小倉貴久子の《モーツァルトのクラヴィーアのある部屋》《第23回》W.F.バッハ | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日も東京へ。
ここ数日、というよりは今月、大きなホールが続いたので、やっとホッとできる領域の音楽会!

小倉貴久子の《モーツァルトのクラヴィーアのある部屋》第7チクルス
《第23回》

19時~
近江楽堂

〔ゲスト作曲家〕W.F.バッハ Wilhelm Friedemann Bach [1710-1784]


小倉 貴久子:クラヴィーア
使用楽器:Klavier made by Chris Maene after Anton Walter [1795]
Cembalo made by Joop Klinkhamer after anon.



HPの紹介文は
『W.F.バッハ
・J.S.バッハと、音楽家になった彼の息子たち4人の内3人を当シリーズのゲスト作曲家として既に取り上げましたが、今回は長男ヴィルヘルム・フリーデマンの登場です。フリーデマンは父の寵児として才能を幼少期から発揮、ドレスデンのオルガニスト、その後ハレでの重要な職にも順風に就任。ところが七年戦争によるハレの街の荒廃、本人の性格により後年は哀れな生活を余儀なくされます。しかし、残された作品には、余人には到達不能な独特の魅力が湛えられています。父親ゆずりの対位法的厳格な書法をベースに、複雑な和声が駆使され、ある意味でロマン派的でもあり近代音楽にも通ずるような響きを聴くことができます。モーツァルトは、彼のフーガを研究して弦楽三重奏に編曲しています。
 チェンバロとフォルテピアノの2台のクラヴィーアで、バロック的エモーショナルなモーツァルト未完の幻想曲、対位法を駆使したソナタ ニ長調 K.576と共に、奇才フリーデマンの魅力に迫ります。』

バッハの息子の中でも、CD録音が少ないこともあり、聴く機会の少ない作曲家。テレマン協会などで、時たま耳にするくらい。私もクリスチャンやフリードリヒはかなり積極的に聴くものの、フリーデマンを自ら耳にする機会は稀かも。ですから今日はフリーデマンに親しむのにはとても良い機会となりそう。
100人入らない小さな空間での贅沢な演奏会です。

まずは恒例の少年モーツァルトの作品から
🎵モーツァルト:小品 K.15l
チェンバロでの演奏。3部形式の小さな曲でしたが、繰り返される度に小さな変化をみつけるのが本当に楽しい。小倉さんのモーツァルトの子どもの時の作品の演奏は絶品!

🎵W.F.バッハ:8つのフーガより第8番 ヘ短調 Fk.31-8
調の関係から、厳格な雰囲気を醸し出す作品。チェンバロのちょっぴり重めの響きによる バロック音楽の薫り高い 風格ある演奏で、ホールの空気を引き締めました。

🎵W.F.バッハ:ファンタジー ホ短調 Fk.21
表情が目まぐるしく変わる ユニークな作品。この自由さは、古典派音楽というよりはバロック音楽って感じ。
様々に顔を変える音楽にこっちの方こそ 目が白黒しちゃいました。チェンバロのストップの変化やより、2段鍵盤の範囲での色彩変化で原曲の魅力を紹介してくれました。

ここからフォルテピアノで
🎵モーツァルト:ファンタジー ハ短調 K.396(シュタートラー補筆)
ソナタ形式で提示部のみモーツァルトが完成させた作品。
アダージョのゆっくりとした曲で、ずしりと重さを感じる、モーツァルトの別の一面がみれました。

🎵W.F.バッハ:ソナタ ト長調 Fk.7
3楽章形式の作品。第1楽章が緩急緩の形式。急の部分の室内で遊んでいるかのような明るさが際立っていました。
それに対して第2楽章の哀しみを感じさせる雰囲気は 秋の夕暮れの空気の様な気持ちよさ。
そして第3楽章では、また室内の楽しい空気に戻りました。

休憩のあと
🎵W.F.バッハ?:ソナタ イ短調 Fk.8
単一楽章の作品で、チェンバロでの演奏。現在ではフリーデマンの作品ではない、という分類になっている様。
弾き始めた瞬間、一気に魅了されてしまいました。なんと心地よい響きと旋律。フリーデマンの作品ではない!ということで 演奏されなくなるのが惜しい曲。小倉さんのエレガントな演奏が素敵でした。

ここでフォルテピアノに移動して
🎵W.F.バッハ:12のポロネーズ集より
ハ長調 第1番、ホ短調 第8番、ヘ短調 第10番、ト短調 第12番
元々は平行調の2つの組み合わせを6パターン並べたという作品らしい。
私はポロネーズのリズムにそれほど反応することはなく、ト短調などは ソナタの第1楽章じゃないのか、と思うような構築感すら漂う作品(演奏?)に、充実感がどっしりでした。
軽めの音楽を期待したのに…

🎵モーツァルト:ソナタ ニ長調 K.576
最後に今日唯一の知られた作品がフォルテピアノで演奏されました。
小倉さんの演奏は、軽快で優雅。モーツァルトの等身大の響きを聴くことができました。
第1楽章の(提示部の)反復後の第2主題の輝きの美しさは、夏の終わりの花火大会の様でした。

曲の間の小倉さんのレクチャーも、いつものことながら充実。もう少し聞きたい…ってところで演奏に移る絶妙さがいい。

アンコールで弾いた、次回のゲスト作曲家、ベーケのソナタ。古典派好きの私のど真ん中🎯 特に提示部やコーダ直前での 同じフレーズを繰り返し繰り返ししながら、古典派好きではない人なら、しつこい!と言われそうな、積み重ねのワクワクが素敵すぎました。
もちろん、次回からの3回セット券を購入しちゃいました。

近年稀にみる音楽三昧の7日間。その前のあいちトリエンナーレからの芸術の秋、満喫。今日でホッと一息。

じゃない!
今週末『せんくら』じゃん。
忘れてた!