ハイドンの部屋 第18回古典四重奏団:松明堂音楽ホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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快晴の横浜!
空気も乾燥して冬到来。ひげ剃りあとにつけていた化粧水は乳液へと変わりました。
今日は午前中、ちょっぴりお仕事をしたあと、西武沿線までお出掛け。

★ハイドンの部屋(ハイドン弦楽四重奏曲全曲演奏会)第18回

古典四重奏団


15時~
松明堂音楽ホール

<円熟の境地 その4>
今日は晩年の4曲という充実したプログラム。
小さなこのホールでは後ろでもパワフルな音がひびくので、いつものように 後ろ寄りの席で聴きました。

前半があだ名つきの2曲。
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品76-4 Hob.Ⅲ-78「エルデーディ四重奏曲集」“日の出”
今日はこの作品だけ、ミニチュアスコア(ドブリンガー)があったので、持参。
第1楽章は ちょっぴり音が固くて分離気味。そのため有名な日の出の箇所は空気の層を感じる幻想さよりも、なんか望遠鏡で観た 観測者の視点での日の出になりました。
第2楽章からは音も落ち着いてきました。
第3楽章ではメヌエットのトリオのエキゾチックな響き、ヴィオラとチェロが主音をハーディガーディのように伸ばす効果、それほど強調する演奏ではないのですが、その響きの変化が楽しめました。

続いて
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ニ長調 作品76-5 Hob.Ⅲ-79「エルデーディ四重奏曲集」“ラルゴ”
主題を変奏させながら展開する第1楽章。楽器の旋律の受け渡しがスムーズで柔らかな仕上がり。後半、テンポが速くなった時に 4つの楽器が腰の据わったまとまった音でホールに響きました。
有名な第2楽章は幻想的というよりは、リズムもしっかり刻んで 理知的にまとめた感じ。ホールが小さく間接音が少ないこのような空間では、このような演奏の方がいい。

後半はタイトルの無い、地味な2曲
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 変ホ長調 作品76-6 Hob.Ⅲ-80「エルデーディ四重奏曲集」
変奏曲形式の第1楽章。各楽器の変奏の中でチェロの安定さが光りました。
ファンタジアと題された転調を繰り返す第2楽章。フワフワとした感じを抱かせる音楽が楽しめました。
スケルツォのような第3楽章はリズムに乗って踊りたくなる様。トリオでは楽器のシンメトリカルなカノン風の仕組みがよくわかる演奏は面白かったです。
そしてリズムの組み立てが楽しい終楽章。
タイトルの無い作品も めちゃ楽しめました。

今日の最後の作品は
🎵ハイドン:弦楽四重奏曲 ト長調 作品77-1 Hob.Ⅲ-81「ロプコヴィッツ四重奏曲集」
ハイドン最晩年のとても充実した作品。
緻密に構築された第1楽章の緊密な重心の低い響きは この団体のスタイルに合致。
深い感情の吐露を感じる第2楽章も、チェロのベース音に支えられた落ち着いた音づくりがいい。
そして最後は軽快、洒脱な第4楽章は 第1ヴァイオリン主体に滑るように!
楽章毎の性格の描き分けが良かったです。

柔らかなフレージングやテンポの弛緩は気がつかない程度で、強弱のメリハリをつけるタイプのこの団体のハイドン。80年代に使われた『古典的な演奏』の典型の音楽が楽しめました。

次回がこのシリーズの最終公演。12月末にホールが閉鎖されたあとの公演。その関係で今日から運営が変わったようですが、無事に最終公演までできる様子。次回『十字架上の7つの言葉』で締めるので、その日は他にも外したくないコンサートが重なっていたのですが、こちらを選択しました。ホールが健在なら、おまけ公演、作品3を希望したかったのですが…
郊外の小さな音楽ホール、閉館は本当に残念です。