『メアリと魔女の花』と 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2017「フィガロの結婚」 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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朝イチのJALで羽田から伊丹✈ 夏休みの土曜日とあって、航空機はもちろん 空港も混雑。
今日は午前中、梅田で映画🎥
『メアリと魔女の花』


部屋が横長で入ってビックリ。
作品はまずまず楽しめました。
ジブリから独立した 米林宏昌監督作品とあって、そこかしこにジブリの作品のオマージュみたいに感じられたのは私だけ? 最初、ストーリーというより人間関係がよくわからないまま進行した感がありました。また、人間関係の詰めがなんか甘い。そして 一番興ざめしたのは、途中でストーリーがわかってしまうところ。中学生程度なら このストーリーでもいいですが、大人にはもの足らなさが残りそう。今までのジブリ作品のような 社会問題をベースに置くなど、発信するものが弱かった感がありました。
米林宏昌監督作品、前回のマーニーが私にはど真ん中に訴えかけてきたので、期待をした分、ちょっぴり肩透かしでした。まぁ、マーニーも社会問題を映しているとはいえませんが…


梅田から西宮北口へ。お友だちと待ち合わせ。
3人で昼食は、西宮北口でお気に入りの お魚のランチの美味しいお店。
今日は鯛とハモの定食。


安くてめちゃ美味しい。鯛の刺身はコリコリで絶品でした。

お腹をいっぱいにしてホールへ移動。



佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2017
「フィガロの結婚」

14時~
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 

🎵モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」(全4幕/イタリア語上演・新制作)
第1幕:50分/第2幕:50分/休憩:25分/第3幕:40分/第4幕:40分

アルマヴィーヴァ伯爵:髙田智宏
アルマヴィーヴァ伯爵夫人:並河寿美
スザンナ:中村恵理
フィガロ:町 英和
ケルビーノ:ベサニー・ヒックマン
マルチェリーナ:清水華澄
バルトロ:志村文彦
バジリオ/ドン・クルツィオ:渡辺 大
アントニオ:晴 雅彦
バルバリーナ:三宅理恵
合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
チェンバロ:ケヴィン・マーフィー
スタッフ
指揮:佐渡 裕
演出:デヴィッド・ニース
装置・衣裳:ロバート・パージオラ
照明:高沢立生


昨年のこのシリーズは、ブリテンだったのでパスしたので、2年振り。相変わらずの盛況。今日は7/8日目で日本人中心のBグループの本公演最終日。ただ 兵庫県内出張公演が 本公演終了後に2公演、このBチームが行うとのこと。

今日の座席はR列の上手プロックのやや内側という、舞台すべてを一目で観れる良席。
 
今日の演出はD.ニース。日本では小澤征爾音楽塾でもお馴染み。オーソドックスな舞台づくりで安心して観れました。

序曲の演奏中は幕を開けない今では珍しい?スタイル。テンポ速めでパワフルな序曲のあとに幕が開きました。

舞台装置は舞台の上まで使った背の高いもの。細かい丁寧な舞台とはいえませんが、具体的にはっきりと作られた舞台で 分かりやすいもの。ただ 突っ込みどころが満載でした。
第1幕のスザンナの部屋は まるで博物館のエントランス? というような広さ。これは最早部屋ではない!最初の『一寸、二寸…』の二重唱←古すぎの訳でごめんなさい😅 は、変。だって これならベッドはもちろん何でも入る。出入りには階段を上がって出ていくので半地下かな?
背景はすべて壁で本棚などを描いたもの。
第2幕はその高さが伯爵夫人の部屋にピッタリ。背景に窓をひとつ置き、庭園の風景が見える設え。ケルビーノはそこから飛び下りる。クローゼットは『部屋』ではなく『クローゼット』で服を掛けておく程度の幅のよう。これだとクローゼットに『入って』はあり得なく『隠れて』になり、ケルビーノ、スザンナが中に居るのが不自然。
第3幕は中庭。中央後ろに開放された門があり、庭園が望める。ところがその中庭の下手手前に机がひとつ。ここが前半、伯爵の机で 最初のスザンナとの秘密の約束のお話や、裁判の結果のドタバタが行われるところ。そしてそのあと、伯爵夫人とスザンナがその机で『手紙』を書く。伯爵のペンで伯爵を誘き出す手紙書くか~?
第4幕はその中庭が庭園に。ここは不自然に感じませんでした。

