日本フィルハーモニー交響楽団 第685回東京定期演奏会 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は仕事帰りに音楽会。

日本フィルハーモニー交響楽団 第685回東京定期演奏会
【ラザレフが刻むロシアの魂 Season IV グラズノフ1】

19時~
サントリーホール

入るとロビーは既にクリスマス仕様。



指揮:アレクサンドル・ラザレフ[桂冠指揮者兼芸術顧問]
ヴァイオリン:郷古 廉


気合いの入ったHPの紹介文は
『ラザレフ&日本フィルが呼び熾(おこ)すグラズノフ・ルネッサンス!
プロコフィエフからはじまりラフマニノフ、スクリャービン、ショスタコーヴィチとつながってきたラザレフ&日本フィルの「ロシアの魂」シリーズ。2016年9月から桂冠指揮者兼芸術顧問となるラザレフと次に取り組むのがグラズノフ(1865-1936)です。
生前はソ連音楽界の大家と知られながらも、晩年は亡命同然で国から逃がれた数奇な人生。そしてグリンカ、チャイコフスキー、ボロディンといったロシア音楽の正統なる継承者にもかかわらず、20世紀に入ってからは「時代遅れ」との声もあり、実力に比して必ずしも高い評価を得られなかったグラズノフ。そんなイメージをラザレフがきっと打ち破ってくれることでしょう。ラザレフと日本フィルは本気で「グラズノフ・ルネッサンス」を実現させます!前半にはグラズノフとは40歳以上の年齢差にも関わらず強い結びつきのあったショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏します。冷たい戦慄が全編を貫く異形のコンチェルトのソリストは郷古廉。数あるショスタコーヴィチ作品の中でも、非常に高い「抑圧」と「狂気」が渦巻く作品を通じて、知的で眼光鋭い郷古のヴァイオリンが、「猛将」ラザレフとどのように対峙(時には対決?!)するのか、今からとてもスリリングです。』

今日の席は1階2列の下手ブロックの中央あたり。目の前が第1ヴァイオリン、管楽器はまったく視界からは見えない、あまりよろしくない位置。ただ、ソロの郷古くんを聴くなら、直接音がしっかりと聴こえてくる、良い位置。また、ラザレフさんの熱い指揮を『見る』にも ベストの位置。

前半は郷古くんで
🎵ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 作品77
ゆっくりと進む第1楽章。最初から猛烈な緊張感をもって、音を積み重ねていく。冬のタイガに日がさした風景。冷たい風の中に一寸の暖かさが感じられる様。中間部で弱音器をつけた時の音の柔らかさにホッとする場面も。厳しい自然の中で生きるソビエトの農民の姿の様。

スケルツォの第2楽章。ABCA(CA)の形式。リズムの愉しさ、普通の人は愉しいとは感じないでしょうが… と 木管の陽気な軽さと明るい音色が、なにか裏がありそうに聴こえる面白さ。ショスタコーヴィチ全開の楽章。行進曲のリズムは国策に踊らされて進む農民の姿か?

長大なカデンツァを後半にもつ、シャコンヌと題された第3楽章。ソビエトの農民の苦しさを感じる 重たい音楽。長い緊張の連続をホール全体に強いた郷古くんのヴァイオリンは圧巻。普通の人は疲れたかも…
第3楽章から続けて入った第4楽章。ここでは、農民の お上の顔をうかがいながらの踊りの音楽。楽しいはずのお祭りは、うわべだけの姿…という感じ。
常に見えない抑圧を感じさせる音楽を真正面から当たって、表現しきった 郷古くんの音楽は 凄かったです。6年前にヴィヴァルディの四季の冬で、強烈な演奏を聴かせてくれた高校生が、ショスタコーヴィチで唸らされるとは… 郷古くんではなく 郷古さんにしなくては!

休憩のあと
🎵グラズノフ:交響曲第5番
グラズノフの交響曲は初めて耳にしました。ですから頭は真っ白、空洞で、ラザレフさんの音楽に浸れました。
4つの楽章からの作品。各楽章、とてもわかりやすく性格の対比も鮮やかで、あっという間の40分でした。
第1楽章はロシアの民謡にも似た親しみやすい音楽。ラザレフさんのメリハリのある音づくりに集中。
第2楽章はスケルツォ。農民の踊りがこの作品でも聴こえてきました。
ゆっくりとした第3楽章もロシアの空気がそこかしこに感じられる音楽。冬に向かう冷たい風が吹き始めた様。
そしてめちゃ明るい第4楽章。玩具箱をひっくり返した様な炸裂した音楽は、ラザレフさんの独壇場。めちゃ愉しませていただきました!
そんな初めて聴いたグラズノフの交響曲、もしかして今日、CD録音していたのかなぁ~と思われるマイクの林。CD出たら買わなきゃ!と思わせる素敵な作品、演奏でした。

そんな中 とっても気になったのが、ラザレフさんのグラズノフのスコア。譜面台に置いて、しっかり見ながら振っていたのですが、すべてのページがバラバラ状態。ふわーって飛んでいかないのか、ハラハラするくらい。誰か製本してあげればいいのに~と、ラザレフさんを見ている私でした。

今日は演奏中や楽章間で どや顔で後ろを向いたのが、楽章間で2回だけというおとなしめのラザレフさんでしたが、最後のカーテンコールでは 上手端と下手端で オケに拍手を!と聴衆を煽るいつもの元気さ。寒い冬に心が温まるラザレフさん、音楽とお人柄、ともに素敵でした。

さすがに帰りは冷えてきて星が綺麗な横浜。今夜は暖かくして寝ないと…