はいどん楽遊会 番外編:雑司谷拝鈍亭 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

昨日は音楽会のあと、お友だちと3人で健康ランドへ。
ちょうど今、桜と桃でカラフルに満開だからと、山梨まで遠征。
到着は真っ暗な中でしたが、明けて周りを見れば桃が満開🌸

朝食のあと、石和温泉駅へ送迎バスで。



まずはここから各駅停車でお隣、春日居町駅へ。ここは桃畑の中の無人駅。



駅前には足湯があったりと、ほっこりできる駅。
ここは桃と電車の写真が撮れる私のお気に入りの場所。ところが今日は生憎の小雨模様。そのため雲で背景が白くなってしまうこともあり、30分で3本の優等列車の写真を撮っておしまい。



その後 天気が良ければ周辺を散歩とも考えたのですが、今日はパス。
電車で山梨市、東山梨、塩山、勝沼…と標高を上げるにつれ、ピンクの桃の花は蕾が多くなり、白い桃の花の鮮やかさが目立つようになりました。
そして勝沼ぶどう郷駅では、桜が満開🌸 多くの観光が訪問したいましたが、風上斜面にあたるため、雨がしっかり降っていました。途中下車も考えたのですが中止。車内からの花見で終了。

笹子トンネルを抜けると雨も止み春霞の日本の山里の風景。
中央線で都内へ戻りました。

池袋で軽く昼食のあと、歩いて護国寺方面へ。時間があったので雑司が谷の墓地に寄れば、著名人のお墓が。お墓散歩で時間調整。


↑竹久夢二の墓でした… が墓石をただ置いたようにしか見えないのは私だけ?

そして 今日の音楽会へ。


はいどん楽遊会 番外編

17時~
雑司谷拝鈍亭

若松夏美(ヴァイオリン)
鈴木秀美(チェロ)
クリスティーネ・ショルンスハイム(フォルテピアノ)


今日は拝鈍亭 100公演目だそう。
前回あたりから ハイドンの公演が満員御礼となっていて、聴衆に「宣伝をしないように!」と言われる なんとも面白いシリーズ。今日もギリギリ全員入れて『舞台上の』座席を使わずにすんだという次第。

今回は藝大招聘教授として来日したという、C.ショルンスハイムさんを迎えての特別音楽会。
鍵盤楽器はヴァルタータイプのフォルテピアノ。

まず最初の曲は
🎵ハイドン ピアノ三重奏曲 二長調 Hob. XV:16
ハイドンのピアノ三重奏曲の中では 3指に入る有名曲。
でも そこで(CD、実演共に)聴かれるのは、三重奏の編成が ヴァイオリンではなくフルートの『フルート三重奏曲』という編成。ハイドンは『ヴァイオリンまたはフルート』という指定をしていますが、現在ではフルート版が普通。ピアノ三重奏曲全集にも この作品(15~17番が同様)が省かれていたり、ご丁寧にも フルート奏者を連れてきて録音したり と、ヴァイオリン版を聴く機会は稀。
で、今日はなんとヴァイオリンで聴くことができる という機会となりました。

爽やかな フルートの音色にピッタリなアレグロの第1楽章。長い旋律を語る第1主題後半はブレスを取る必要のあるフルートに比べて ヴァイオリンの流れるようなフレージングは耳に爽快。第2主題の手前で短調に傾くところでは ヴァイオリンの温かく包容力のある音がピッタリ。展開部でのチェロのベース音が響くあたりでは、弦が2つによる響きの厚さより、私はフルートの突き抜ける明るい音色による3つの性格の異なる響きの方が好みかな。
そして特筆すべきは やはりショルンスハイムさんのフォルテピアノ。反復時にとてもセンスのある装飾を積極的に織り込みました。もちろん反復時の変化は装飾だけではなく、フレージングなどを含めての演奏スタイル全般に関わるところから。飽きさせることのない演奏は最後まで続きました。
アンダンテの第2楽章はフォルテピアノが主導権を握る場面が多くフォルテピアノの主張がしっかり聴けました。
第2楽章から休みなく入るロンド形式のヴィヴァーチェの第3楽章は 反復を繰り返しながら、長調と短調の色合いが明瞭でわかりやすい音楽。
私としては、とても充実した考えられた音づくりでしたが、やはりこの作品はきらびやかなフルート版の方が良いように感じました。

