第30回 モーツァルトマチネ:ミューザ川崎シンフォニーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
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昨夜は横浜に23時過ぎに到着。電車から降りると熱気が…
やっぱり 草津の涼しさの方が 過ごしやすい。

今日は午前中から音楽会。昨日、バスの接続で諦めかけた音楽会。京急の川崎駅から歩くだけで、暑いのなんの… 草津ボケしています。


モーツァルト・マチネ 第30回

11時~
ミューザ川崎シンフォニーホール

ピアノ:小菅 優
東京交響楽団


今日は指揮者なしの演奏会。ということでHPの紹介文を載せておきます。
『ピアニストとして目覚ましい活躍を遂げている小菅優が弾き振りを初披露! その挑戦に、ソリストとしての姿とは違う新しい一面が垣間見えます。お贈りするのは隠れた名曲第12番と女流ピアニストに捧げられた「ジュノム」。プログラムにも注目です。

ピアニストからのメッセージ

 「弾き振り」は、モーツァルトの時代には日常的なものだったと言われていますが、その時代に想いを馳せて美しい2つのコンチェルトをお楽しみください。
 第12番はとても華やかで自然な雰囲気を漂わせていますが、その裏にはメランコリックな影も見えてきます。このコンチェルトはカルテットと一緒に弾くバージョンもあり、今回小編成で演奏することによって、この作品の儚さがより繊細に伝えられればと思います。
 第9番はザルツブルクで書かれた最後のピアノコンチェルトで、それまでにはないようなピアノの難しさと大きな規模を感じさせられる傑作です。この協奏曲は冒頭からいきなりオーケストラとピアノの対話で始まりますが、モーツァルトならではの室内楽的な要素を、直接オーケストラと向き合って演奏することによってより近く、率直に表すことができることをとても楽しみにしています。(小菅 優)』
と、ありました。

オケは6-6-4-3-2の上手手前がヴィオラの通常配置。ピアノは反響板を外して聴衆に背を向けて弾くスタイル。
それを1階4列目ど真ん中で聴きました。

最初の曲が
🎵モーツァルト:ピアノ協奏曲 第12番 イ長調 K.414(385p)
地味な番号ですが、一度聴けば覚えてしまうような、軽快かつ親しみやすい名曲。私も大好きな作品。
小菅さんはピアノに腰掛けての指揮。冒頭、穏やかに開始。古楽の生き生きした演奏を好んでいる私の印象は「なんとぬるい やる気のない のっぺりしたオケなんだ💢😠💢最悪じゃん…」と思ったのですが、小菅さんのピアノが出た瞬間、考えが180°ひっくり返りました。
なんと美しく穏やかなピアノ!ppとpでモーツァルトを編み上げていく。だからそれを支えるオケは、必然的に絹のヴェールのような肌触りになる。第1主題の逆符点のリズムがフワッとしちゃう!これは私の想定を完全に超えた範囲での演奏でした。
クリスチャン・バッハの曲から転用した主題の第2楽章も、クリスチャンらしい穏やかで優しさあふれる音楽が聴けました。
この曲では 繊細なピアノに そっと寄り添うオケの緻密なアンサンブルを聴くことができました。指揮者なしでよくぞここまで!

続いて
🎵モーツァルト:ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271「ジュノム」
こちらはピアノ協奏曲では若い番号ですが、有名な作品。昨年夏にいずみホールで聴いたばかり。
こちらも第12番と同様ですが、少し元気のパワーは加わった感じ。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが掛け合う場面があるのですが、この配置ではその効果は半減。そこがちょっぴり残念。しかし堅実で丁寧な音楽づくりで、やはりアンサンブルの楽しさが感じられる演奏。
そんなスタイルなので、第2楽章の弱音器のヴァイオリンの渋い音色が映えました。
第3楽章も軽快に子どものように駆け回る光輝くような若々しさをも備えた 温かいスタイル。

モダン楽器でも このように演奏すると、スリムなモーツァルトとなるので、抵抗なく愉しく聴けました。

小菅さんのピアノは楽譜に忠実で、カデンツァもベーレンライター『B』の版をそのまま。その中での小菅さんのモーツァルトを聴くことができました。
響きの良い ミューザ川崎で、ピアノの反響板を外しての演奏だからこそ、繊細な音色をホールにオケの音と同等に響かせることができたのでしょう。
このような演奏、室内楽的な響きは、協奏曲ではない!と言う方もいるかもしれませんが、私はこちらの方が好きですね。

さぁ、今日はこれからもうひとつ続きます!