新日本フィルハーモニー交響楽団 RUBY#8:すみだトリフォニーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
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暑い暑い首都圏。なぜこれだけの気象災害が起きているのに だれも地球温暖化を話題にしないの? やっぱり原発推進となるから?
本当は節エネルギーが先にならなきゃいけないのですが「今の生活を維持したい」があるから、何も言えないのでしょうね(それかただの無知か…)。

今日はマチネの演奏会。


新日本フィルハーモニー交響楽団
RUBY#8 ルビー<アフタヌーン・コンサート・シリーズ>

14時~
すみだトリフォニーホール

指揮:上岡敏之
ヴァイオリン:戸田弥生


この演奏会、元々『リクエストコンサート』と題されて、冬の間、新日本フィルの演奏会で聴きたい曲を募っていたという会。私もダメ元でハイドンやらビゼーやらをリクエストしました。とは言いながら、「どうせ 有名な作品が並ぶだろうし…」とチケットも買わなかったところ、なんとも地味なプログラムが組まれたではありませんか!プログラム発表と同時に即買いでした。
その座席は1階7列目の中央。私にとっては絶好の位置。

前半は戸田さんのヴァイオリンで
🎵パガニーニ: ヴァイオリン協奏曲第1番 ニ長調 op. 6, MS 21
軽快なテンポで始まるも、休符をしっかりと取るので、落ち着いた雰囲気でのスタートになりました。
ソロのヴァイオリンはちょっぴり重め。私のパガニーニ像とはちょっぴり離れた位置かも。そこでの伴奏の、普段なら単純すぎるこの曲のオケのパートは耳にも入らないのに、今日はつるつるに磨かれたような大理石を思わせる弦の響き。とてつもない美しさに驚き!
戸田さんのヴァイオリンは 技巧を誇示するのとは正反対。堅実にパガニーニの音楽を解いていくというようなスタイル。そのスタイルに一番合っていたのは第2楽章だったかも。左手のピチカートや重奏のフラジォレットのところでちょっぴりハラハラ度が上がったのが残念。
リクエストコンサートという プログラム決定が半年以内だったので、この作品ならば 体力と技術は今が旬という若手を起用しても良かったのでは…とも思いました。まぁ、私はパガニーニでは曲芸的演奏を期待するので…

後半は
🎵ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
昨年の仙台フィルの渾身の熱演が忘れられないこの作品。私の理想も不安定さ極まるような演奏が望み(音盤だと マルケヴィッチ~ラムルー管みたいな)。

今日は上岡さんの音楽が存分に楽しめました。手兵となってきた新日本フィルも良い反応。
冒頭からとても細かいニュアンスが生き生きした演奏。その特長をひとことで言うと
「楽譜にとても忠実」
第1楽章、第4楽章の反復は省略したものの、第2楽章のポルタメント指定の箇所をはっきりとグロテスク(指示通り)に弾かせたり、全曲を通しての細かなデュナーミク(聴かせたいパートを明確に出したり、振れ幅の大きさは破格でしたが…)が正確で丁寧。
しかし、出てくる音楽は新鮮でドキドキの連続。
私の大好きな第3楽章では、コールアングレを堂々と吹かせ、野を吹く風の弦の音は極めて小さく、昨年夏のボレロで上岡さんがファゴットをそれまでとのバランスを欠くように強めに演奏させたのを思い出しました、この楽章(作品)はただの風景を描写した音楽ではなく、標題音楽であることを意識させました。そしてこの風景が『本当の風景ではなく』夢の中の風景であるかのように、なんと、田園の風を感じない、室内で田園の風景の映画を見ているような(それも現代アートの作品のような)奇妙な田園風景を感じる演奏に仕上がっていました。
そして続く第4楽章では 最後の最後、ギロチンが落ちたあとの箇所。普通ならffでホールを音で充満させるところが、なんとfではありますがホールの容量の半分以下の音の圧力。まるで死んでしまった自分を冷静に上から見ている様。鳥肌が立ちました!
第5楽章の音楽は、初盆を迎える田舎の風景。鐘の音の後ろから来るのは、魑魅魍魎の悪魔ではなく、迎え火をたよりに庭に歩いてくるじいちゃん、ばあちゃん。とっても温か。

とても人間味あふれる幻想交響曲が聴けました。

アンコールは(私はハープご2台あるのでシュミットの『ノートルダム』間奏曲あたりかなぁと予想したのですが…)
♪リスト:ハンガリー狂詩曲第2番
ヨーロッパの盆踊りだ!
テンポとニュアンスの細かな動きが自然。新日本フィルが上岡さんの音楽をものにできています。素晴らしい演奏でした!
ちなみに誰の編曲版かはわかりませんでした。ハープは2台使っていました。

今日は音楽会のあと、上野へ。
西洋美術館の
『アルチンボルド展』へ


今日は金曜日なので夜まで開館!土日は勘弁なので こんなにピッタリの日を逃してはいけない。

入ってすぐの 自分顔が野菜になっちゃう、アルチンボルド風の自画像作製コーナー。4~5人待ちだったので まずはそこからスタート。みんな一人だったので 違和感なく並んで楽しめました。



土日なんかは家族連れで混雑しそう。一人じゃ並べなさそう。
てもこれ、野菜だからいいけど、魚バージョンだったらみんな嫌がるかもね~😣

展示室に入ると 有名な『四季』と『四大元素』の部屋もガラガラ。ゆっくり観れました。でも足を3回も踏まれました💢😠💢みなさん、前後の移動が顕著でした…

途中まで流して観たあとに、18:00~のスライドトークに参加。40分のレクチャーを聞いて大正解!
レクチャーのあと再度 実物を観れる。なんと充実した展覧会!
そこまでしっかり聴いて、観てしまったので、図録を買ってあとで復習…の必要性を感じなくなってしまいました。

展示作品は、もちろんアルチンボルドの作品だけではなく、周辺の画家の作品やハプスブルク家が収集した工芸作品まで。
工芸作品では『宝石が埋め込まれた鉢』の美しさ。
自然描写をテーマにした展示では、16世紀とは思えない博物誌的な緻密な絵画の数々。
そして驚くべきは、アルチンボルドが静物画の先駆者だということ! 静物画の最初の作品がアルチンボルドの『庭師』だと!

空いていたので、疲れ知らずで充実した展覧会でした!