趣味)に触発された作品で、19世紀末のロンドンで大変な人気を博しました。今回演出を手がける中村敬一の訳詞による上演で、ロンドンのミュージカルの元祖ともいわれる軽妙洒脱な作品を気楽に楽しんでいただけます。
なお、本プロダクションは、新国立劇場での上演に先立ち17年8月5日(土)・6日(日)にびわ湖ホール 中ホールで上演されました。』

実は、関西でこのびわ湖公演のチラシを入手して行く予定を企てたのですが、数日後に日本センチュリー響の定期演奏会(同じオケではないですか!)があったので 避けた次第。そうしたら 新国立劇場で行うという幸運。

今日は2階のやや下手寄りの2列目のA席で楽しみました。一目で舞台、字幕、そしてオケまで見えて オケの音もクリアーに聴こえる、文句なしの席。

キャスト
びわ湖ホール声楽アンサンブル
ミカド:松森 治
ナンキプー:二塚直紀
ココ:迎 肇聡
プーバー:竹内直紀
ピシュタッシュ:五島真澄
ヤムヤム:飯嶋幸子
ピッティシング:山際きみ佳 
ピープボー:藤村江李奈
カティーシャ:吉村秋穂
女子高生:川出綾子、奈良絵里加、南さゆり、糀谷栄里子、益田早織、溝越美詩
貴族・市民:川野貴之、島影聖人、増田貴寛、内山建人、浦野裕毅、宮城島 康
管弦楽:日本センチュリー交響楽団 
指揮:園田隆一郎
演出・訳詞:中村敬一
美術:増田寿子
照明:山本英明
衣裳:下斗米雪子
振付:佐藤ミツル
音響:押谷征仁(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)
舞台監督:牧野 優(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)

企画・制作:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール

という、びわ湖のプロダクション、そのままの持ち込み。

満席にはならなかったものの、8~9割方の入りでしょうか。今日は2日公演の1日目。

実は『ミカド』というオペラ、中学校の音楽の教科書(私が中学生の時です!)で、代表的なクラシックの作曲家の紹介で、譜面つきで載せられていて、それが明治元年の流行り歌『宮さん宮さん』で もう頭真っ白になり、それからずーっと気になっていた作品。40年経ってやっと実演に触れることができました。

そんな期待最高潮での観賞ですが、大変 満足のいく公演になりました!

まず、開演時間に合わせて、演出の中村さんのお話が約10分。もう少しこの作品の背景や演出について聞きたい部分もありましたが、オペラ本体の枠内なので 10分が限界でしょう。今回は地方のプロダクションの招聘公演なので プレトークではなく聴衆全体にお話を入れたかったのでしょう。

序曲がちょっぴり長めで、舞台の幕を下ろしたままだったので、保守的で笑えない喜劇になっていたらどうしよう…と危惧をしながら、寝る心配すらしながら耐えていたら、序曲が終わり幕が開くと、即、視線が舞台に釘づけ。

舞台後ろに投影されているのが、日本を紹介するHPのトップ画面。
舞台背景は それを元にしたような 映像がほぼ全幕。第1幕は 東京(吉祥寺、秋葉原、そして帝を思わせる場面では、鎌倉)。第2幕は関西(京都の清水寺の四季、帝の場面は金閣寺、大団円はなんと大阪 新世界と道頓堀のネオン)。ここからして、私のツボにはまっていますから…

日本語の舞台、進行が台詞なのでとてもわかりやすかったのに加え、歌の場面では、字幕もついて、発声が皆さんとてもくっきりと歌詞が聞き取れたのに驚きました。日本歌曲をレパートリーにしているだけありますね。

演出は、どこからが今回のための『作詞、演出』かと思わせるくらいのくだけた(ことば)が、嫌みのない タイムリーな話題も組み入れた楽しいものになっていました。小道具にスマホを使ったり、今ワイドショーで騒がれているような どーでもいい言葉や動作が加えられたりと… ちょっぴり関西風ノリで、受けなきゃいけないところで聴衆側が真っ白になった様子が逆に面白かったです。

歌手はみな びわ湖の歌手たち。ナンキプーの二塚さんは 何度か実演を聴いたことがありましたが、他の方はみな初めて。全力での演技と歌唱はとても爽やかで好印象。もちろん重唱などでは力量の差を感じてしまうこともありましたが、そんなのは些細。女子高生や市民や貴族として参加した合唱団の主要キャストとの差がないくらい。総じて高いレベルの歌が楽しめました。

そして 破天荒なストーリーと、それに合った楽しい歌の数々は、もうミュージカルに近い感じ。特に第2幕には 思わず口ずさみたくなるような(有節の)アリアが魅力的。

本当に愉しい2時間半でした。
最後、しっかりとした衣装で演じてきた全員が、最後の曲になったと同時に袖に引っ込んだあと、なんとモダンな服に着替えて登場!ミカドがグリコの姿のランニングを来て出てきたりと、もう大阪のノリ。ピッティシング(だと思う)は阪神の法被に応援のバット持っていたし…

あまりの突然さに、関東では笑っていいのか考えてしまうような笑いが満載でした!

これ、高等学校のオペラ鑑賞の教材でやったらいいのに…と思ったのは、私だけかな?