それと重要な点は、第3幕の曲順。この演出では、モーツァルトの『本来の』姿と思われる、伯爵とスザンナの二重唱→伯爵夫人のアリア→裁判の判決後の六重唱→手紙の二重唱… という順番。これだとスザンナの動きがスムーズに説明がつくので、私はここは拘ります。

演技は全員が しっかりと自然に動いた配置で違和感ないもの。なかでもマルチェリーナの清水さんの第1幕でのブツブツ言いながらの出入りは「演出?それとも自然?」と考えてしまうほど。それは積極的な演技が観れました。
その中で ハッとしたのは、第3幕、婚礼の場面で伯爵と伯爵夫人に歌をうたい 花を贈る(今回は歌詞カード)場面の、花娘。配役に名前が無いなぁ~と思っていたら、なんと、バルバリーナとケルビーノが歌いました。結婚式にケルビーノが居るのが自然か、居ないほうが自然か、そこは微妙なところですが、この二重唱がケルビーノとバルバリーナで聴けるのは いいじゃないですか!
それと忘れてはいけないのがフィガロの蝶々のアリア。歌いながら ケルビーノの顔にシェービングクリームを塗り 髭剃りを始めるというところ。そう、彼こそ『セヴィリアの理髪師』ですから。

そして最後に歌。今日 他を圧倒したのは、マルチェリーナの清水さん。この大きなホール全体を鳴らしました。ただ恒例となっている第4幕のアリアが省略されたのが残念。私の好きな曲でもあるので 本当に聴きたかった!
私が他にチェックしたのは アントニオの晴さん。バルバリーナの三宅さん。演技の細かさとキレを見逃しませんでした。
またバジリオの渡辺さん。やはり第4幕のアリアが省略されたのが残念でしたが、第2幕と第3幕でのアンサンブルで 男声の高音のバランス、ソプラノ(スザンナ)との掛け合いが絶妙でした。
スザンナの中村さんは清楚な声が素敵でした。対して夫人の並河さんは、第2幕のアリアではビブラートの大きさが気になりました(ビブラートを掛けない素直な声から ビブラートを大きくしていくところが私には幽霊が登場みたいで…)が、第3幕のアリアでは 同じ歌い方なのにまったく気にならず、手紙の二重唱では スザンナとの声の質の違いが 伴奏と旋律楽器の違いのようで 響いた時の美しさが際立ちました。
伯爵の高田さんは安定した好演。
フィガロの町さんは アンサンブルの場面でオケに負けてしまう場面が目立ちました。蝶々のアリアでは 途中にアインガングを挿入するなどの積極的な歌が印象に残ったので、ちょっぴり残念。

まだまだ書きたいことはたくさんありますが、ここで打ち止め。
でも、1つだけどうしても言いたいことが…

第4幕の大詰め、伯爵が夫人に謝る場面。なんで聴衆から笑い声が上がるのでしょうか?それも1割方の聴衆から一斉にです。ここは涙の、感動の場面では?

これって私はとても恐ろしいことのように感じました。

権力者が謝る!

この頃毎日テレビを賑わせている 政治の問題。権力者に謝らせようとするのと同じなのでは?
その前の大阪の小学校の問題も、今ば全く関係ない(と言うのは言い過ぎですが)補助金で幕引き?本質はどうでもいいの? これって地位の高そうな人を破産させて「ざまーみろ」でおしまい。これってただのイジメじゃん。

今日、伯爵が謝る場面で笑った人って、権力者をイジメで喜んでいる人みたいで 薄気味悪かったです。

とっても印象悪く終わったのは、聴衆の反応でした。
唯一、笑わせないように準備ができなかったのか、反省をしてもらえれば…と演出関係者に考えていただければ と。

終演後、佐渡さんのサイン会。
持参したハイドンの交響曲のCDにサインをいただきました。


「カザルスホールの時に聴きました」と伝えたら、握手まで。 今日の印象大幅に改善!

帰りにお友達と天王寺で夕食。
ひつまぶしと宇治茶のデザート。



どちらも美味しく、大満足。

今夜はいつもの天王寺の旅館でゆっくりです。