次は
🎵モーツァルト ピアノ三重奏曲 ハ長調  KV 548
きっと世間的には今日のプログラムの中では最も(もしくはピアノソナタと並ぶ)有名曲でしょうが、私は 初めて聴くレベル(家にモーツァルト全集のCDがあるから聴いたことはあるはず)でした。なので感想は簡単に…
ハ長調の堂々たる響きの第1楽章。流麗な部分は やはりモーツァルト。フォルテピアノの華麗さがきわだっていました。
歌うアンダンテの第2楽章は 3人の古楽器の響きとしっかり和したアンサンブルが秀逸。
その音楽をする愉しさが感じられるままの第3楽章。モーツァルトもなかなかいいじゃない!

休憩のあとは
🎵ハイドン ピアノソナタ ハ短調  Hob. XVI:20
ハイドン中期の名作。
モデラートの第1楽章の美しさは絶品。第1主題と第2主題の対比はもちろん、第1主題の中での繊細なフレーズの息づかいや 意外な転調の向きなど、ソナタ形式の応用問題集みたい。特に提示部最後、突然の3つの音で終えちゃう驚きの構成に、ショルンスハイムさんはそこを強調せずにサラッと次のフレーズに続けるスタイルを取りました。そして提示部1回目はバロック音楽からのスタイル、動機をひとつひとつ積み重ねていくスタイルを強調。ところが反復後は 旋律を長く流すスタイル。この対比は何? とっても面白い。
展開部以降もワクワクの連続でした!
アンダンテの淡々とした音の組み合わせによる第2楽章。ところがショルンスハイムさんは、左手の単音中心で繋いでくる(低音の)旋律をしっかりと続けて、まるで絹糸のような強く かつ しなやかで美しい1本の道が聴きとれました。また、展開部でのモデレーターのストップを効果的に利用。くぐもった音色が幻想的でした。
アレグロの第3楽章は第2楽章の反動のような音の多い曲。この小さなホールでも音が飽和しないのは、フォルテピアノならでは。力強い音楽を、余裕のある音で楽しむことができました。

休憩のあとは
🎵ハイドン ピアノ三重奏曲 ト短調 Hob. XV:19
このピアノ三重奏曲は私の中では なかなか聴けない作品に入る作品。
奇妙な変奏曲形式の第1楽章。2/4拍子のト短調のアンダンテで開始。ソナタ形式かと思わせる長さの第1主題。カンタービレと記された2/4拍子のト長調の変奏。その後ト短調とト長調の変奏が1回ずつ行われたあと、6/8拍子のプレストが最後につく。フォルテピアノと同じ動きをする箇所でのヴァイオリンとチェロがフォルテピアノを前面に立てるようなバランスで響かせていました。そしてプレストの箇所も プレストとは感じられない、つまり耳にはアンダンテの延長と捉えられるような音楽づくりをしていました。ハイドンの特異性を強調するのではなく、ハイドンのバランスの取れた音楽を聴かせようというスタイルを感じました。
変ホ長調の3/4拍子のアダージョの第2楽章は、フォルテピアノが活躍。というか、ヴァイオリンがピアノと重なり気味で控え目。ショルンスハイムさんの表情豊かで丁寧なフォルテピアノが絶品。
6/8拍子のプレストの第3楽章は狩の音楽。変ロ長調の躍動的な馬の駆け足が終始聴こえる様。ここでは弦とフォルテピアノとの丁々発止の掛け合いが愉しそう。面白くなってきて さぁこのあとは…と思うや、終了。

今日は三重奏にフォルテピアノ独奏、という 異なる編成(にハイドンとモーツァルトの2人)の音楽の対比もできて楽しかったです。
ショルンスハイムさんの音のスタイルは、古典派の楽しさを存分に感じさせる音楽づくり。めちゃ良かったです!

最後に、今日のフォルテピアノの調律をしていたのは…
なんと上尾さんでした👀‼

演奏会のあとは、恒例の反省会。今日の反省会は昨日と異なり、終了後 帰宅をしなくてはいけないので お食事とドリンクバーでした。